愛車がまるで鏡に変身 日本の車磨き職人が米国に与えた衝撃 「これがジャパニーズクオリティーか」と驚き
日本ではドライバーに広く知られるコーティング。車の表面を保護し、傷や汚れから守る効果があり、専門店や簡易なものならガソリンスタンドでもおなじみだ。ところが、国によってそのやり方はさまざま。先日、日本の“車磨き職人”が米国を訪れ、技術を披露すると……。予想だにしない反応に包まれたという。
これが文化の違い!? 「東京に帰ると、日本の車がきれいだなと実感します」
日本ではドライバーに広く知られるコーティング。車の表面を保護し、傷や汚れから守る効果があり、専門店や簡易なものならガソリンスタンドでもおなじみだ。ところが、国によってそのやり方はさまざま。先日、日本の“車磨き職人”が米国を訪れ、技術を披露すると……。予想だにしない反応に包まれたという。
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「東京に帰ると、日本の車がきれいだなと実感します。アメリカにもコーティングの習慣はあるけど、研磨をしないコーティングが多かった。薬剤を塗って一瞬だけ光らせればいい、というようなコーティングが多いから、カリフォルニアの強い日差しでみんなやられちゃう。日本人はもっときれいにするし、そもそも道路に大破している車も、バンパーがない車も走っていないです」
5月下旬から2週間、米国カリフォルニア州ホーソーン市を訪れた「ジープカフェ東京」(千葉・松戸市)の経営者・和田裕之さんは、日米のコーティングの違いについて、こう感想を漏らした。
和田さんは日ごろさまざまなカーオーナーから特殊なコーティングを請け負う車磨き職人だ。このたび縁あって、ハリウッド映画監督のダン・ハリスさんの自宅ゲストハウスに滞在し、合間を縫って、複数の車やバイクに日本式のコーティングを施した。
驚いたのは、日米のコーティングに対する考え方の違いだ。日本が丁寧さを求めるのに対し、アメリカではスピードと価格を求める傾向にあった。カーショップに行くと、棚にズラリと並ぶコーティング用の薬剤がその証だった。
和田さんはデモンストレーションとばかりに、車のドア1枚を20分かけて磨いた。すると、ギャラリーは「エッ、このドア1枚にこんなに時間かけるの?」とまずは所要時間に口あんぐり。そして、仕上がり具合には、「ボディーがミラーになった。これがジャパニーズクオリティーか……」「このボディーが鏡で口紅塗れるわ」と、その輝きぶりに驚がくしたという。
中でも印象的だったのは、ホーソーン市警察が所有する1956年式のパレード用のパトカーを担当したときのことだ。現役を引退している博物館級の車は、経年劣化もあり、「色もくすんでいるし、傷と汚れがすごかった」と、良好な状態とは言えなかった。和田さんは8時間半を要して、丹念にコーティングを行った。
「『日本人の作業は細かい。細かすぎる。なんでこれに8時間かけるんだ』って言われました。研磨している姿を見に来た元刑事は、『アメージング』という言葉しか出てこなかったです。その後、偉い警部補が出てきて、『ワォ! なんだこりゃ。あの車がこうなっちゃうのか。なんてこった!』とあ然としていました」
日本人初! ホーソーン市警察からのお礼にびっくり 「まさに映画の世界」
感激した警察署からはお礼にビッグサプライズも。和田さんは署内の牢屋や地下にある銃の訓練場、鑑識の部屋などを案内するスペシャルツアーに招待された。「『ジェイル(牢屋)だけは写真を撮らないで。75人入れるけど、今日は7人入っているからね』と、言われました」。さらに、「普段は絶対ないこと」と興奮したのが、特殊部隊「SWAT」の車両との対面。「一番感動したのは、SWATチームの車庫。本物のSWATの車を見て触ってこれた。これこそ、まさしく映画の世界」と、振り返った。
「パレード用の車は絶対きれいにしないといけない。子どもたちのヒーローの車だから。そういう車を磨けるのはうれしかったですよね」。和田さんの手によって復活したシボレーは、6月7日に現地で行われた2022年度の「ベスト・オブ・ポリスマン、ファイアーマン」の式典にも展示された。
米国での高い評価に、和田さんも感動の様子。「日本の研磨する文化を発信することができた」と胸を張った。再び渡米した際には、現役のパトカーのコーティングをさせてもらうことを約束されており、心待ちにした。