元乃木坂46深川麻衣、デビュー前はバイトできず金欠の日々「今となってはいい思い出」

元乃木坂46で俳優の深川麻衣(32)が映画『人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした』(11月3日公開、穐山茉由監督)に主演した。元SDN48のメンバーで作家の大木亜希子(34)が自身の体験に基づく小説の映画化。深川が元アイドルを演じて、感じたこととは?

“おっさん”と同居する元アイドルを演じた深川麻衣【写真:冨田味我】
“おっさん”と同居する元アイドルを演じた深川麻衣【写真:冨田味我】

アイドル→俳優でぶつかった壁「もどかしさ感じた」

 元乃木坂46で俳優の深川麻衣(32)が映画『人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした』(11月3日公開、穐山茉由監督)に主演した。元SDN48のメンバーで作家の大木亜希子(34)が自身の体験に基づく小説の映画化。深川が元アイドルを演じて、感じたこととは?(取材・文=平辻哲也)

 本作は仕事もなく、男もなく、手残り残高は10万円という厳しい現実に直面した元アイドルの安希子が、都内の一軒家でひとり暮らしをする56歳のサラリーマン(通称・ササポン)との同居生活する物語。

「30代前後の女性の生きづらさ、赤裸々の悩み、焦燥感みたいなものが詰め込まれていて、隠そうとしていない感じがすごくすてきだなって思いました。共感できるところはたくさんありました」

 深川は2011年8月、20歳のときにアイドルグループ・乃木坂46の1期生として活動し、16年6月に14thシングル『ハルジオンが咲く頃』では最初で最後のセンターを務め、6月に卒業し、以降、俳優に転向した経歴を持つ。

「私ももともとアイドル活動をしていたので、セカンドキャリアで違う道を選んで、そこで壁にぶつかったときの焦り、モヤモヤ、不安みたいなものは分かるなと思いました。強い気持ちはあったけど、もしうまくいかなかったらどうしようって漠然とした不安があったので。グループから今の事務所に移って、お芝居を始めたときには技術も何もかも足りてないもどかしさや悔しさを感じて、向いてないなと思ったこともありました」

 監督は『シノノメ色の週末』の穐山茉由。ファッションブランド「ケイト・スペード」の広報を担当しながら、映画美学校で学び、インディーズ映画『月極オトコトモダチ』で監督デビューし、今も兼業監督を続けている。作品でも、その美的センスは光っている。

「監督の目線が面白かったです。安希子はよく花柄の服を着てるんですけど、前半の仕事がうまくいっているシーンは色鮮やかな大きな花柄。でも、詰んでいくと、どんどん小さくなって、色も枯れていく。この表現の仕方や感性は女性ならではの表現だなと思いました」

 おっさん役の井浦新とは本格的な共演は初めて。

「すごく包容力がある方です。ササポンとも似ている部分があるなと思いました。ササポンは相手に押し付けるわけでもなく、自分が思ったことをポツポツと伝えてくれる。その言葉に安希子は心を動かされていくんですが、もし新さんに悩み事を相談したら、きっと新さんもそんな風に答えるんじゃないかなと、勝手に想像していました。撮影の合間ではおすすめのファスティング、酵素玄米など体にいいものについて教えていただきました。知識が幅広くて、何についても詳しいのがすごいです」

「うまく乗り越えつつやっていけたら」とこれからの俳優人生に抱負【写真:冨田味我】
「うまく乗り越えつつやっていけたら」とこれからの俳優人生に抱負【写真:冨田味我】

30代の目標は「思い立ったら、即行動を心がけたい」

 撮影中には原作者の大木亜希子が表敬訪問して、初対面も。

「緊張しましたね。小説のイメージから、安希子は猪突(ちょとつ)猛進でパワフルなイメージがあったんです。でも、実際にお会いした本物の大木さんは本当に物腰が柔らかで、妖精みたいな方で、そのギャップにもびっくりしましたね」

 劇中の安希子は金欠で苦労するが、深川自身もアイドルを目指して上京した当時は金銭面の苦労もあったという。

「最初の頃はお金も全然なくて。デビュー前でバイトもできなかったので、あまりどこかに遊びに行くこともできなくて、休日はどうお金を使わずに過ごそうかな? っていう感じでした。だから、当時の記憶はあんまりないんです。そのときは大変でしたが、今となっては良い思い出です」

 安希子のように「人生に詰んだ」瞬間はなかったが、これまでの芸能活動の中で壁は何度もあったという。ただ、女優としてのキャリアは順風満帆だ。

 18年には『パンとバスと2度目のハツコイ』で映画初出演にして初主演。続く、『愛がなんだ』でも高い評価を得て、NHK朝の連続テレビ小説『まんぷく』にもレギュラー出演。今年も7月期には読売テレビ『彼女たちの犯罪』に主演した。

「今年は新たなチャレンジとなるような作品や役柄とのご縁がいっぱいありました。見ている方が楽しんでくださったり、作品についての感想やお手紙をいただいたりするとすごくうれしいです。一本道ではなかったとは思いますが、平らすぎてもつまらないのかな。へこんだときとかはつらいけども、それがあってこそうれしいこともあるので、うまく乗り越えつつやっていけたらと思っています」

 30代は、興味あることになんでも首を突っ込んでいく、と決めている。

「母がすごく好奇心旺盛で、年齢関係なく、すごい多趣味なんですよね。そんな姿を間近で見ていて、何か制限決めるのはもったいないなと思っています。私も思い立ったら、即行動を心がけたいです」

 昨今のマイブームは休日のプチ旅行と梅味の食べ物とか。「梅ジュースを紅茶で割ると、すごくおいしいことを発見して。最近は紅茶梅ジュースばかり飲んでいます」と深川。これも、好奇心が生んだ発見なのだろう。

□深川麻衣(ふかがわ・まい)1991年3月29日生まれ、静岡県出身。2011年から乃木坂46の1期生として活動をスタートし、16年にグループを卒業。主な出演作に、映画『愛がなんだ』(19)、ドラマ『まんぷく』(NHK/19)、『日本ボロ宿紀行』(テレビ東京/19)、『青天を衝け』(NHK/21)、『特捜9』(テレビ朝日/22)、『彼女たちの犯罪』(読売テレビ/23)などがある。

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