サザン茅ヶ崎ライブ“全3回当選”の熱血ファン、息子と感動共有 父から子へ受け継がれた情熱
神奈川・茅ヶ崎出身の桑田佳祐がリーダーを務め、今年デビュー45周年を迎えたサザンオールスターズが、地元凱旋(がいせん)の「茅ヶ崎ライブ2023」を4公演にわたって開催した。バンドとして3回目となるプレミアライブに、“3回連続参加”を遂げた筋金入りの59歳男性ファンがいる。中学3年生のときにデビュー直前のサザンを偶然見かけ、デビュー曲『勝手にシンドバッド』との衝撃的な出会いを果たした。今回のライブは長男と一緒に鑑賞。「人生の縁が全部サザンなんです」。家族6人サザンファンの熱烈ライフに迫った。
「茅ヶ崎ライブ」プレミアチケットを幸運で3度もゲット 「地元の皆さんの温かさ」に感激
神奈川・茅ヶ崎出身の桑田佳祐がリーダーを務め、今年デビュー45周年を迎えたサザンオールスターズが、地元凱旋(がいせん)の「茅ヶ崎ライブ2023」を4公演にわたって開催した。バンドとして3回目となるプレミアライブに、“3回連続参加”を遂げた筋金入りの59歳男性ファンがいる。中学3年生のときにデビュー直前のサザンを偶然見かけ、デビュー曲『勝手にシンドバッド』との衝撃的な出会いを果たした。今回のライブは長男と一緒に鑑賞。「人生の縁が全部サザンなんです」。家族6人サザンファンの熱烈ライフに迫った。(取材・文=吉原知也)
「メンバーの笑顔がいつも以上に素晴らしく、私も会場も笑顔、そしてメンバーも笑顔。ステージと客席の笑顔の相乗効果はこれまで以上の夢空間でした」。
愛知県に住む松下祐一さんは、9月30日(3日目)の公演を会場で存分に楽しみ、万感の思いを語った。
長男と一緒に夜通しで車に乗って当日に茅ヶ崎入り。オリジナルの装飾をあしらったサザンヘルメット、ファンおなじみのCHIGASAKI CITYのTシャツに、ベスト盤・通称すいかのトートバッグが、ファンとしての“勝負服”だ。
サザンを初めて見た瞬間は今もありありと覚えている。1978年、名古屋・鶴舞公園で行われたラジオのイベント。デビュー直前のサザンが演奏していたのを目撃した。「当時中3で、竹内まりや目当てに見に行って、そうしたらサザンがいたんです。シンドバッドを3回ぐらい演奏していた記憶があります(笑)。それで、『ザ・ベストテン』をテレビで見ていたら、ジョギングパンツ姿のサザンが出てきて、『はちゃめちゃだな』と。それは強烈な印象でした」と懐かしそうに振り返る。
でも、そこからハマりにハマった。ライブは過去の全国ツアーはほぼ参加。「僕は『お邪魔させていただく』と表現しています」。
サザンは、桑田の故郷の地にある茅ヶ崎公園野球場を舞台に、「茅ヶ崎ライブ」(2000年、13年=全国ツアーの一環、23年)を3回行っており、街を挙げての“お祭り”を盛り上げてきた。その一方で、キャパシティーの都合もあり、茅ヶ崎ライブのチケット入手は困難で、とりわけ1回目はファンの間で「伝説」と称されている。
妻との縁結びもサザン 「土砂降りライブ」が一生の思い出に
松下さんは、運良く3回ともチケットを手に入れることができた。「最初の茅ヶ崎ライブは地元市民の皆さんによる署名運動が盛り上がって、茅ヶ崎駅を降りたら『おかえりなさい桑田佳祐』の横断幕が掲げられていたのが印象的で、感動しました。2回目はまさかで、今回の3回目もまさかまさか。しかも息子が初めて来させてもらうことになりました。潮風のにおいがする海の街の雰囲気、地元の皆さんの温かさ、本当に素晴らしい場所です」と実感を込める。
サザンデビュー45周年を記念し、今年6月24日に行われた、桑田の母校・茅ヶ崎小学校での人文字のお祝いイベントにも駆け付けた。それに、デビューの日である毎年6月25日には「茅ヶ崎にお邪魔して、江ノ電、江の島、鎌倉・建長寺、(メンバー原由子の実家で横浜の天ぷら料理の老舗)天吉、(横浜の名物バー)スターダストを徘徊しています」。サザンゆかりのスポットばかりだ。
妻との縁結びも、サザンのおかげ。1988年のサザン10周年ツアー。職場が同じだった女性がサザンが気になると話していたので、なんの気なしに誘ってみた。「僕は応援団(ファンクラブ)に入っていてチケットを持っていたので、『一緒に行きますか?』と。そうしたらついてきてくれました」。その女性とはライブをきっかけに交際するようになり、結婚。「愛知・小牧市民球場での土砂降りのライブが妻との初めてのお出かけなんです」。愛する妻との大切な思い出になっている。
子どもたちは、「胎教」でサザンを聴き、保育園の送り迎えの車の中でも曲が流れ、いつもサザンがある家庭の中で育った。「だから、サザンに自然に入り込んでいったのかもしれません」。03年、サザンデビュー25周年ツアーの野外の名古屋公演に初めて子どもを連れて行った。子どもたちはみんなサザンに親しんでおり、一緒にサザンや桑田のソロコンサートを楽しみ、家族の時間を刻んでいる。
それに、「別の息子はギターにもこだわっていまして……」。桑田が特に近年愛用している日本のギターブランドPGMの“桑田モデル”のテレキャス型エレキギターをバイトで貯めたお金で購入。楽器演奏の趣味も広がっているそうだ。
茅ヶ崎ライブ初参加の長男は「いつも以上に感動しました」
松下さん自身、数あるサザンの名曲の中でも、思い入れの深い3曲があるという。「『YOU』(90年)は、僕の小さい頃からのニックネーム『ゆう』と響きが同じで大好きなんです。地元のプロ野球・中日ドラゴンズの大ファンなのですが、『My Foreplay Music』(81年)は、山本昌の現役時代の登場曲。そして、『Oh!クラウディア』(82年)は妻と初めて行ったライブのアンコール最後の曲なんです」。サザンの楽曲とライフイベントは不思議と重なることが多い。
父から子へと受け継がれたサザンファンの情熱。今回茅ヶ崎ライブを初めて体感した長男は「会場へ行く途中、実際に見た茅ヶ崎、烏帽子岩、エボシライン(ファンの間では国道134号線とされている)、江の島が歌詞の演奏曲を聴けて、いつも以上に感動しました」と実感を込めた。
心に響く楽曲、いいものを作ろうと団結する熱意、桑田をはじめメンバーの人柄。そのすべてが「サザンは人生の師匠です」と松下さん。ライブ鑑賞後に「これから50周年に向けて、サザンとファンの“希望の轍”を敷いていただいた茅ヶ崎公演は満月も笑顔でした。ありがとね~! ありがっとう!」。新曲『歌えニッポンの空』のフレーズを交えて、笑顔で締めくくった。
サザンはこれからもきっと、ファンや多くの人に、未来を楽しく生きるための明かりをともし続けてくれるだろう。