サップ西成が凱旋パレード BreakingDown効果で人だかり ハプニング続きの祝勝会の一部始終
「BreakingDown 9」で勝利した“ドヤ街の番長”サップ西成と喧嘩自慢対抗戦を制した大阪チームの祝勝会が8日夜、大阪市内で行われた。ファンへの感謝を兼ねたイベントは、BreakingDown効果でファンが遠方から駆けつける盛り上がりに。凱旋パレードのゴール地点のアメ村三角公園ではサップらの活躍を知った若者らが次々と協力し、総勢100人でゴミ拾いをするという予想外の展開となった。主催した“伝説の喧嘩師”アンディ南野が一部始終を語った。
SNSで拡散 「遠くは神奈川県、山口県から来てくれた人も」
「BreakingDown 9」で勝利した“ドヤ街の番長”サップ西成と喧嘩自慢対抗戦を制した大阪チームの祝勝会が8日夜、大阪市内で行われた。ファンへの感謝を兼ねたイベントは、BreakingDown効果でファンが遠方から駆けつける盛り上がりに。凱旋パレードのゴール地点のアメ村三角公園ではサップらの活躍を知った若者らが次々と協力し、総勢100人でゴミ拾いをするという予想外の展開となった。主催した“伝説の喧嘩師”アンディ南野が一部始終を語った。
サップは「BreakingDown 9」で“北九州の喧嘩自慢”松井健に勝利。前田日明襲撃事件など悪名で知られた伝説の不良が46歳にして歓喜する姿は、多くの人の心を打った。
祝勝会は午後8時過ぎ、北新地にあるサップ西成の店に集合。凱旋パレードは事前にルートを公開しており、SNSで情報を見たファンが店前に待ち構えていた。
「BreakingDownの大阪チームのメンバーみんなもそれぞれSNSとかで告知やってたみたいで、サップさんの店の前に人だかりができていました。遠いところやったら神奈川県とか、山口県から来てくれた人もいて、『SNSで見たので、会えるんじゃないかと思って来ました』と言っていましたね。20~30人ぐらい集まりました」
全員で記念撮影をすると、きらびやかなネオン輝くトゥクトゥク2台とキャデラックのオープンカーに分乗して出発。大阪の大動脈、御堂筋をゆっくりと、ミナミに向かって走行した。
「普通に時速は30キロぐらい、法定速度内で信号を守りながら走っていたんですけど、それに対してファンの方が自分の自家用車やタクシーで追走するみたいな感じになっていました。そこまでついても来るんだと思いました」
約10分後、三角公園に到着。ここではさらに予想外の展開が待ち受けていた。
アンディやサップが計画していたのはごみ拾い。それぞれがごみ袋とトングを持って、アメ村一帯の清掃を始めようとした。すると……。
「面白かったのは、たまたまそこにいてた老若男女ですね。その人らが、『みんな同じようなシャツ着て、何かの集まりですか?』って声をかけてきたんです。『いや、僕らはこの前、BreakingDownで……』と話したら、『あー見てました、見てました』と。それで、『ごみ拾いしようと思ってんねん』って言ったら、『僕らも一緒にさせてもらっていいですか。僕らもここたまり場なんで、遊び場なんで』みたいな感じで、結局100人近くの人でごみ拾いしましたね。びっくりです」
アンディらは10人ほど。他に大阪チームのシモミシュラン率いる空手道 下川道場の生徒も10人ほどが参加していた。他の80人は飛び入り参加の若者たちだった。
サップは“携帯灰皿配りおじさん” 知られざる素顔
「多かったのはタバコの吸い殻。あとは飲み物のごみ、食べ物のごみ。ほぼそんな感じでしたね。だからモノで言ったら、すごくちっちゃいごみなんですけど、1時間で90リッターのポリ袋4つ分、約360リッター分のごみが集まりました。見た目はクリーンになるし、それをやっている自分たちの気持ちも何か涼しい風が吹くじゃないけど、気持ちよかったですね」と、アンディは振り返った。
その後、サップの店に戻り、祝いの宴を開いた。
それにしても、なぜ祝勝会の一部にごみ拾いを入れたのか。
「元々みんなでたらめな、好き勝手生きてきてなぜか格闘技が自分の軸になった人間たちが、BreakingDownっていう今で言えば知名度で一番大きい格闘技イベントにチームとして集まることになった。うまいこと勝てたっていうのもあるけども、こうやって集まったからには何か別のことを今後もやっていきたいっていう中で、今日はごみ拾い活動をしました」
ごみ拾いの裏には、サップの心変わりがあった。
「元々は彼はあちこちで自身でも言うてるんですけど、昔はもう『道路はゴミ箱やと思ってた』っていうぐらいの感覚の人間やった。ただここ最近はぱっと目についたごみはもう体が自然に反応してしまう。ごみが目についたら、反射的にあれなんで俺体動いてんのやろっていうぐらいに勝手にごみを拾う体になっているんですよ。携帯灰皿もいつも3個も5個もポケットやカバンに入れて、『よかったらこれ使ってね』と言って渡している。携帯灰皿配りおじさんみたいに」
BreakingDownに参戦する目的は人それぞれ。けんか自慢、最強を証明するために乗り込む人もいる。それも大阪チームの目的の一つだが、とくに人生の酸いも甘いも経験しているサップやアンディは、意識の方向がはっきり異なるようだ。
BreakingDown10にエントリー 啓之輔を挑発
祝勝会で飛び出したキーワードは「あまのじゃく」という言葉。通常はネガティブな意味で、性格がひねくれている人のことを言う。
「みんな誰の言うことも聞かへん、究極のあまのじゃくみたいな人間ばっかりやったんですけど、ただ、あまのじゃくな人間って何かて言うたら、自分がこれと思ったことを周りが何を言おうと信じてそれをやり続ける意思、そういう変な信念の持ち主でもあるんですよ。ごみを拾ったり、困っている人を助けたりとかほんまに世の中で言う善行って、今まで照れくさくてとか、もしかしたら偽善って言われるからやったことなかったけど、やってみたらめちゃめちゃ気持ちいいし、その輪っかが思ったよりもぐんぐん広がっていく。本当に素晴らしい活動、行動だねって周りに言われることで、これやなっていうのをあまのじゃくが善行の方向に向いたときに、すごいエネルギーが湧いてくるんやなって見ていて驚きましたね」
深夜に宴が終わっても、大阪チームの1日は終わらなかった。そのまま、“大阪のトー横”と呼ばれるミナミの戎橋(通称・グリ下、ひっかけ橋)に移動。パパ活や売春の根城になっているような待ち合わせスポットでパトロール活動を行い、帰路に着いた。
次回BreakingDown10について、サップは早々にエントリー。対戦相手に、啓之輔を指名した。アンディも10日の締め切り最終日に申請を済ませた。ますます勢いづく大阪チームはどんな闘いを見せるのか。