カンニング竹山、心のモヤモヤが消えた巨匠からの一言「遊ぶんだよ」 開き直りで人生が好転
お笑いタレントのカンニング竹山が『カンニング竹山の50歳からのひとり趣味入門』(ポプラ新書)を上梓した。メディアの第一線で活躍しながらも、プライベートでは多くの趣味を楽しんでいる竹山。同書は、自身の趣味を紹介しながら、人生の後半をどう生きるかという“人生論”にもなっている。
カンニング竹山インタビュー、著書『カンニング竹山の50歳からのひとり趣味入門』発売
お笑いタレントのカンニング竹山が『カンニング竹山の50歳からのひとり趣味入門』(ポプラ新書)を上梓した。メディアの第一線で活躍しながらも、プライベートでは多くの趣味を楽しんでいる竹山。同書は、自身の趣味を紹介しながら、人生の後半をどう生きるかという“人生論”にもなっている。(取材・文=中村智弘)
今年で52歳になる竹山。40代の頃、漠然とした不安が芽生えたという。
「これからどんな年の取り方をしていくのか、 仕事はどうなるんだろうとか、その先がよく見えない迷いのようなものがありました。得体の知れない不安感ですね」
そうした不安は、芸能界の大先輩・堺正章に見抜かれていた。ある日、「最近どう?」「ちゃんと遊んでいるのか」と聞かれた。堺も40代の頃、将来への不安、もがくような気持ちを感じたことがあったという。竹山が「どうすればいいんですか」と聞くと、堺は「遊ぶんだよ」と答えた。
以降、“遊ぶこと”を意識し始めたら、心のモヤモヤが消え、人生が好転し始めたという。ただ、これまで一緒に遊んでいた後輩が結婚したり、子どもができたりして、次第に“遊ぶ仲間”が減っていった時期でもあった。竹山は「はい、もうじゃあいいよ、一人で遊ぶよ」と開き直ったという。
「一人で遊んだら意外に楽しかった。いや、逆に一人のほうが楽しい、となったんですよね」
周りには、木梨憲武やヒロミら、遊ぶことに長けた“見本”となる先輩がいた。自分の趣味を大切にしながら、自由に生き、いつでも楽しそうな姿を参考にした。
「これまで、いろんなことを決め過ぎていたなって、実感しました。『人生、こうあるべきだ』というものに縛られ過ぎていた。もっと、自由でいい。自由に遊んで、それがそのまま仕事になればいいなと思い始めたんです」
本書の中には、競馬、バイク、キャンプなど、竹山の趣味が紹介されている。どれも、とりあえず、始めてみるか、と気軽に始めたものばかりだ。やるうちに楽しさが分かり、ハマって、のめりこんでいった。
大切なことは、興味がわかなければ、スパッとやめること。竹山の場合、ゴルフを始めてみたものの、面白さが分からず、ハマれなかった。そうなれば、誘われても断る。みながやっているからといって、自分がやらなければいけないわけではない。
「もっと楽に生きようよ、って思うんです。例えば、この本で言うと、あれもやってこれもやっているけど、極めているものが1個もないと思うかもしれない。でも、趣味は極める必要はないんです。みな勘違いしている。その瞬間、瞬間で楽しかったら、それでいい。もちろん、スペシャリストになりたい人は、突き詰めればいいんです」
出世争い、犬の散歩も立派な趣味「一番よくないのは、何もやらないこと」
楽しければ、何だって“趣味”になる、と竹山は言う。例えば、40~50代で、会社での出世争いに生きがいを感じている人であれば、それを夢中になってやればいい。犬の散歩している時が楽しいと感じれば、それも立派な趣味だという。
「(カレーの)ココイチ、(ラーメンの)天下一品に行くことでもいい。それも“趣味”です。一人で食事に行くのは寂しいけど、毎回、行っていると、その店の常連になる。隣の人としゃべることもあるでしょうし、出会いがあるかもしれない。孤独を楽しむのもいいけど、コミュニティーを持つことも大切です。立ち飲み屋でよくあるパターンですが、1人で飲んでいても、いつの間にか周りに知り合いがいて一緒に飲んでいた、ということもあります」
あとがきの部分で印象深い一文がある。「一番よくないのは、何もやらないことなんです」。改めて、この一文に込めた思いを聞いた。
「当たり前のことですが、何もやらなかったら何も生まれないじゃないですか。おじさんになってくると、“死”がよぎるんです。あー、あれやりたかったって死ぬよりも、自分の身の丈に合った範囲で、やりたいことはやっておいた方がいい。やりたくないと思うことはやらなくていいですが、どうしようかなと迷った時はやるべきですよね」
□カンニング竹山/竹山隆範(たけやま・たかのり)1971年4月2日、福岡県出身。92年、小学校の同級生だった中島忠幸と組んでお笑いコンビ・カンニングを結成。レギュラー番組としてABC『探偵ナイトスクープ』、NHKEテレ『今君電話』、CBC『ゴゴスマ』などバラエティー番組、ワイドショーに出演するほか、単独ライブ『放送禁止』や動画配信『竹山ライブショー』など、様々なメディアで活躍する。著書に『福島のことなんて、誰もしらねぇじゃねえかよ!』など。