「女性の生存権や尊厳を軽視」 性別変更の手術要件、「違憲」判定めぐり女性団体が会見

戸籍上の性別を変更する際、生殖能力をなくす手術を要件とする性同一性障害特例法の規定は違憲だとする最高裁判所の決定を巡り、女性有志の市民団体「女性の定義を守る会」が26日、都内で緊急記者会見を行った。

最高裁は、性別変更の際に必要な生殖能力をなくす手術を「違憲」と判定(写真はイメージ)【写真:写真AC】
最高裁は、性別変更の際に必要な生殖能力をなくす手術を「違憲」と判定(写真はイメージ)【写真:写真AC】

25日の最高裁判定では、性別変更の際に必要な生殖能力をなくす手術を「違憲」と判断

 戸籍上の性別を変更する際、生殖能力をなくす手術を要件とする性同一性障害特例法の規定は違憲だとする最高裁判所の決定を巡り、女性有志の市民団体「女性の定義を守る会」が26日、都内で緊急記者会見を行った。

「女性の定義を守る会」は、LGBT理解増進法の議論の際に女性の立場から反対の声を拾い上げる団体がなかったことから、SNS上の匿名女性有志が設立。女性の定義を生物学的分類に基づく原点に戻し、女性差別を解消することを目的としており、性同一性障害特例法の廃止や性別記載変更禁止法の制定を求めている。

 25日の最高裁判定では、性同一性障害特例法の規定のうち「生殖腺がないことまたは生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること」を「違憲」、「その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること」は「高裁差し戻し」と判断している。

「女性の定義を守る会」の青谷ゆかり共同代表は、「内心の自由は保証されるべきですが、たとえ手術で生殖能力がなくなろうと、それは姿かたちを女性に似せているだけで、女性と見なすことはできません。女性スペースの利用は生物学的女性に限定すべき。最高裁の決定は身体的弱者である女性の生存権や尊厳を軽視しており、女性の人権を侵害するもので、断固として受け入れることはできません」と主張。性別変更については例外も含め認めない姿勢を取っている。

 今回の決定を巡っては「生殖能力喪失については、憲法13条に基づいた基本的人権として違憲と判断されましたが、憲法13条では『公共の福祉に反しない限り』尊重されるとあります。自身をどの性別だと思うかについては内心の自由の範囲に留まりますが、自身が自覚する性別の取り扱いを他者に強制する行為は、他者の行動様式を変容させ公共の福祉を著しく損なうものです」と見解を語った。

 また特例法で性別変更が認められていることについて、トイレや公衆浴場といった女性スペースの問題の他に「戸籍を変えることで犯罪データのロンダリングに悪用されたり、子どもたちへの影響もある」と指摘。諸外国の例を引き合いに、「思春期に誰もが通る性のゆらぎにつけ込んで、10代の子たちが性器や乳腺を切除する手術を受けさせられている。若い子たちが感化され、トランスはかっこいいとファッション感覚で手術をしたり、第二次性徴を止める薬で副作用に苦しんだりしている。子どもたちをだまして、こんなむごいことは許されません」と涙ながらに問題点を訴えた。

 今後は国に対し、「女性のあらゆる領域に対して『生物学的性別』に基づいた分類を実施すること」「特例法によって戸籍変更を行った者の実態並びに現実に起きている問題の調査の実施」「特例法そのものが女性・女児の生存権や尊厳について議論されたことがないことを踏まえ、女性の当事者団体を交えて廃止に向けた議論を行うこと」などを求めていくとしている。

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