ライフイベントで多くの人が経験する引っ越しにおいて気を付けたいことが、原状回復だ。住んでいた部屋はできる限りきれいにして引き渡し、貸主や管理会社との不要なトラブルは避けたいところだ。SNSで、退去立ち会い時のある光景が話題を集めた。“焼け焦げ”状態のキッチンコンロ。どういうわけか大量のお米がばらまかれている。不動産会社勤務の投稿者に、注意喚起のメッセージを聞いた。

「退去立会い完了！　今日も汚かったな！！　ところでコンロにお米？入れて何か意味あるんですかね？　教えてX！！」

　真っ黒な焦げが山のように積み重なっている。異様な状態のコンロだ。状況を報告したのは、不動　三太郎（@ashitahare__）さん。不動産会社に入社21年目で、不動産全般の業務に携わっており、Xでは主に賃貸管理での現場の声を届けている。

　退去立ち会いは月平均5～10件ほど行っていて、業務歴は15年。「これまでに少なくとも1000件以上は経験しています」。取り扱ったケースの中でも状態のひどいものを抜粋してXで取り上げているという。

　今回の投稿理由について、「私のフォロワーさんであれば、退去立ち会いの写真を投稿する＝汚いという認識があるため、今日も汚かったな！！　というくだりで始まり、主題の内容を投稿しました。コンロにお米が落ちている状態は、料理中にあることなので気にしませんが、今回はその量が異常だったため、何か意味があるものではないかと思い、投稿しました。また、Xでは『教えてツイッター（X）』という言葉に一定の認知があるので、それに合わせて投稿しています」と語る。

　ネット上では「きたなぁw」「燃えちゃいますよね（笑）（笑）」「お米で炭作りしてるように見えますw」などの驚きの声が上がっている。
　
　ここまで汚れてしまったキッチンの再整備はどうしたのか。不動産会社側が清掃業者に依頼し、きれいにして元の状態に戻す対応をとったとのことだ。

　賃貸住宅を退去する際の修繕はトラブルに結び付きやすい。独立行政法人「国民生活センター」の公式サイトによると、賃貸住宅に関する消費生活相談は毎年3万件以上が寄せられ、原状回復に関する相談は毎年1万3000～4000件。「賃貸住宅に関する相談のうち約4割を占めています」と公表している。

　請求金額や費用分担が争点になりがちだ。不動　三太郎さんは「賃貸物件の退去の際に原状回復費用でもめるということはXでもよく確認します。中には悪徳業者と呼ばれる会社もありますが、貸主さんも管理会社さんも、きれいにお部屋を使って返していただければ、費用請求することもありません」と実情について説明する。

　借主が常識の範囲内で部屋や設備を使い、傷や汚れになるべく注意するという意識向上も必要だろう。「賃貸住宅はあくまで貸主さんから借りているという認識のもと室内をきれいに使用して、退去の際は清掃して返却をお願いします。きれいに使用して返却いただいて、双方気持ちよく過ごせることができればよいと思っています！」と話している。