俳優の若村麻由美が、20日にスタートするフジテレビ系ドラマ『この素晴らしき世界』（木曜午後10時）に出演する。地上波連続ドラマで主演を務めるのは、約20年ぶりとなる。平凡な主婦が、突然失踪した大女優になりすまして“二重生活”を送ることになるコメディー作品で、主婦・浜岡妙子、大女優・若菜絹代という2人の人物を熱演。囲み取材で作品への思い、見どころを明かした。

　1人2役ではなく、実際には主婦である妙子、妙子がなりすました絹代、本物の絹代と3役を演じる形となった若村。「私の中では、まずは浜岡妙子という普通の主婦が基本としています。マキタスポーツさん（印刷会社に勤務する夫の浜岡陽一役）、中川大輔くん（社会人一年目となった息子の浜岡あきら役）と3人家族というのが第一で、普通の主婦が見たこともない世界に飛び込むという所から始まるので、それが基本になっています」と、演じ分けるにあたって意識したことを語った。

　第1話では、スキャンダルがきっかけで失踪した絹代に変わり、妙子は謝罪会見に出席することになる。「その中で妙子が、自分の中の未知なる可能性みたいなものに気づき始める。最初はかなり後ろ向きだったけど、あることをきっかけに一歩踏み出すんです。その過程もおもしろおかしく描かれていて、毎話、毎話、展開が早くて、飽きずに見ていただけると思います」と手ごたえを感じているようだ。

　本物の若菜絹代を演じるシーンは、まだ撮影が始まったばかり。「実はこの人が一番ミステリーで、まだ悪魔的な所は撮影していません。どんな風に悪魔なのかは私もやってみないと分からないのですが、おそらく本人はマイペースであるということだと思う。それが客観的に、悪魔という所でもあるのかなというのは思っています」と若菜絹代像を膨らませた。

　3つの役を演じたことで改めて気づかされたこともあり、「シチュエーションがしっかりあるので、自然に相手役とせりふを交わす中で、声のトーン、役の重心みたいなものが決まってくるんです。なので、自然に姿勢も変わってくるし、歩き方も変わってきます。そう考えると、人間というのは、人に対してどう見せたいか、そういう人との距離感で人物ができていくんだなと感じました」とコメントした。

　3役の中で特に共感できる存在を聞くと、「意外と普通に暮らしている主婦・妙子に共感できます」と回答。「私はスーパーで働いたことはないのですが、楽しいだろうなと思っていました。キュウリのパックがどうやってできているのか知らなくて、子どもの頃から不思議に思っていたのですが、そういった知らなかったことを実際に体験させていただいて楽しかったです」と撮影現場でのエピソードを明かした。

　鈴木京香の体調不良による降板を受け代役出演が決まった際、準備期間が短かったことへの不安を吐露していた。その不安は今も払拭しきれていない様子ようだが、「撮影初日、いろんなことが分からないままでも、あたたかく迎え入れてくださったスタッフさん、共演者のみなさんとならやっていける。大きな安心感と共に楽しいと感じられました」と心境を語った。

　今作の撮影は、撮影場所ごとに1話から最終話までを一気に撮影する形で行われている。「昨年末に台本が全話できていて、スーパーだったらスーパーばかり、浜岡家だったら浜岡家ばかり、という感じで一気に撮っています。なので、ピースをつなげて1話になるという感覚がまだないんです。それが逆にワクワクします」と笑顔で語り、「信頼できるスタッフなので、どうおもしろくしてくれるんだとうと、大船に乗った気持ちです」と期待を膨らませた。

「若村さんにとって役者の世界とは？」という質問には、「私にとって素晴らしい世界です」と回答。「今回もそうですが、『あなたに』と言っていただけることが、ありがたいです」と代役主演のオファーに感謝し、「どんなお仕事でも、必要とされるということは、本当に幸せだと思うので、『あなたに』と言っていただける役者で居続けたいと思います」と願いを込めた。

□若村麻由美（わかむら・まゆみ）1967年1月3日、東京都出身。87年にNHK連続テレビ小説『はっさい先生』のヒロインに選ばれデビュー。2023年、フジテレビ系連続ドラマ『この素晴らしき世界』で主演を務め、今作が『夜桜お染』（03年、フジテレビ系）以来、約20年ぶりの地上波連続ドラマ主演となる。

■フジテレビ・木曜劇場『この素晴らしき世界』
7月20日スタート。毎週木曜、午後10時放送。初回15分拡大。
出演者：若村麻由美、木村佳乃、マキタスポーツ、平祐奈、中川大輔、永瀬莉子、谷田部俊（我が家）、西村まさ彦、沢村一樹