【RIZIN】岡田遼、プレイヤーを離れて気が付いた新たな視点「いろんな局面を考えすぎてた」
1年6か月ぶりに戦いの舞台に帰ってくる岡田遼。格闘技イベント「RIZIN.44」で中島太一と対戦する。この1年はプレイヤーを離れ、後輩たちのサポートをしてきた。平良達郎、鶴屋怜、神田コウヤなど海外で試合をする選手のセコンドを務め、試合直前の水抜きを手伝う姿がSNSで多く見られていた。この1年、選手として何を考えて過ごしてきたのか、話を聞いた。
UFCファイターのメンタリティーに「良いパフォーマンスを発揮できそう」
1年6か月ぶりに戦いの舞台に帰ってくる岡田遼。格闘技イベント「RIZIN.44」で中島太一と対戦する。この1年はプレイヤーを離れ、後輩たちのサポートをしてきた。平良達郎、鶴屋怜、神田コウヤなど海外で試合をする選手のセコンドを務め、試合直前の水抜きを手伝う姿がSNSで多く見られていた。この1年、選手として何を考えて過ごしてきたのか、話を聞いた。(取材・文=島田将斗)
――選手のサポートに回ってみて、新たな視点からどんなことを学びましたか。
「試合でのやり取り、攻防の駆け引きから、試合に向けてのコンディション作りまで。海外のUFCファイターを目の前にして、試合に挑むまでのメンタルの持っていき方とか、格闘技に関わる全部の分野を見て勉強になることしかなかったですね。間近でしか見られないものを見たのはすごくいい経験でした」
――特に勉強になったのはどういうところでしたか。
「金網に入るときのテンションというか、気の持ち方は外国人のトップ選手すごかったですね。何のくもりもなく自分の勝利を疑わない。日本人って民族性なのか慎重だったりする。こうなったらどうしようっていう思考がなくて、とにかく自分の持っている力を全部出す。『行くぜ、レッツゴー!』みたいなメンタリティーは日本人になかなかない。でも、これは確かに良いパフォーマンスを発揮できそうだなと感じました」
――逆に言うといままではどんなメンタルで試合をしてましたか。
「いろんなことを考えて、枝分かれして、いろんな局面・シチュエーションを考えすぎてたなというところは彼ら(外国人ファイター)を見て、気が付きました。思いきりに欠けるというか。戦略ももちろんあってのことですけど、結局のところ戦いなんだなっていうのは世界の最高峰を見て思ったところです」
――前戦までは心が追い詰められていたという話もありました。どうしてだったのでしょうか。
「一生懸命やっているつもりだったし、それがつらいとか言った覚えはないんですけど、今振り返ってみると格闘技をやりたくなかったし、練習もしたくないし、試合もしたくなかったという時期がありました。好きで始めたことなんですけど……。結構昔は勝ってたので、負けられない、期待を裏切りたくない、そんなことばかり考えてて心が疲れていました」
――どん底のメンタルからどうやって復活したのですか。
「単純に距離をとることですね。まあ、距離を取ったと言いつつ、後輩たちのサポートは全力でやっていましたけど、自分がプレイヤーとして格闘技と向き合う時間は減ったんです。そこが良かった。客観的にみられて、整理整頓してマインドセットできたかなと」
――自身が経営しているジムが軌道に乗ったことも復帰の理由と話していました。選手と経営の両立は難しいですか。
「めちゃくちゃ大変ですね。僕がいない今もジムを2店舗走らせているんですけど、僕がいるからジムに来てくれるお客さんはいっぱいいる。そういうお客さんに残念な思いをさせてしまう。そこはなかなか難しいですよね。僕のサービスを受けたくて入ってくれたのに僕がいないと離れていってしまう」
――どのように軌道に乗らせたのですか。
「関係性ですね。お客さんに僕がどういう人間でどんなことをやっているのか理解してもらう。格闘技の試合をやっている人でRIZINの試合があると知ってもらうと『この時期はいなくても仕方ないよね』って分かってもらえる。そこまで関係性を持ってきました」
ストレングス&コンディショニングのトレーニングを開始
――この1年の間に岡田選手自身も新しいコーチとのトレーニングを始めました。どんな練習なのでしょうか。
「新しいコーチはGS Performanceの加賀洋平さんです。ストレングス&コンディショニング(S&C)のトレーニングを見てもらっています。S&Cは格闘技のテクニックではなく、一人間として生物としてより速く、より強く、より遠くに跳ぶみたいなトレーニング。いわゆるフィジカルを見てもらうようになって、体調も良くなって、この年になって全ての数値が伸びているんですよ。俺まだ強くなれるんだって」
――今後も調子は上がっていく一方なのでしょうか。
「今後はどうか分からないですけど、加賀コーチに見てもらうようになってから、跳躍力は10㎝以上伸びました。体重は変わらず挙上できる重量も増えてパワーも上がったし持久力も付きました。とりあえず前回試合をしたときよりは格段に伸びているので、試合で生かしたいですね」
――いままでのなかでベストコンディションということですか。
「そうです。いまは一番身体能力の数値は高いです。いままでは10の力でようやくかかっていた技が7の力でかかるようになる。そうするとスタミナが配分できたりする。踏み込みの速い選手に対してのバックステップもスピード負けしない。個の力ってすごいなって。
それはみんなドーピング打ちたがるわ。全然違いますよ。結局ヘビー級が一番強いじゃないですか。パワーとスピードは戦う以上、絶対の優先事項なんだなと。技術はある程度鶴屋さんの元で練ってきた自信はありました。フィジカルはそんなに高くなかったので、そこを強化できました」
――岡田選手は減量に関する講習も開いていたそうですが、昨今の計量ミスにどんなかんそうを持っていますか。
「ミスが多くなっている印象はないですね。昔からあったし。まぁダメなやつっているじゃないですか(笑)。そんなもんだよなって感じですよね。車に乗る以上、日本全国1日1件は交通事故がある。格闘技の大会やる以上、そこは避けられないですよね。しょうがないと受け入れるしかなくて、自分がそうならないように気を付けよう」
――是非とは別になぜ減量で事故が起きることもあります。なぜ起きてしまうのでしょうか。
「知識不足、勉強不足もひとつの理由でしょうし、自分を律せていないことも原因。周りの環境もあるだろうし。これが原因だっていうのは分からない。『人間やってればかぜ引くよ』と同じ感じですよね。まぁでも叩かれてしかりだとは思います。プロの仕事ができていないので叩かれても仕方ない。プロ意識のせめぎ合いですよ。お客さんは好きに言えばいいと思いますけど」