「どうやってるんだこれ」 ネットを驚嘆させた鶴の畳、繊細すぎる職人技「織り目の角度をずらし光の反射を変える」
畳。日本の象徴的な文化であり、古くは平安時代ごろから使用されてきたとされる床材だが、それが鶴に?そんな展示が京都府の寺で行われていた。作者であるKenzie Yamada(@japanese_floor)さんに製作の背景について話を聞いた。
デザインから制作まで1人で、製作期間は1年弱
畳。日本の象徴的な文化であり、古くは平安時代ごろから使用されてきたとされる床材だが、それが鶴に?そんな展示が京都府の寺で行われていた。作者であるKenzie Yamada(@japanese_floor)さんに製作の背景について話を聞いた。
京都・東福寺光明院で7月1日から30日まで個展を開いていたYamadaさん。展示の経緯について、「庭園があり解放的な場所をインターネットで探しており、自分のイメージにバッチリあった光明院さんを見つけました。京都まで行き、飛び込みで展示をさせていただけないか交渉して、展示させて頂くことが決定しました」と経緯を明かした。
すべて同じ色だというから驚きだ。「全て同じ色の畳ですが、光の反射を利用して、2色の鶴に見えるように計算して作りました!」と書かれたツイートには1枚の写真が。室内に敷かれた畳には大きな羽を広げた鶴の姿。曲線が克明に表現されており、力強い目も印象的だ。また、羽の一つ一つも再現されており、今にも羽ばたいていきそうだ。製作期間について聞くと、「デザインから制作まで一人で行っており、1年弱かかりました」と明かした。
いったいどうやって表現されているのか。「琉球畳といわれる一般的なヘリのない畳と同じ作り方で、曲線になると完全に手作業で時間をかけて少しずつイ草を曲げてつくっています。全て同じ色のイ草で作っていますが、畳の織り目の角度をずらし光の反射をかえることで、見える色を変化させています。なので真上から見ると同じ色に見えますが、距離をとって鑑賞するとイ草の色がさまざまな色に変化していることが分かります」と詳細を教えてくれた。
見事な作品だが、鶴を表現したのはどういう理由があるのか。
「解放された空間の床をデザインすることで、室外と室外の境界が曖昧になるのではないかという仮説があり、庭園のあるお寺を探していました。枯山水を湧水に見立てて、そこに水を飲みに来た鳥のようなものを描きたいと考えており、光明院の住職に相談したところ、お寺の寺紋が鶴であることがわかり、鶴を描くことにしました」。
このツイートは約1.7万件のリツイートと約11.1万のいいねを記録した。「まさか…一枚一枚?と、思ったら そのまさかだった」「やば、絶対に嘘やと思ってしまうレベル笑笑」「幻想的で、どうなっているのか不思議」「読んで理解しても意味がわからないww」「どうやってるんだこれ」とそのクオリティーに脱帽する声が集まっていた。
「個展が始まって毎日200名近くの方がご来場して頂いております。正面から見るのと反対面から見るのでも色が変化するので、みなさんとても不思議そうに見学されております」と実際に訪れた拝観者の反応を語ってくれたYamadaさん。「数年に一度、今回のような個展を開催して」いるとのことで、今後の予定について聞くと、「畳は日本人にはなじみ深いですが、海外ではほとんど利用されていません。畳の良さを海外でも広めていきたいですし、最終的にはベルサイユ宮殿で個展を開催したいと思っています」とのこと。海外での活躍が見られる日も近そうだ。