オカダの史上初偉業にノアからの刺客、「シン」棚橋弘至…真夏の祭典「G1 CLIMAX 33」今年の見所は?
真夏の祭典「G1 CLIMAX 33」の激闘が続いている。8月13日、東京・両国国技館の優勝決定戦まで、猛暑の夏をますます熱くさせるが、いまや新日本プロレスにとどまらず日本いや世界マット界のスーパーイベントとしてすっかり定着した。
毎週金曜日午後8時更新 柴田惣一のプロレスワンダーランド【連載vol.154】
真夏の祭典「G1 CLIMAX 33」の激闘が続いている。8月13日、東京・両国国技館の優勝決定戦まで、猛暑の夏をますます熱くさせるが、いまや新日本プロレスにとどまらず日本いや世界マット界のスーパーイベントとしてすっかり定着した。
今回は史上最多の32選手が参加。初参加の選手はもちろん、常連のレスラーたちにとっても「G1」はスペシャルだろう。
かつて参戦した西村修が「いや、想像以上にきつい。コンディション調整を怠ると、何より自分がつらいことになる。最後までもたない」と振り返る。酒豪で名高いが「G1中は禁酒した」と神妙そのもの。
年々、日本の夏は暑くなる。ブロック分けなどで、連日のシングル連戦は少なくなったが、G1戦士の名誉を守るための節制、精進が必要なのは変わらない。
多くのレスラーにとってG1が、その後のレスラー人生を左右するきっかけとなり、分岐点となっている。夏男としてG1で飛躍した蝶野正洋、闘魂三銃士(武藤敬司、橋本真也、蝶野)の人気が爆発したのもG1、天山広吉の新・夏男襲名……日本プロレス史に刻まれる過酷な優勝争いはもちろんだが、棚橋弘至が優勝旗を振り回し、折ってしまったハプニングなど、G1を語ると時間がいくらあっても足りない。
汗をふきふき両国国技館に連日、通った日々。リング上で重い大トロフィーをふらつきながら、優勝者に手渡すとき一言声をかけていた。棚橋に「おめでとう」というと「柴田さんも愛してますよ」と小声で答えてくれた。内藤は足元がおぼつかない私の様子をまねしながら「重いですよね」と目を見開かれた。その返事に各選手の個性が出ていた。
所属外の選手の奮闘にうなずきながらも、ついつい新日本勢サイドに立ってしまう放送席に「中立、中立」と心掛けたことなど、私の思い出も尽きないが、ファンの皆さんも忘れられない名場面があるだろう。
長州力の全勝優勝。中西学が武藤をアルゼンチンバックブリーカーで担ぎ上げた感涙もののシーン。外敵・秋山準を退けた天山のV。小島聡による所属選手以外による初制覇。ケニー・オメガの外国人選手初のビクトリー……それぞれの感動の光景もこれまた語りつくせないはず。それぞれの胸にそれぞれのG1がある。
今年も新たなG1伝説の誕生を目撃できる。物議をかもした令和闘魂三銃士の中から、誰かが抜け出すのか。再起をかけるオカダ・カズチカが史上初の3連覇を果たすのか。ノアから乗り込んできた清宮海斗はどこまで勝ち進むのか。「シン」棚橋弘至の登場を訴えた棚橋の巻き返しはなるのか。内藤哲也の優勝アピールはあるのか。IWGPヘビー級王者・SANADAのベルトとの2冠はなるのか……。
見所は数えきれない。ニューコスチュームも披露された。清宮はノアの魂を込めた「緑の翼」をまとった。棚橋は両腕にアームカバーを装着した。
とにもかくにもG1は猛暑どころか酷暑の日本列島をますます熱くする。今では世界中に発信され、外国人ファンの生観戦も珍しくなくなった。
かつては「日本帰りは出世する」が定番だったが、今では「日本こそ世界のプロレスの中心」と言っても過言ではない。世界プロレス界の中心に最後に立っているのは誰だ? 栄冠を掴んだ男は何を叫ぶのか? 栄光への道のりをしっかりと見届けたい。