今治タオル、捨てていた“布のカス”が驚きの再利用 売り上げ20倍以上の大ヒットに
日本を代表するタオルの産地として知られる愛媛・今治市。タオル類の染色を手がける西染工(にしせんこう、同市)が2022年に立ち上げたアウトドア関連の新ブランド「ザ マジック アワー」で扱う品がキャンプ好きの間で人気を集めている。SNSでも話題になったアイデア商品について開発に携わった1人でもある福岡友也商品事業部長に聞いた。
鮮やかな見た目がキャンパーの心をつかんだ
日本を代表するタオルの産地として知られる愛媛・今治市。タオル類の染色を手がける西染工(にしせんこう、同市)が2022年に立ち上げたアウトドア関連の新ブランド「ザ マジック アワー」で扱う品がキャンプ好きの間で人気を集めている。SNSでも話題になったアイデア商品について開発に携わった1人でもある福岡友也商品事業部長に聞いた。
西染工が昨年2月に販売し、話題になっているのはタオルを製造する際に発生する綿ぼこりを集めた「今治のホコリ」だ。円柱形の容器に詰まったカラフルな綿を、たき火などの着火剤として商品化したところ「燃えやすい」と人気に。鮮やかな見た目もキャンパーたちの心をとらえた。
考案者の1人でもある福岡さんはキャンプ好き。たき火をしていた際にふと、「廃棄物のホコリが着火剤にならないかな」と浮かび商品化を思いついた。
「ホコリはタオル関連会社では火災の原因となり、燃えやすい厄介者でありますが、この火が着きやすいことを逆手に取れば、ライターなどで火をおこすのではなく、火花で火をおこし、たき火を楽しめないかと考えました」
染色業をしている強みを生かそうと、色を全面に出せる販売形態に頭を悩ませた。
「色を見えるようにするにはやはり、プラスチック製の容器になります。サスティナブル商品ですのでプラスチックを使っていいのかと悩みました。これを解決するため、1度購入いただいたプラスチック容器をずっと使っていただけるように、後に詰め替え用を紙袋で販売することでクリアしました。それと、燃えやすいものですので、燃焼時間を稼ぐ内容量にも試行錯誤しました」と開発までの苦労を語ってくれた。
商品化した「今治のホコリ」は1ケースに40グラム入り。10グラムで、約4~5分燃焼する。価格は660円(税込み)。
商品化されるまでは、ごみとして廃棄されていた綿ぼこり。毎日、120リットルの袋・2袋分、計240リットル分の綿ぼこりがフィルターに付着していたという。SDGs(持続可能な開発目標)の観点からも高く評価された取り組みは、SNSやテレビなどでも話題に。昨年2月の販売開始時と比べ、売り上げは20倍以上になった。
福岡さんは「自分でもこんなに反響があるとは思っていませんでした。面白い取り組みだと応援していただくこともあり、スタッフの励みになっております」と笑顔。「今治のホコリ」がラインアップされているアウトドアブランド「ザ マジック アワー」は「地球環境に配慮した商品」がコンセプトといい、「今後も新商品の開発に力を入れていきたい」と教えてくれた。