国の支援では救えない若手芸術家のために! 東京藝術大がクラウドファンディング、5000万円目指す

東京藝術⼤学は9⽇、東京・上野の同大学上野キャンパスで会見を開き、新型コロナウイルスの影響を受けた同大学在学、出⾝の若⼿芸術家の芸術活動を支援する「東京藝術⼤学若⼿芸術家⽀援基⾦」を設置し、総額5000万円を目標にしたクラウドファンディングを開始すると発表した。

「東京藝術⼤学若⼿芸術家⽀援基⾦」(左から)司会の国谷裕子氏、澤和樹氏、米良はるか氏、箭内道彦氏【写真:ENCOUNT編集部】
「東京藝術⼤学若⼿芸術家⽀援基⾦」(左から)司会の国谷裕子氏、澤和樹氏、米良はるか氏、箭内道彦氏【写真:ENCOUNT編集部】

東京藝術⼤が在学・OBの若⼿芸術家をサポートする基金設置 コシノジュンコ氏、隈研吾氏、さだまさしがビデオメッセージ

 東京藝術⼤学は9⽇、東京・上野の同大学上野キャンパスで会見を開き、新型コロナウイルスの影響を受けた同大学在学、出身の若手芸術家の芸術活動を支援する「東京藝術大学若手芸術家支援基金」を設置し、総額5000万円を目標にしたクラウドファンディングを開始すると発表した。

 基金は経済的に精神的にも不安定な状態が続いている若⼿芸術家の救済が目的。6月9日から2022年3月末までに大学の自己財源を始め、一般企業の協賛金、寄付で集まった支援金を原資に、東京藝術大学の在校生や40歳までの卒業生、修了生を対象に支援する。また、クラウドファンディングサービス「READYFOR」のシステムを使って、7月31日午後11時までに総額5000万円の支援を集めることを目指す。

 東京藝術大学学長特命の箭内道彦氏は「若手芸術家は展覧会や演奏会が中止になり、経済的な大きな打撃を受けています。彼らに対して、芸術活動の持続化を支援するために、若手芸術家支援基金を設置したい。社会にとって、芸術の力は未来につながる稀有な存在。今の彼らの状況を救い、未来の形を模索することが基金の趣旨。1日も早く、長く支援したい」と話した。

 クラウドファンディングで集めた支援金は、オンライン上に美術館、奏楽堂を設置し、若手芸術家による展覧会、演奏会を行う「オンライン藝大アートフィスティバル(仮称)」の開催や、ネット上でリアルタイムな合奏を実現するアプリの開発、若手芸術家支援プラットフォームの構築など新たなウェブコンテンツの開発などに使われる。また、オフラインのプロジェクトとして、「新しい日常」における対面芸術鑑賞会のあり方も模索していく。

「READYFOR」CEO、米良はるか氏は「通常のクラウドファンディングは100〜300万円の規模がほとんど。5000万円というのはかなり高い目標ですが、芸術を支援したいという機運も高まっており、多くの方に協力していただけるのではないかと期待しています」。澤和樹学長は「大学では卒業式、入学式を中止し、現在、オンラインによる授業を続けている。文化芸術に対して国からは500億円規模の支援が行われるが、実績のある人に対してだと聞いている。若手はエビデンス(実績)がないので、対象にはなっていない。そんな若手を支援したい」などと話した。

 本プロジェクトはオール藝大で若手芸術家を支援する考え。俳優、映画監督の伊勢谷友介(2001年美術研究科デザイン専攻修了)、狂言師の野村萬斎(89年音楽学部邦楽科能楽専攻卒業)、ヴァイオリニストで作曲家の葉加瀬太郎(音楽学部器楽科出身)、グラフィックデザイナーの佐藤卓氏(81年)ら卒業生を始め、学外からは作詞家の秋元康氏らも賛同。会見では、ファッションデザイナーのコシノジュンコ氏、建築家の隈研吾氏、シンガー・ソングライターのさだまさしのビデオメッセージも紹介された。

 なお、会見はコロナ対策のため、ソーシャルディスタンスに配慮し、会見とオンラインで行われた。

次のページへ (2/2) ビデオメッセージを送ったシンガー・ソングライターのさだまさし
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