学校のうさぎ小屋は時代遅れ? 猛暑で屋外飼育、多頭崩壊も…告発者と教育委員会に見解を聞いた
福岡・久留米市の小学校で、うさぎたちがずさんな管理のもとで飼育されているという相談がENCOUNT編集部に寄せられた。昭和では当たり前の光景だった小学校のうさぎ小屋だが、時代も気候も変わった今、どのように生き物の飼育と向き合っていくべきなのか。福岡で猫やうさぎの保護ボランティアを行っており、今回問題を告発した江頭史枝さんと市の教育委員会に事情を聞いた。
雌雄を分けての飼育も職員に知識がなく、今年に入ってからすでに4羽が誕生
福岡・久留米市の小学校で、うさぎたちがずさんな管理のもとで飼育されているという相談がENCOUNT編集部に寄せられた。昭和では当たり前の光景だった小学校のうさぎ小屋だが、時代も気候も変わった今、どのように生き物の飼育と向き合っていくべきなのか。福岡で猫やうさぎの保護ボランティアを行っており、今回問題を告発した江頭史枝さんと市の教育委員会に事情を聞いた。(取材・文=佐藤佑輔)
「みなさん助けてください
久留米市小学校でネグレクト飼育環境のウサギが14羽です
牧草は無く、食べ物はペレットとキャベツとパン
結膜炎もあるが誰も気がつかず…
なんのお手入れもされずにいるウサギがいます
多頭飼育崩壊
繁殖崩壊の小学校です」
先月中旬、劣悪な環境でのうさぎ飼育を告発する内容の投稿がSNS上で拡散。一連の投稿では、学校側との協議の上、適切に飼育できる里親を順次募集中であることなどがつづられている。
個人で猫やうさぎの保護活動を行っている江頭さんは、久留米市内の小学校でのうさぎの飼育状況について、次のように説明する。
「現在私が関わっている小学校では、当初10羽のうさぎを雌雄を分けて飼育していましたが、職員に生体飼育の知識がなく、また雌雄の判断も難しいため、今年に入ってからすでに4羽が誕生しています。うさぎ小屋は雨ざらしで、牧草もなくペレット皿はフンや土まみれ、給水用のペットボトルにはコケが生えているような有様で、イタチやヘビ、野良猫などの天敵が入れるような隙間もありました」
2015年当時、娘が通う小学校でのずさんなうさぎ小屋の管理を一時的に改善したという江頭さん。「今いる子たちが死んだらもうこれ以上飼わないで」と訴えたが、人事異動で校長や教頭が変わると同じことが繰り返されてしまう実情があるという。今年8月から何度も学校や教育委員会を訪問し、1羽8~10万円かかるという避妊手術を市の予算で行うことを取り決め。14羽すべてのうさぎを譲渡につなげることが決まっているという。久留米市では44校の小学校のうち、現在37校でうさぎやニワトリなどの飼育が行われており、ゆくゆくは全校で不適正な飼育環境の改善や譲渡促進を行っていくつもりだという。
「子どものための『命の授業』という建前ながら、世話は飼育係の子に任せっぱなし、職員にも飼育の知識がなく、長期休みの間は放置されているような状況です。うさぎは繁殖力が強く、1組のペアから1年で300~400倍にも増えます。なわばり意識も強く、1羽に対し1ケージ、室内飼育が基本ですが、真夏も真冬も屋外飼育で、昭和の時代からまったく知識がアップデートされていません。適切な飼育ができないのであれば学校でのうさぎ飼育はやめるべき、どうしても続けるのであれば獣医の訪問を義務付けるなど、何らかの対策が必要ではないでしょうか」
一連の問題の事実関係や今後の対応について、久留米市教育委員会に問い合わせたところ、以下のような回答があった。
「久留米市の小学校では、複数の学校でうさぎの飼育をしています。頭数の把握はしておりません。動物の飼育や飼育動物の決定については、各学校の判断で行っております。なお、動物飼育に関する専門的な相談などは、県の学校動物飼育支援事業を活用し、獣医師に指導・助言を受けています。市教育委員会としましては、今後も適切な動物飼育が行われるよう努めてまいります」