桂文枝、政界進出は「もう興味ない」 全国の首長を取材して気付いたお笑いとの共通点

7月16日で80歳になる六代 桂文枝の新番組『桂文枝の全国の首長さんに逢いたい!』(BSよしもと&YouTube連動)が7月8日よりスタートする。放送スタート前に、80歳で新番組を持つ原動力について話を聞いた。

六代 桂文枝【写真:荒川祐史】
六代 桂文枝【写真:荒川祐史】

新番組『桂文枝の全国の首長さんに逢いたい!』がスタート

 7月16日で80歳になる六代 桂文枝の新番組『桂文枝の全国の首長さんに逢いたい!』(BSよしもと&YouTube連動)が7月8日よりスタートする。放送スタート前に、80歳で新番組を持つ原動力について話を聞いた。(取材・文=島田将斗)

 文枝はこれまでさまざまな番組で司会者として活躍してきたが、人々の記憶に特に残っているのは、今年で放送52年の『新婚さんいらっしゃい!』(ABCテレビ)だ。

 51年2か月もの長期間にわたり出演し続け、「同一司会者によるトーク番組の最長放送」としてギネス世界記録に認定。昨年3月27日に勇退していた。あれから1年と103日、新たな番組が始まる。

「『新婚さんいらっしゃい!』を卒業させてもらって、番組がまた始まるとは思ってもいなかったんです。円楽師匠が亡くなられて、代わりで出る仕事が多くなっていたところにレギュラーが入ってくるとなると忙しい。若い人にはどうってことないと思うのですが……」

全国津々浦々、旅をする新番組だ【写真:(C)2023 BSよしもと】
全国津々浦々、旅をする新番組だ【写真:(C)2023 BSよしもと】

 日本全国、津々浦々を旅しながら、各地の首長と対談するという内容の新番組。傘寿を迎える前に、訪れた忙しさに不安を隠せないが、これは文枝がずっと“やりたかったこと”だった。

「各界のいろいろな成功した人にインタビューする番組を映像でなくてもやりたいなと思っていました。各市町村の長の仕事は一番暮らしに直結している部分なのでね。一番日本の形が見えてくる。そこがすごく面白いなと思いました」

 今まで自分がやってきた番組とは全く違うという。周囲にお客さんがいない状態で「じっくり聞ける」のが良かったとうなずく。

「今まではお客さんの前でインタビューをやっていましたから、どうしても笑いを取るっていうのが頭にあったんです。今回はそういうのではなくて、自分の聞きたいことを聞ける。ネタにもなるし、すごい勉強になると思いました」

 創作落語を作っている文枝らしい。首長へのインタビューをヒントに落語にできると笑顔を見せた。自身のこれまでを振り返ると苦笑いだった。

「これまでは、よく人の話を聞いていないって言われてたんです。というのは笑いを取るために、聞きながら『どう落として、どうツッコミを入れて』とそればっかりを考えていましたので、実は全然話を聞けてなかったんですよ(笑)」

首長とお笑いの類似点に気づいたという【写真:(C)2023 BSよしもと】
首長とお笑いの類似点に気づいたという【写真:(C)2023 BSよしもと】

 1度は議員になることを考えた時期もあった。「この年なので、もう政治家には興味ない」とあっさり。しかし、収録で首長とお笑いの類似点に気づいた。

「我が街を良くするために考えているアイデアが、僕らが笑いを作っていくアイデアと大きく違わないなと感じました。アイデアを考えるのも大事だし、それを実行する実行力も、どれだけ相手を分かっているかも大事なんですよね。大衆の心を知るっていうのがお互い一番大事なんです」

 ある放送回では、北海道北広島市を訪問。今年3月に開場した新球場「エスコンフィールドHOKKAIDO」を見学、街の歴史を学んだ。

「広島県から移住してきた人たちが開発をやられて、元々広島市だったのを広島市と区別するために北広島市になったそうです。そこへ日本ハムが球場を作った。本当に海外の球場も見てきましたけど、よく似た感じでね。子どもも家族もみんなが楽しめる感じがあって。サウナには入ってないですけど、選手のロッカールームとか見せてもらいました。観光客の方も多くて試合の日よりも多いんちゃうかなって」

 まさに百聞は一見にしかず。忙しさへの不安を語っていた文枝はもういない。

「そういうのを見たり聞いたりするとネタになったりとかね。ラジオでしゃべれたりとかしますよね。そういう意味で新婚さんをやめて、また外へ出るっていうのは良かった」

 創作落語を前人未到の500個作ることを掲げている。全国の首長との対話で、日本らしい新たなネタが増えていくに違いない。

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