宮沢りえ、映画『月』への覚悟語る「ここから逃げたくない」 内容は「賛否両論あると思う」

俳優の宮沢りえが14日、都内で行われた映画『月』の公開舞台あいさつに出席した。本作は、実際の障がい者殺傷事件を題材とした小説が原作。宮沢はこの映画に出演することを決めた覚悟を明かした。

イベントに登壇した宮沢りえ【写真:ENCOUNT編集部】
イベントに登壇した宮沢りえ【写真:ENCOUNT編集部】

撮影直前にはプロデューサーが急逝「魂を受け継ぎたいという不思議な熱気に」

 俳優の宮沢りえが14日、都内で行われた映画『月』の公開舞台あいさつに出席した。本作は、実際の障がい者殺傷事件を題材とした小説が原作。宮沢はこの映画に出演することを決めた覚悟を明かした。

 辺見庸氏による小説を、石井裕也監督が再構成。深い森の奥にある重度障がい者施設で働くことになった堂島洋子(宮沢)が、ほかの職員による入所者への心ない扱いや暴力を目の当たりにする。そして洋子の同僚であるさとくん(磯村勇斗)が、彼の中で増幅する正義感や使命感が怒りを伴う形で徐々に頭をもたげていく……。

 本作のプロデューサーだった河村光庸氏から作品にかける熱意を聞いた宮沢は、「殺伐した今の世の中、地球上いろんなことが起きていて、生きていくために保身してしまう自分に対してもどかしさがあった。河村さんのお話を聞いたときこの作品を通してもどかしさを乗り越えたいって気持ちが強く湧いた。内容的には賛否両論ある作品になるだろうと思いましたが、ここから逃げたくないと思って参加した」と明かした。

 河村氏は撮影が始まる直前の2022年6月に急逝。宮沢は「河村さんが亡くなった後、石井監督やキャスト、スタッフは混乱しました」としたが、「その魂を受け継ぎたいという不思議な熱気に満ちていた。それに背中を押され続けて演じきることができました」と語った。

 洋子と同じく重度障がい者施設で働く陽子を演じた二階堂ふみは、小説の題材となった事件のことについて触れ、「事件が起きてしまった当日をすごくよく覚えている」と回想。映画の企画書を受け取ったが「我々に消化できていないものを作品にしていいのか正直、すごく考えさせられた」と葛藤があったという。

 二階堂は「答えは簡単に出せないけど、事件を知る当事者として、社会に生きる当事者として、考えたいなって思いました」と結論を出す。完成した作品は「いろんな方に見ていただいて、考え続けるしかない」と訴えた。

 舞台あいさつには磯村勇斗、オダギリジョー、石井監督も登壇した。

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