銀座の“伝説の味”が復活へ 閉店した『銀座キャンドル』のチキンバスケット、3代目店主がこだわりレシピで提供
1950年に東京・銀座で創業し、長らく人気を集めたものの2014年に閉店した洋食店『銀座キャンドル』の名物メニュー・チキンバスケットが復活することが決まった。文豪や著名人に愛された伝説の味。伝統のレシピを守る3代目店主の岩本忠氏が、麻布十番で9月に新たにオープンとなるレストランで、メニューを継承して提供を開始する。岩本氏は「ウチのチキンが大好きな方々がいらっしゃいます。皆さんが喜んでくだされば提供する側としてうれしいです」と意気込んでいる。
麻布十番のレストランでコース料理のメニューとして提供開始
1950年に東京・銀座で創業し、長らく人気を集めたものの2014年に閉店した洋食店『銀座キャンドル』の名物メニュー・チキンバスケットが復活することが決まった。文豪や著名人に愛された伝説の味。伝統のレシピを守る3代目店主の岩本忠氏が、麻布十番で9月に新たにオープンとなるレストランで、メニューを継承して提供を開始する。岩本氏は「ウチのチキンが大好きな方々がいらっしゃいます。皆さんが喜んでくだされば提供する側としてうれしいです」と意気込んでいる。(取材・文=吉原知也)
銀座5丁目で店を構え、赤と白のギンガムチェックのテーブルクロスなど当時モダンな内装が話題を呼び、作家の三島由紀夫や川端康成、俳優の渥美清、歌手の越路吹雪ら文豪や著名人が足しげく通った。
中でも、名物チキンバスケットは多くの人に愛された。銀座キャンドル創業者の岩本正直氏がチキンバスケットに出合ったのは、米進駐軍のクラブハウス。パン粉を用いて日本人向けにアレンジしたフライドチキンを開発。それをかごに盛り付けた料理が、名物のチキンバスケットだ。米国への憧れが強かった時代で、一躍人気のメニューになった。
お披露目のイベントで、報道陣が見守る中で、実演調理。岩本氏は真剣な表情で揚げ具合を確認しながら、時間をかけて丁寧に仕上げ、見るからにジューシーでおいしそうなチキンバスケットが完成した。「ムネ肉を使っていてパサつくイメージですが、ガラッと変わると思います。ウチはジューシーになるような作り方をしています。冷めてもおいしいと言っていただけるので、その意味では変わったものかもしれません」と自信を込めて語った。
今回、麻布十番で9月7日にグランドオープンするレストラン『Japanese Yoshoku TARO』。モダンレトロな洋食のフルコースが売りで、チキンバスケットをはじめ、海老マカロニグラタンや和牛ハンバーグ、オムライスなどの料理を「おまかせコース」として提供する。岩本氏は同店の料理長兼総合監修を務める。
今回の復活のきっかけは、総合広告会社・株式会社新東通信の東京本社オフィス(銀座に所在)のリニューアル。その一環で、キッチン付きラウンジが設けられ、“銀座の食文化を守り発信する基地”として、社員だけでなく飲食店関係者にも活用してもらうことを検討。第1弾として、銀座の伝説の味がよみがえることになった。
惜しまれながら9年前にのれんを下ろした銀座キャンドル。2019年に麻布十番のバーを間借りする形で営業再開するなど、単発で提供してきたが、チキンバスケットは今後はコース料理の1つとして固定メニューで楽しめることになる。
一般社団法人・日本洋食協会会長の要職も務めている岩本氏は「SNSのメッセージなどで『いつやるの?』『どこでやるの?』と聞かれることも多かったです。今回、チキンバスケットだけでなく、ハンバーグやグラタンなど少量多品目でコース料理を提供します。日本の洋食文化がもっと広まればいいなと思いますし、ウチのチキンバスケットは『日本で最初のチキンバスケット』と言っていただいているので、キラーコンテンツの1つになればいいなと思っています」と前を見据えた。