俳優の池松壮亮が6日、都内で行われた映画『白鍵と黒鍵の間に』初日舞台あいさつに、共演の仲里依紗、森田剛、松丸契、メガホンをとった冨永昌敬監督とともに登壇した。

　本作は、昭和末期の夜の街・銀座を舞台に、未来に夢を見る“博”と夢を見失っている“南”の2人のピアニストの運命が大きく狂い出す一夜を描く物語。ジャズミュージシャンで、エッセイストとしても才能を発揮する原作者の南博が、モデルの主人公を“南”と“博”という2人の人物に分けて、“3年”におよぶタイムラインがメビウスの輪のようにつながる“一夜”へと誘い、観る者を翻弄（ほんろう）する。

　主演映画の初日を迎え「胸いっぱいと言いますか、改めてですけど、長い期間かけて今日世に送り出してくれた冨永さんに心から感謝していますし、こうやって共演者とここにいない人を含めて、たくさん刺激をもらって自分も演じることができて、とても幸せでした」と感慨深げにあいさつした池松。本作では一人二役で2人のジャズピアニストを演じ分けたが「指から血が出るくらい練習しました……うそです」とちゃめっ気を見せて観客を笑わせた。

　また、劇中に登場するセリフにちなみ「いったい何をやっているんだ!?」と思ったエピソードを聞かれた池松は「“俺は何をやっているんだ”って日常的に思っていて、むしろそういうことが人生だと思っているというか……」と遠くを見つめつつ、「ピアノの練習を半年間くらいやらせてもらっていたんですけど、その期間になぜかほかの準備もしていて、フィギュアスケートとボクシングを3つ同時に習っていたんですよ。“本当に俺は何をやっているんだ”と思っていました」とコメント。その3つは両立できたのか追求されると「それぞれが伸び悩んでいました」と苦笑した。

　加えて、「僕、（シン・）仮面ライダーをやったんですね。そのあとに『せかいのおきく』という映画で江戸時代のうんこ運びをやっていたんですね。そのあとにピアノを触っていたので、“何やってるんだろうな”って思いましたね。以上です」と俳優ならではのエピソードを披露した。