衣装から読む「麒麟がくる」の世界 チーフ演出・大原拓氏インタビュー【後編】
現在放送中のNHK大河ドラマ「麒麟がくる」。高精度な4Kで描かれた今作は放送開始当初から鮮やかな色彩をふんだんに用いた衣装が話題となり、華美に着飾っていたと言われる武士たちの姿をより鮮明に映し出している。今回はそんな「麒麟がくる」の世界観を表現するために欠かせない衣装にスポットを当て、チーフ演出の大原 拓氏に独自インタビュー。「麒麟がくる」を彩る衣装の世界について、前後編に渡ってお届けする。後編では、越前を治める文化系大名・朝倉義景の派手な姿に込められた意味、そして衣装を通じて見えてくる越前編の行く末について語ってもらった。(インタビューは書面にて敢行)
義景は遊び心を表現した桃色がモチーフ 光秀との対比があらわになる
現在放送中のNHK大河ドラマ「麒麟がくる」。高精度な4Kで描かれた今作は放送開始当初から鮮やかな色彩をふんだんに用いた衣装が話題となり、華美に着飾っていたと言われる武士たちの姿をより鮮明に映し出している。今回はそんな「麒麟がくる」の世界観を表現するために欠かせない衣装にスポットを当て、チーフ演出の大原 拓氏に独自インタビュー。「麒麟がくる」を彩る衣装の世界について、前後編に渡ってお届けする。後編では、越前を治める文化系大名・朝倉義景の派手な姿に込められた意味、そして衣装を通じて見えてくる越前編の行く末について語ってもらった。(インタビューは書面にて敢行)
――朝倉義景が治める越前は経済的な安定に加え、京から一乗谷へ文化人を多く招くなど、文化の発展も著しかったという記録も残っています。越前編では、そういった美濃との文化の違いを衣装という観点から表現することはあるのでしょうか
大原氏「文化の違いという意味で、当主朝倉義景については、かなり攻めてます。安定した領内経営をしていたことから、ゆとりも生まれ、遊び心が生まれます。その遊び心を色で表現しました。これは黒澤さん(黒澤和子氏)のアイディアで桃色!この色は、曲者である義景のキャラクターを見事に表現していて、掴みどころがない。戦国大河では中々出てこない『義景』ですので、ユースケ・サンタマリアさんの演ずる義景を、楽しんでいただけたらと思っています」
――越前編の登場人物で、衣装のイメージ、モチーフなどについて一番悩んだ登場人物は誰でしょうか。
大原氏「関白近衛前久です。資料をよんでいると関白でありつつも、結構突飛な行動をする人物なので。武士が大好きな公家って珍しい。こういった人物造形を、品位を落とさずにどう取り入れるか。本郷奏多さんがその曲者っぷりを演じてくれていますので、お楽しみに」
――衣装を通して見えてくる越前と美濃との違い、また越前ならではの魅力はどのようなものでしょうか。
大原氏「落ち着き(光秀)と派手(義景)の対比でしょうか。美濃では皆それぞれのカラーが際立っている中、光秀はさらに輝いていました。越前編では落ち着いていきますので、周りの派手な豪華な登場人物の中、地味な光秀の現状が感じていただけると思います。そうした中で、光秀は何を見い出し、どこへ向かっていくのか。信長との今後、足利義輝との再会と別れ、そして足利義昭との出会い、いよいよ歴史の表舞台に立ち始める光秀の前日譚とはどんなものだったのか。越前編をご期待ください」