古今亭志ん生没後50年、一門総出演の10日間 人間国宝・五街道雲助もトリ
昭和の名人、落語の神様を追善する「古今亭志ん生没後50年追善興行」の記者会見が8日、東京・新宿末廣亭で行われ、同亭の真山由光席亭、落語家の五街道雲助、古今亭志ん彌、金原亭馬生が一門の強みなどを語った。志ん生没後50年に加え、今年は先代金原亭馬生没後40年、古今亭志ん朝23回忌、先代古今亭圓菊13回忌という「節目の年」(真山席亭)。雲助が先ごろ、人間国宝の認定を受けるという慶事も重なったタイミングでの追善興行。期待は膨らむ。
落語の神様・志ん生没後50年寄席で追善興行 NHKはカラー化で名人芸を放送へ
昭和の名人、落語の神様を追善する「古今亭志ん生没後50年追善興行」の記者会見が8日、東京・新宿末廣亭で行われ、同亭の真山由光席亭、落語家の五街道雲助、古今亭志ん彌、金原亭馬生が一門の強みなどを語った。志ん生没後50年に加え、今年は先代金原亭馬生没後40年、古今亭志ん朝23回忌、先代古今亭圓菊13回忌という「節目の年」(真山席亭)。雲助が先ごろ、人間国宝の認定を受けるという慶事も重なったタイミングでの追善興行。期待は膨らむ。(取材・文=渡邉寧久)
9月中席(11日~20日)。11日から15日までを前半、16日から20日までを後半と区切り、昼夜通しで(入れ替え制)、落語家に漫才師、ギター漫談家、奇術師など総勢約80人の古今亭・金原亭一門が総出演する。
チラシには「祝 五街道雲助人間国宝認定」という言葉も踊るが、「人間国宝になってもまるで変わりませんね」といつもながらの雲助は「祝? あらま」と驚きつつ「一門でやる寄席興行がメーンだということは知っていただきたいと思います」と出しゃばらない。加えて、「感慨にふけっています。もうそんなになるのかな。これだけたちますと生志ん生、生志ん朝、生馬生、生圓菊を知っている人がだいぶ減っているわけでございます。芸に直接触れた方も少なくなっている。まったく我々でもって再現するのは無理なのですが、芸という味を少しでも出せたらなと、意気込みをもってやっていきたい。お客さんにも大勢お詰めかけ願いたいと思います」と呼びかけた。
2人の息子(先代金原亭馬生と古今亭志ん朝)も名人となり、同時に多くの弟子を育て落語界に一時代を築いた志ん生。弟子や孫弟子、ひ孫弟子らが今も、落語人気をけん引する。
そんな一門の強みについて馬生は「(先代の)馬生の口癖が『何でもいいんだよ』。ルーズに聞こえましょうが、奥が深い、どうでもいいじゃなくて『何でもいいんだよ』ということで同じような芸風が少なくお客様は飽きない。強みだと思います」。志ん彌は「団結力の強さでしょうね。うちの師匠(先代圓菊)も、古今亭(がいちばん)だった。(他の一門に)負けんじゃない」と発破をかけられたことを回想。雲助は「一つにまとめようとしない、フリーなところがある一門。だからかえって結束できる」と強調した。
古今亭の総帥として、タレントのビートたけし等にも影響を与え、死後半世紀近くたっても存在感がまったく薄れない志ん生の魅力について、雲助は「決まった芸風ではない。三遊亭や柳家はわりときっちり演じる。大師匠(=志ん生)はアドリブ的に演じるところがある。これが受け入れられている」と分析。馬生は「昭和の名人の中でも、図抜けていましたね。売れない期間が長く、暇があったので、(三遊亭)円朝ものから人情ものもお稽古した。徳を持っている人だと思います」と遅咲きだった芸を絶賛した。
志ん彌も「稽古量なんでしょうね。それが志ん生師匠のすべてだと思います」と、並外れた稽古量が芸を裏付けしたことを振り返った。
チケットの発売は8月8日昼12時から、チケットぴあで。興行期間中には、「復刻版 古今亭志ん生手拭い」を会場で限定発売する。
興行期間中にNHKでは、公開イベントを収録したラジオ・テレビ番組が放送される。9月16日は、ラジオ第一「真打ち競演」(ひる1時5分~)で、五街道雲助と古今亭文菊が、志ん生ゆかりの演目を口演する。さらに17日にはEテレで「カラーで蘇(よみがえ)る古今亭志ん生」(ひる2時~)が放送される。1955年の映像「風呂敷」を4Kカラーでよみがえらせたもので、芸の油が乗った時代の志ん生が、カラーで楽しむことができる。
両放送の公開収録は9月1日、埼玉・川口市のSKIPシティのビジュアルプラザ4F映像ホールで行われる。入場無料。観覧希望者は往復ハガキで申し込める(8月18日必着)。郵便番号333-0844 川口市上青木3の12の63 NHKアーカイブスイベント係。往復裏には「落語イベント希望」と明記し、氏名(ふりがな)、年齢、重症、電話番号、同行者の氏名と年齢(1枚で2名まで申し込み可)。送信表には自分の住所と名前を。