ヤンキー漫画『ビー・バップ・ハイスクール』の魅力とは? 若者の心をつかんだ名言たち
漫画『ビー・バップ・ハイスクール』(作:きうちかずひろ)は『週刊ヤングマガジン』(講談社)で1983年より連載された作品。私立愛徳高校の中間徹(トオル)と加藤浩志(ヒロシ)、2人の主人公を中心にツッパリ(今でいうヤンキー)高校生ストーリーが描かれている。本記事では、『ビー・バップ・ハイスクール』の魅力を紹介していこう。
「ボンタン」などの変形学生服の今は?
漫画『ビー・バップ・ハイスクール』(作:きうちかずひろ)は『週刊ヤングマガジン』(講談社)で1983年より連載された作品。私立愛徳高校の中間徹(トオル)と加藤浩志(ヒロシ)、2人の主人公を中心にツッパリ(今でいうヤンキー)高校生ストーリーが描かれている。本記事では、『ビー・バップ・ハイスクール』の魅力を紹介していこう。
トオルとヒロシは、近隣高校のツッパリたちとケンカざんまいの日々を送っている。しかしケンカだけでなく、しっかり恋愛もして青春を謳歌している2人のツッパリ学生生活が描かれていた。そんな本作は、全国の不良学生たちの心を掴んだ。
当時の不良学生たちを中心に、飛ぶ鳥を落とす勢いで人気漫画となり、仲村トオル(本作がデビュー作)、清水宏次朗の主演で85年に実写映画化される。ヤンキー漫画では必須のケンカシーンだけではなく、ギャグや実写化されたキャラたちの演技のうまさによって、合計6作品が作られるほどの人気を得た。映画上映後には本作の影響を受けて、トオルとヒロシになりきって映画館を出た不良学生もいたのではないだろうか。
また同作品の魅力として挙げられるのが、作中で登場したキャラたちのインパクトがあるセリフだ。例えば、根性なし、ダサイなどの意味を持つ「シャバい」や、普通のマジメな学生のことを「シャバ僧」(シャバい小僧の省略形)といった言葉があげられる。
さらに映画版にて清水が演じるヒロシの「吐いたツバ、飲まんとけよ」とケンカ相手に啖呵を切るセリフは、迫力があって印象的だった。そのほかにも怖がっている相手に「イモ引くんじゃねえ」といったセリフもあり、思わず口にしたくなる数々のセリフは、同作品の魅力をさらに引き上げた。
映画版の中でも特に『ビー・バップ・ハイスクール 高校与太郎哀歌(エレジー)』(86年)で登場した敵役・城東工業のテルは、名言の宝庫といえるだろう。本作品は「ボンタン狩り」といって、ツッパリたちが履いていた極太に変形させた学生ズボン「ボンタン」を強奪するストーリーなのだが、テルがボンタンを奪う際に言う「ボンタンよこさんかい!」は、迫真の演技と重なりファンに大きなインパクトを与えた。
そのほかにも、物語終盤ではトオルとヒロシが城東工業の不良たちから奪ったボンタンを彼らがたむろしている海辺のドライブインまで持って行くシーンがある。テルの命令で土下座をしようとしているふたりに対して言ったセリフ「チンチンするかぁ?」もかなり印象が強い言葉だ。
テルのセリフは演技にクセがあるキャラと相まってか、ファンの間ではいまだに語られる名言となった。SNS上では「当時の不良達がこぞって真似をした」「テルのインパクトが強烈!」などテルに対する高評価コメントが多く見られる。漫画や映画の成功で、同作品は硬派なヤンキー漫画とは違った新たなジャンルを確立したといえるだろう。
また、本作品には「ボンタン」や「短ラン」といった変形学生服が登場する。改めて視聴したファンから、ネット上で「ボンタン、短ラン流行りましたね~。ビーバップに憧れて、高校は学ランの高校に行きました」「学ランは永遠に私服です」という本作品がブームだったころを懐かしむ声も寄せられている。
当時、本作映画版に出演していた役者が、近年ではYouTubeで撮影秘話を語る動画があげられている。このような動画も人気となっているのが、本作がファンに今でも愛されている証拠だろう。