“マックの店員”と揶揄された鈴木千裕 現米国王者を1RKOできたワケ「大きな収穫だった」

格闘家の鈴木千裕(24歳)が30日、格闘技イベント「シリカ presents 超RIZIN.2 powered by U-NEXT」でパトリシオ・ピットブル(ブラジル)と70キロ契約で対戦。1R・KO勝ちを収めた。試合後の会見では「格闘技の醍醐味」や「緊急出場」について語った。

最初から強振し続けていた鈴木千裕【写真:(C)RIZIN FF】
最初から強振し続けていた鈴木千裕【写真:(C)RIZIN FF】

マイケル・チャンドラーをKOしたこともあるパトリシオ・ピットブル

 格闘家の鈴木千裕(24歳)が30日、格闘技イベント「シリカ presents 超RIZIN.2 powered by U-NEXT」でパトリシオ・ピットブル(ブラジル)と70キロ契約で対戦。1R・KO勝ちを収めた。試合後の会見では「格闘技の醍醐味」や「緊急出場」について語った。

 世界を驚かせたKOシーン。強く振りぬいた右腕がパトリシオの顔面を完璧に捉える。パトリシオはそのままマットに固まったまま倒れた。現Bellatorフェザー級王者をKOした鈴木に会場は大興奮。立って拍手する者もいた。

 パトリシオはライト級からバンタム級まで3階級の体を作れる言わば超人的な選手。2019年には、現在「UFC」のライト級5位のマイケル・チャンドラー(米国)をKOしている「Bellator」の看板的な存在だ。直近の6月の試合はバンタム級で戦っていた。

 この試合が決まったのは、試合の4日前。決定のニュースに日本からは「無理だろ」などの声が多く上がり、米国からは「マックの店員」「女の子?」など全く相手にされていなかった。さらに鈴木は6月24日のクレベル・コイケ(ブラジル)との王座をかけた一戦では一本負け(クレベルの体重超過による無効試合)を喫していたばかりだった。下馬評は圧倒的不利。

「俺のパンチは世界に通用したんだな」と笑顔の鈴木。この日までの1か月を「本当に格闘技の醍醐味を味わっているような……。ズドーンと落ちて、ズドーンと上がる。この1か月、、下がって上がっての1か月。最高に充実してますよね。やっぱ格闘技って面白れぇなって」と振り返る。

 打ち合いの展開にできた理由について「僕が三日月蹴りを蹴ったんですよね。そのときにパトリシオが『うっ』って言ったんですよね。自分の経験なんですけど、腹が効いてるときってなかなかタックルできない。それで打ち合ってくると思って、『負ける勇気をもって』ツッコんで勝ちに行くぞと思って、そしたら右が当たった感じですね」と言及。

 今後の動向を問われると「一回冷静にならないと。俺の悪いところなので(笑)」と濁した。

大金星に観客大興奮【写真:(C)RIZIN FF】
大金星に観客大興奮【写真:(C)RIZIN FF】

 緊急出場の選手が多かった今大会は、スクランブル発進の選手が苦戦する姿に暗い雰囲気もあったが、鈴木の勝利で一気に晴れた。緊急出場での勝利で得たものは何だったのか。

「僕は自信ですね。前回の試合で負けて、本当にへこんで。試合が決定してからも格上なので『無理だ』『負ける』って散々言われて。それこそDM(ダイレクトメッセージ)でも『おつかれ、負けたね』とかすごい来て。でも俺は勝つって。俺のチームとファンが付いてるから絶対勝てると思って今日を迎えて、勝つことができた。自分を信じることができたのが大きな収穫だった。準備期間がなくても、自分を信じるのが1番大事なので。それができるのが僕にとって1番の武器だと思います」

 今回の勝利で“鈴木千裕”はX(ツイッター)のトレンド入り。昨年は「ツイッターをしてる時間ない」と話していたが、この1年でSNSへの考え方に変化があったようだ。

「うれしいですよね。SNSの良い使い方ができる。これで見てくれる人が増えれば、自分のイベントに多くの方に来てもらえたり、悪い面もありますけど、良いことを発信できるのがうれしい。あおりも格闘技の一部だと思うんですけど、僕はそういうのじゃねーんだなって。口で言うよりも拳で語る。これをきっかけに多くの人にフォローしてもらいたいです」

トップページに戻る

あなたの“気になる”を教えてください