俳優で歌手の平手友梨奈が、フジテレビ系10月期ドラマに出演することになった。昨年12月、BTSを擁する韓国の大手芸能事務所・HYBEの日本本社であるHYBE JAPANへの移籍を発表。その後、今年3月にサントリーコーヒー『クラフトボス』のテレビCMに出演した以外、動静が報じられてこなかっただけに、今回の電撃発表はファンを歓喜させている。グローバルファンプラットフォーム『Weverse』に開設されている平手のコミュニティーには、「てちの活動は本当に力をくれます！ありがとう」「ドラマ すごく楽しみ。今からわくわが止まらない」「週に1回友梨奈ちゃんに会える」「暑い中の撮影大変だろうけど無理しないでね」などのメッセージが日本語、中国語、英語で続々と寄せられている。

　平手が出演するのは、俳優・ムロツヨシ主演のフジテレビ系10月期連続ドラマ『うちの弁護士は手がかかる（仮）』（金曜午後9時）。スター女優を育てた芸能事務所の元敏腕マネジャー・蔵前勉（くらまえ・べん／ムロ）が、超エリートなのにどこか不器用でポンコツな新人弁護士の天野杏（あまの・あん／平手）のマネジメントを任される。そして、天野に振り回されながらも、パラリーガル（弁護士の業務をサポートする法律事務員）として奮闘する主人公の姿を描いた育成型リーガルエンターテインメントになるという。

　平手のドラマ出演といえば、TBS系『ドラゴン桜 第2シリーズ』（21年4月期）の岩崎楓役、韓国ドラマ『梨泰院クラス』の日本リメイクとなったテレビ朝日系『六本木クラス』（22年7月期）のヒロイン・麻宮葵役の印象が強い。前者は、五輪出場を目指して打ち込むバドミントンの練習と東大専科の勉強を両立させようと高校生役。後者は、IQ162の天才的頭脳を持つ人気インフルエンサー役だった。いずれも、平手のクールで時に熱い演技が視聴者に強いインパクトを与えた。他方で、ファンからは「平手が本来持っている天真爛漫（てんしんらんまん）な一面を生かして、肩の力が抜けたナチュラルなキャラクターを演じてほしい」という声も上がっていた。果たして、『うちの弁護士は手がかかる（仮）』では、どのような演技を見せるのだろうか。

　手がかりとなりそうなのが、同局から発表されているストーリーの概要だ。

「杏は、人とのコミュニケーションが苦手な上に、やる気が空回りしてしまい、弁護士として全く成果を出せずにいました。しかし、不器用ながらも依頼人に力を尽くそうとする杏の姿に心を動かされた蔵前は、杏が一人前の弁護士になるためのサポートをすることを新たな目標に掲げ、芸能界から法曹界へ、全く異なる世界へ飛び込むことを決意します」

　素直に読めば、ダメダメ女子をユーモラスに演じることが期待できる。ムロ自身は同サイトのインタビューで「（平手の）クールビューティなイメージから垣間見える、ちゃめっ気、しゃれっ気、いろんな、っ気を引き出せたらうれしい」とコメント。その通りなら、平手の伸び伸びとした演技が披露されそうだ。

　平手のドラマ出演が注目されるもう1つの理由は、HYBE JAPANへ移籍したことによる環境の変化だ。HYBEは練習生らに対し、歌唱、発声法、ダンス、表情管理、演技指導、筋力トレーニング、語学などの豊富なカリキュラムを用意。それらを組み合わせた合理的なアーティスト育成法で知られている。

　元HKT48・宮脇咲良（以下、SAKURA）の場合、21年8月に渡韓後、3月にHYBE傘下のSOURCE MUSICと専属契約を締結したことが公式発表された。そして、5月2日にLE SSERAFIMのメンバーとして1stミニアルバム『FEARLESS』でデビュー。その間、体幹トレーニングからダンスの基礎までを徹底的に鍛え直している。一方、平手は昨年12月、HYBE JAPANが設立した新法人・新レーベル『NAECO』（ネイコ）に移籍。SAKURAの場合、渡韓後、デビューまで約9か月、平手は移籍発表からドラマが放送される10月まで約10か月となり、お披露目までの期間はおおよそ重なる。HYBE LABELS JAPAN所属の9人組多国籍ボーイズグループ・&TEAM（エンティーム）が、ソウルのHYBE本社でトレーニングを受けていたことを考えると、平手も渡韓を重ねている可能性は十分ある。

　さらに注目されるのは、HYBE JAPANとフジテレビのコラボレーションだ。ドラマへのサプライズゲストや音楽などにHYBEが加わることで、動画配信の再生回数向上、他番組との連携、イベントなど、同局が得意とする分野での協業も予想される。待たれる平手の進化した姿と周囲の展開。ファンにとっては、秋も“アツい”季節になりそうだ。