明らかなクズキャラなのになぜ人気? 『呪術廻戦』パパ黒にファンが“沼る”理由
2023年8月31日より2期の「渋谷事変」がスタートし、盛り上がりを見せているアニメ『呪術廻戦』。2期の第1幕「懐玉・玉折」では、もとは同級生であった呪術高専の教師・五条悟と、「最悪の呪詛師」と呼ばれる敵・夏油傑の、高専時代を振り返る回想ストーリーが描かれた。そんな「懐玉・玉折」編で異様な存在感を放っていたのは、本作の主人公・虎杖悠仁の同級生である伏黒恵の父親・伏黒甚爾である。確かな実力を持つがクズすぎる性格の甚爾は、原作漫画で登場したときから「パパ黒」の愛称で親しまれ、女性ファンが多いのも特徴だ。本記事では、パパ黒がなぜ女性ファンを沼らせることができるのか、その理由をひも解いていく。
明らかにクズなのに目を引く存在だった「パパ黒」
2023年8月31日より2期の「渋谷事変」がスタートし、盛り上がりを見せているアニメ『呪術廻戦』。2期の第1幕「懐玉・玉折」では、もとは同級生であった呪術高専の教師・五条悟と、「最悪の呪詛師」と呼ばれる敵・夏油傑の、高専時代を振り返る回想ストーリーが描かれた。そんな「懐玉・玉折」編で異様な存在感を放っていたのは、本作の主人公・虎杖悠仁の同級生である伏黒恵の父親・伏黒甚爾である。確かな実力を持つがクズすぎる性格の甚爾は、原作漫画で登場したときから「パパ黒」の愛称で親しまれ、女性ファンが多いのも特徴だ。本記事では、パパ黒がなぜ女性ファンを沼らせることができるのか、その理由をひも解いていく。
パパ黒は「術師殺し」の異名を持つ殺し屋で、呪術師のエリート家系である禪院家に生まれながら呪力を持たず、代わりに「天与呪縛」と呼ばれる特異体質で超人的な能力を持つ。その強さは、呪術高専の任務の際に対峙した五条と夏油を瀕死に追い込むほどであった。
圧倒的な実力を持つパパ黒だが、交際している女性の家を転々とするヒモ生活を送っていたり、息子の恵を妻の亡き後に禪院家へ売ろうとするなど、問題行動が多い人物でもある。子どもを担保にして得た資金でギャンブルをしており、親としては言語道断と感じる人も多いだろう。五条にも「引くレベルのろくでなし」と言われている。
これだけ聞くとどうしようもない男であるパパ黒。しかし『呪術廻戦』のなかでもイケメンキャラである恵の父親であるだけに見た目が申し分ない。さらに、クズ要素から垣間見える人間味も人気の秘けつではないだろうか。
「禪院家に非ずんば呪術師に非ず 呪術師に非ずんば人に非ず」との格言がある禪院家に生まれたパパ黒は、呪力を持たないため一族の中で冷遇されていた。夏油を倒した際には「呪術も使えねぇ俺みたいな猿に負けたってこと」「長生きしたきゃ忘れんな」と捨てぜりふを吐く。しかしその直後に自分が息子に「恵」と名づけたことを思い出す様子が描かれた。呪力を持つ者たちを妬む気持ちがありながら「息子は自分と違って恵まれてほしい」という意味を込めて「恵」という名をつけたのであると推測できる。
さらに自分が殺したはずの五条に襲撃され、死の間際で思い出したのは恵のことだった。パパ黒の仕事を仲介する孔時雨に「恵は元気か?」と問われた際、「誰だっけ」と言うほど無関心な様子を見せていたパパ黒が、禪院家に売った恵の身を案じて五条に託すなど、情を捨てきれない様子が描かれた。
彼が呪力を持って生まれたら、そもそも生まれる家が違えば、パパ黒は幸せな人生を歩んでいたはずと思わずにはいられないだろう。そんな切なく人間味のあるパパ黒に対し、ネット上では「パパ黒は沼中の沼」「ハマるなっていう方が無理ある」といった声が上がっている。
イケメンで圧倒的な強さなのに徹底的なクズ男ぶり、不遇な過去……パパ黒は単に「クズ」の一言では片づけられない深い人間味がある。それが読者を引きつけ、「沼らせる」トリガーになっているのではないだろうか。