「コイツら死にたいのか?」カシオペアの緊急停止、逃走した撮り鉄以外にも厳しい目 JRが注意喚起

マナーを守らない撮り鉄の暴走が大きな波紋を呼んでいる。3日午後6時ごろ、栃木・矢板市内を走行中の寝台特急カシオペアが緊急停止。線路の敷地内で撮影していた3人の撮り鉄が逃走した。離れた場所から農道をふさぐように脚立を組んだ撮り鉄にも批判が上がっており、JR側は「マナーを守っていただきたい」と注意を呼びかけている。

カシオペアが迫る中、危険すぎる撮影行為を行った撮り鉄3人(左)。一方で、右側の集団も農道をふさいでいる【写真:ツイッター(@Umm_nnU)より】
カシオペアが迫る中、危険すぎる撮影行為を行った撮り鉄3人(左)。一方で、右側の集団も農道をふさいでいる【写真:ツイッター(@Umm_nnU)より】

撮影者が語る緊迫の瞬間 「本当に電車すれすれで…」

 マナーを守らない撮り鉄の暴走が大きな波紋を呼んでいる。3日午後6時ごろ、栃木・矢板市内を走行中の寝台特急カシオペアが緊急停止。線路の敷地内で撮影していた3人の撮り鉄が逃走した。離れた場所から農道をふさぐように脚立を組んだ撮り鉄にも批判が上がっており、JR側は「マナーを守っていただきたい」と注意を呼びかけている。

 撮り鉄を巡るトラブルは、ここ最近頻発している。線路に立ち入る、駅員に暴言を吐く、ホームから転落する、撮影のために車内通報ボタンを押す、など悪質なケースが目立つ。観光のため来日した外国人が線路に立ち入って撮影するケースもあり、徹底した対策が求められている。

 今回の動画でも、完全にマナーを逸脱した行為が明るみになった。3人の男はレールのすぐ横、線路の敷地内でカメラを構える。カシオペアが接近しても夢中でシャッターを押し、危険を冒してもなお、“特別な1枚”を収めたい意向が見える。列車が目の前に近づくギリギリのタイミングで撮影をやめ、遮断機の横をすり抜け逃走した。カシオペアは警笛を鳴らして緊急停車した。

 一部始終を動画に収めた撮影者は友人の付き添いでたまたま現場を訪れた。「周辺には50人近くはいました」と、撮り鉄が殺到していたという。

「3人は(列車が来る)1分ぐらい前に現れて踏切のところに荷物を置いて、一気に土手を駆け上がって(線路脇に)横並びに待機した」というから、あらかじめ危険が伴うことを分かっていた行動と言える。

 普段は列車の撮影をすることのない撮影者は、ただならぬ空気を察して、直感的に動画の撮影を始めた。

「撮り鉄のルールも分からないのですが、入っちゃダメだろうなと思い、念のため撮影していました」

 そして、その予感は当たり、カシオペアが安全確認のため緊急停車する事態になった。

 知人のアカウントを通じて動画を公開すると、3400万回の閲覧を記録。複数のテレビ局にも取り上げられ、「ここまで大ごとになるとは思わなかったので、本当にびっくりしているというのが正直ですね」と反響の大きさに驚く。閲覧した人からは「マナー通り越して法律を守ってない」「コイツら死にたいのか?」「威力業務妨害と鉄道営業法違反では…」「電車止めた賠償しっかりして欲しい」など、批判が殺到。

 一方で、その他大勢がカメラを構える場所も、農道をふさぐようになっていたため、「3人だけピックアップされてるけど、農道塞いでる他の撮り鉄も酷いな」「道塞いでるやん!」と、厳しい指摘が上がっている。

 JR東日本大宮支社によると、カシオペアが現場に停車したのは14分間に及び、乗客に大きな影響が出た。これまでホームや沿線での撮影で、安全確保が必要と判断した場合は、状況によって係員を配置するなど、対策を取ってきたという。今回の場所では具体的な対策はなく、「沿線でのご撮影について、線路などの鉄道用地や私有地に入っての撮影は絶対にやめていただきたい」と強調した。逃走した3人、農道をふさぐように脚立を立てた撮り鉄を含めて、「ほかのお客様や沿線の住民の方のご迷惑とならないように、マナーを守っていただきたい」と、注意を呼びかけている。

 投稿者は、当日の緊迫した状況について、「本当に電車すれすれだったので、何かの拍子に倒れ込んだら大惨事というのもあった。非常に危ないなと思いました」と振り返った。ルールやマナーを守らなくても、自分だけ写真を撮れればいいという身勝手な行為。投稿者は必要があれば、JRや警察に証拠として動画を提出する意向で、「協力要請あれば、全部協力する予定です」と話している。

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