『北斗の拳』ユリアを守る兄、ハーン兄弟の生きざま…意外な場面でも描かれた“きょうだい愛”

1983年に『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載スタートした漫画『北斗の拳』(作:武論尊、原哲夫)が9月13日に生誕40周年を迎えた。核戦争で文明が失われた世界で、主人公・ケンシロウが救世主として成長する物語。一子相伝の暗殺拳である北斗神拳をめぐり、ケンシロウと伝承者争いを繰り広げた長兄のラオウや、次兄のトキといった兄弟との愛や戦いが本作品のテーマの1つと言えるだろう。また、主要キャラ以外にも、“きょうだい愛”を示したキャラクターがいる。そこで本記事では『北斗の拳』キャラクターの“きょうだい愛”について解説しよう。

漫画『北斗の拳』新装版1巻
漫画『北斗の拳』新装版1巻

読者の涙を誘った感動的場面の数々

 1983年に『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載スタートした漫画『北斗の拳』(作:武論尊、原哲夫)が9月13日に生誕40周年を迎えた。核戦争で文明が失われた世界で、主人公・ケンシロウが救世主として成長する物語。一子相伝の暗殺拳である北斗神拳をめぐり、ケンシロウと伝承者争いを繰り広げた長兄のラオウや、次兄のトキといった兄弟との愛や戦いが本作品のテーマの1つと言えるだろう。また、主要キャラ以外にも、“きょうだい愛”を示したキャラクターがいる。そこで本記事では『北斗の拳』キャラクターの“きょうだい愛”について解説しよう。

 コミックス7巻の54話「死の門をあけろ!!の巻」に登場したライガとフウガの兄弟は、ケンシロウの兄・トキが捕えられているというカサンドラの衛士である。弟のミツをウイグル獄長に人質に取られ、渋々門番を務めていた。人質となった弟のために信念を曲げるライガとフウガには兄弟愛が感じられる。

 ライガとフウガは門番として数々の訪問者の命を奪ってきたが、ケンシロウとの戦いにより改心した。その後ケンシロウによってミツは解放され、2人はケンシロウとともに戦いに参加する。しかし、拳王親衛隊が仕掛けた罠からケンシロウたちを守るため、2人は天井から落ちてきた巨大な石を持ち上げて支えた状態のまま絶命するのだった。弟を救ってくれたケンシロウへの仁義を果たすために命を惜しまない姿や、ケンシロウが目を見開いたまま絶命する2人のまぶたを手でそっと閉じるシーンに感動したファンも多いだろう。

 コミックス17巻145話「金色のファルコ!の巻」で初登場したハーン兄弟も、ファンにインパクトを残した兄弟だ。ハーン兄弟は南斗聖拳108派・南斗双鷹拳の伝承者。ファルコとの戦いに敗北した際に、身柄を拘束され地下の特別房にて拷問に処されていた。その後、ケンシロウとアインによって2人は救出され、共にファルコとの戦いに臨むことになる。

 不発弾を持ってファルコとの勝負に挑んだハーン兄弟だったが、彼らの技はファルコには通用せず。致命傷を負ってしまった兄のバズは、弟のギルを残して不発弾で自爆する。死にゆく兄バズに涙する弟ギルに対して、笑って見送るよう伝える兄の姿は、今読んでも涙が出てしまう名場面だ。

 ここまで紹介した2組とは違い、きょうだいとは分かりにくい意外な組み合わせなのが、南斗五車星の1人である雲のジュウザと、泰山天狼拳のリュウガで、いずれもユリアの兄である。ジュウザはユリアに恋をしていたが、自分がユリアの異母兄だと知りその思いを封印。糸が切れたような生活をしていたが、南斗最後の将がユリアだと知ると、命を懸けてラオウと対戦し、最後までユリアを守る兄としての姿を見せた。

 リュウガは、ユリアの実兄。ユリアが愛したケンシロウが、乱世を鎮める真の覇者であるかを確かめるため、あえて非人道的な行為を行う。さらに、リュウガはトキを殺したと思わせてケンシロウと戦い、ケンシロウの救世主としての力をその身で確認するのだった。ユリアが選んだケンシロウが乱世を鎮める存在だと証明するために、命を懸ける姿は「妹思い」という言葉だけでは表現できない愛を感じる。

 心が荒んでも仕方のない世紀末に、彼らの見せたきょうだい愛は読者の心を温かくしたのではないだろうか。機会があれば手に取り、きょうだい愛を感じてほしい。

 なお、原作40周年を記念した新たなシリーズアニメの制作が決定。新装版コミックス全18巻も順次発売される。

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