本格野球ゲームの代表格 『ファミスタ』進化の歴史…試合時間を短くする工夫も
ファミコン時代に革命的な野球ゲームと言われていたのが『プロ野球ファミリースタジアム』(バンダイナムコエンターテインメント)だ。通称『ファミスタ』は1986年に発売され、実在するプロ野球選手に似せたキャラが登場した。今回は1作目の発売から35年以上が経つ『ファミスタ』について振り返る。
初代は1986年に発売、長年愛され続ける不朽の名作
ファミコン時代に革命的な野球ゲームと言われていたのが『プロ野球ファミリースタジアム』(バンダイナムコエンターテインメント)だ。通称『ファミスタ』は1986年に発売され、実在するプロ野球選手に似せたキャラが登場した。今回は1作目の発売から35年以上が経つ『ファミスタ』について振り返る。
本作登場までの野球ゲームは、ピッチャーとバッターしか操作できないゲームが多かった。しかし、本作はそれまでの野球ゲームと違い、守備も自分で操り、走攻守を自由に楽しめる仕様だ。
ピッチャーについては、左右の移動で投げる位置を決めた後にコマンドすることで、コースや変化球を指定することが可能。バッターについては、長打を得意とする選手や走るのが速い選手など、個性を表現している。
ちなみに1作目は10球団が用意され、選手名は実名に近い形で表記されていた。できるだけ実際のプロ野球に近い体験ができるように考えられた制作側の工夫によって『ファミスタ』は、本格的な野球を楽しめるゲームとして大きな注目を集めた。
1試合にかかる時間が、およそ20分程度という手軽さも本作の見どころのひとつである。コンピュータとの対戦はもちろん、対人プレイで友達と何時間も夢中になって遊んだ人も多いだろう。ネット上には「ぴのってキャラがめちゃくちゃ足が早くて無双してた」「『ファミスタ』は一試合が短いから何度もプレイしていた」など、当時を振り返るコメントがあがっている。
本作の生みの親である岸本好弘氏は、バンダイナムコエンターテインメントのウェブメディア「FUNFARE」のインタビューで「他社の野球ゲームを研究して、無駄だと思える時間を削った」と話している。キャッチャーがピッチャーに返球する描写がないことや、アウトになった選手が素早く戻ることも試合を短くするための工夫だったとも語っていた。
88年に発売された本シリーズの3作目『プロ野球ファミリースタジアム’88』では、打順変更などの機能や、先発メンバーの中からランダムで2人が好調選手に選ばれるシステムが追加された。
球団数は、実在の日本のプロ野球での球団数に相当する12球団が初めてそろう。また、当時のメジャーリーグの有名選手に似せたキャラを集めたMチームと、さまざまなナムコゲームのキャラを選手にしたNチームを加えた計14球団が使用可能に。
さらに、本作ではチームエディット機能が追加される。選手に自分で名前を付けたり、選手の能力値を決められた合計ポイントから自由に割り振ることで、自分だけのオリジナルチーム作りができるなど、劇的な進化を遂げたのだ。
昨今では、2020年にNintendo Switch版『プロ野球 ファミスタ 2020』がリリースされたのが記憶に新しい。本作ではコントローラーを実際に振ることで、投げたり打ったりできるモーションプレイの実装で、より実際の野球をしているような感覚を楽しめるようになった。
登場するキャラはプロ野球選手をはじめ、女子プロ野球選手や地方リーグの選抜選手なども含めた1000人以上にのぼる。シリーズ1作目は10球団が登録されていたが、最新作では23チームに増えた。また『ファミスタ』初となるオープニングアニメ映像や、全宇宙対抗野球大会での優勝を目指す「ファミストーリー」モードが収録され、ファンを大いに楽しませている。
26年で40周年を迎える『ファミスタ』。今後はどのような新システムやモードが追加されるのか、期待して新作を待ちたい。