【電波生活】60秒間でニュースを解説『60秒で学べるNews』 出演報道記者の驚きのテクニックとは
注目番組や人気番組の舞台裏を探る企画。今回はテレビ東京系『60秒で学べるNews』(水曜午後9時)。何気なく見ているニュースの背景や意味を専門家やジャーナリスト、テレビ東京の記者たちが時短をテーマに60秒間で解説する番組。ウエンツ瑛士がMCを務めている。解説者はうまく60秒で説明しているが、練習をしているのだろうか。また、収録番組だがタイムリーなテーマを扱うとなると放送時には事情が変わることもあるはず。テレビ東京の経済番組センター部長・清水昇氏に番組の舞台裏を聞いた。
ウエンツ瑛士がMCを務め、ニュースの背景や意味を専門家や記者が60秒で解説
注目番組や人気番組の舞台裏を探る企画。今回はテレビ東京系『60秒で学べるNews』(水曜午後9時)。何気なく見ているニュースの背景や意味を専門家やジャーナリスト、テレビ東京の記者たちが時短をテーマに60秒間で解説する番組。ウエンツ瑛士がMCを務めている。解説者はうまく60秒で説明しているが、練習をしているのだろうか。また、収録番組だがタイムリーなテーマを扱うとなると放送時には事情が変わることもあるはず。テレビ東京の経済番組センター部長・清水昇氏に番組の舞台裏を聞いた。(取材・文=中野由喜)
そもそも60秒にこだわる狙い何だろう。
「タイムパフォーマンスという言葉があるように今の世の中、端的に内容が分かることが時代に合っているのではと考えました。ニュースは一般的に20~30秒が一番短いニュース。1分~1分半がストレートニュースという言い方をします。なので、60秒という時間は、必要最低限のことに少しだけ違う要素が加えられるかな、という感じです。そこで、この番組は、『これだけは知っておくといい』、『今はこれが分かれば理解した感じになれるのでは』という部分を抽出しています。あとは、番組独自の視点を持ち、ここを知っていれば面白いという部分を凝縮するようにしています。普段から一生懸命に研究している専門家が解説する良さもあります」
ほとんどの専門家はうまく60秒間で解説している。事前に練習をしているのだろうか。
「解説者の方は講演会や大学で教えるなどのベースがあり、誰かに伝えることに精通しています。ただ、どうしたら分かってもらえるかを、スタッフと綿密に話し合い、60秒で話せるようにまとめてもらっています。さらに皆さん、きちんと伝えたいと思うから独自で練習しているようです。控室の端っこで練習する方もいます」
テレビ東京の記者らが解説者として登場することもある。ある記者は番組用に特別な練習はしていないと話していた。するとテレビの報道記者の舞台裏が明らかに。
「テレビの記者として普段からやっていることがベースにあるので、専門家の方たちより、練習が少なくて済むかなとは思います。新聞を読むのも声を出して読み、発声練習を常日頃からしている記者もいます。テレビの記者は1分間で伝えることがスタンダード。1分という尺が、もしかしたら体に染みついているかもしれません。60秒で入らないと思うと、最後のところで早口になってまとめる人もいて、体内時計があるのかな、などと思うこともあります」
番組で扱うテーマは収録番組でありながらタイムリー。取材は大変かと推測する。
「ニュースをやりたい、タイムリーなテーマをやりたいというのが番組の基本スタンス。一方で、たとえばアメリカの債務上限問題では、事前に打ち合わせした時点では結論が出るまで少し時間があると予測していたら、収録当日に決着がついたんです。危ない橋を渡っています。微調整したり、収録後にオンラインで専門家の追加取材をするケースもありました。タイミングをはかる難しさがあります。収録によるタイムラグのある中、タイムリーなテーマを伝えるのは大変です」
危ない橋を渡っても新鮮なニュースを届ける姿勢には敬服する。
「番組スタッフは、報道の現場で働いていた人がほとんど、元々ニュースに携わっていた人たちです。何か起きたとき、起きそうなときに対応するのは慣れています。フットワークの軽いのが長所。むしろそれを、楽しいと感じる人たちです。昔、夕方のニュース番組に出演していたアナウンサーが夜のスポーツニュースに担当替えになったとき、スポーツが好きなので喜んではいましたが『一つだけ物足りない。俺が伝えているのは全部終わったこと。ドキドキしない』と話していました。ドキドキしながら、今、起こっていることを伝えることが僕らのベースとしてあるので、綱渡りですが楽しんでやっています」
ウエンツ瑛士が初めてニュース番組のMCを務めている。舞台裏の様子が気になる。
「ウエンツさんは元々、ニュースが好きというか、新聞やネットのニュースを毎日読んで、情報収集している人です。最近では、収録前にスタッフとマイナンバーカードについて、熱く語っていました。自分なりの考えも持っています。ウエンツさんのいいところは番組をうまく進行していくこともありますが、分からないことを知ったかぶりせずに聞けるところ。それと反射神経の良さ。瞬時にゲストや専門家の発言に反応し、すぐに突っ込むなど、気持ちのいい進行をする人です。番組の中心にいていろんな人をもてなしながら、みんなの理解を深めるための大きな役割を担っています。視聴者代表でもあり、いい引き出し役でもあります」
今後、番組の目指すところを聞いた。
「視聴者の方に、ニュースって面白いなとか、経済は面白いと興味をもってもらいたいです。たとえばですが、『60秒で学べるNews』を『ワールドビジネスサテライト』の入り口と考えてもらえたらいいなと思います。スタジオに来たゲストの方たちも、『ためになった』とか『明日、誰かに教えてあげたい』と皆さん喜んでくれます。面白い専門家がいっぱいて、専門を極めているから面白いし、極めているからこそ言えることがあります。そういう面白さも視聴者の方に伝わればいいなと思います」