鼻整形 修正地獄、意外な後悔…現役の美容外科社員が明かす「絶対に避けてほしい」注意点
容姿に対する意識の高まり、医療技術の進歩とともに、近年、美容整形に気軽に手を伸ばす人が増えている。一方で、手術の失敗やトラブル、容姿を変えてからの後悔といった注意点も多く指摘されている。関心度の高い「鼻」に関する美容整形について、SNSでの情報発信を積極的に行っている美容外科勤務の男性に、業界の実情と啓発メッセージを聞いた。
美容外科勤務の男性、SNS発信の信念 「ある程度よくなったら、欲張らない」スタンスを提案
容姿に対する意識の高まり、医療技術の進歩とともに、近年、美容整形に気軽に手を伸ばす人が増えている。一方で、手術の失敗やトラブル、容姿を変えてからの後悔といった注意点も多く指摘されている。関心度の高い「鼻」に関する美容整形について、SNSでの情報発信を積極的に行っている美容外科勤務の男性に、業界の実情と啓発メッセージを聞いた。(取材・文=吉原知也)
男性は、「現役美容外科社員 ぽーさん」(@biyouiryou100)として、ツイッターやブログで発信。医師ではないというが、「鼻整形で失敗する確率を下げるための情報」をさまざまな切り口で伝えている。
まずは鼻整形のメリット。それは「コンプレックスの解消」だと明言。そのうえで、「顔のパーツの中で鼻の主張が強い、鼻が大きい、鼻が丸い、鼻が低い、(鼻先が上を向いている状態の)豚鼻を治したい、鼻の穴が見えるのを治したい、などの悩みを改善するために手術を受ける方もいます。また、今の鼻をきれいに、美しくするために受ける方もいます。どちらにしても、手術を受ける本人が今より美しく、カッコよくなるために受ける手術で、本人が満足する鼻に近づけることが何よりも利点だと日々思っています」と強調する。
ぽーさん自身は、鼻整形は未経験だが、希望者向けのカウンセリングを通して、数えきれないほどの整形相談を受けているという。
「私自身、ずっとやりたい! と思っていますが、仕上がりに満足がいかない方や感染を起こしてつらい思いをしている方を見ていると、もしかしたら自分もうまくいかないかもしれない、と思い留まっている部分もあります。ただ、長いこと美容クリニックで働いているため、鼻整形で喜んでいる人、悲しんでいる人、さまざまな人を見てきました。ツイッターでもありがたいことに多くのDMをもらい、いろいろな話も聞けて、だからこそ実体験に近い形で話ができているのかもしれません。お医者さんを除いて、ツイッターのDMや患者さんからの整形相談数は誰よりも多いかもしれません。医者ではないからこそ、患者さんの目線で話せる面もあると思います」と話す。
ぽーさんは、業界をアピールする情報だけでなく、数多くの注意喚起を書き込んでいる。例えば、鼻整形にハマる(沼る)人について、「他人の意見に流されすぎ」などと特徴を指摘し、「本気で言うが、完璧は目指すな」と忠告。他にも、感染症などのリスクや失敗例、「鼻くそがたまる」といった整形後に後悔するパターンを挙げる投稿も見受けられる。場合によっては「修正地獄」に陥る警告も発している。
業界人としてなぜ、あえてネガティブな情報も取り扱うのか。
「後悔や失敗で悲しむ人を1人でも減らしたいと考えているからです。失敗する人は理想が高いことが原因であるパターンも多くあります。無理な希望を持っている人が実は多いです。その無理な希望に応えようとして、医師も無理な手術をして、残念な結果になっている人を何人も見ていますし、相談に乗っています。結局、欲張って満点を目指さず、『こんなもんでいいか。前よりよくなった』と思える人がいい結果を残している印象です」。
鼻整形は、美容整形の中でも難しい手術だと考えられているといい、「特に、鼻の修正手術はどんな手術よりもリスクが高いなと思っています。一度切った場所は硬くなって皮膚が縮むので、手をつけていない場所と比較するとガチガチに硬くて、初回手術のような操作はできないようです。また、『拘縮(こうしゅく)』と言って、数か月たつと傷が縮むこともあり、そうすると、豚鼻になったりつぶれた鼻になったりするんです」。感染症も厄介で、「一度感染すると、菌が鼻にすみつく可能性があるので、修正時に感染の確率が上がることもあります。こんなことって、鼻整形が身近な人しか知らないと思うんです。患者側は情報が乏しい場合が多いので、それを少しでも自分の力で解消できればと思い、発信を続けています」と言葉に力を込める。
「今後の長い人生も整形後の顔と付き合っていけるなら10代の整形には賛成です」
とりわけ重要な注意点とは。ぽーさんは3点を挙げる。
「特に注意していただきたいのは、1:理想がかなうまで修正を繰り返さない 2:リスクやデメリット、失敗の可能性を理解せずに施術を受けない 3:技術が未熟な医師で手術しない――ということです。特に、3は絶対に避けてほしいです。
100%避ける方法はありませんが、失敗の確率は下記の方法で減らせると思っています。
(1)医師5人以上のカウンセリングを受けて比較検討する。
(2)検討医師の口コミを確認する。リアルな口コミのあるツイッターがおすすめです。
(3)相談した当日に契約をせず、持ち帰ってじっくり比較検討する」。
よく聞く、鼻へのヒアルロン酸の注射については、慎重な姿勢だ。「鼻尖(びせん=鼻先)に入れるのはNGとしているベテラン医師が多いです。感染を起こしやすく、動脈誤注入で血流障害の危険性があるようです。なので、鼻尖のヒアルロン酸は手軽に鼻を高くできる一方で、とんでもないリスクがあります。感染するとヒアルロン酸でも、同じように修正するのは大変な道のりになります。賛否両論あると思いますが、個人的には、鼻尖のヒアルロン酸を推奨する医師は避けたほうがいいと思います。それから、(鼻を高くするために挿入する)I字型プロテーゼ以外の異物も避けたほうがいいと考えています」とのことだ。
患者としての心構え、信じていい医師についての見解も。「患者さんは、ある程度よくなったら、欲張らない。このスタンスで臨むことで、鼻整形に満足している人が多い印象です。それに、患者のことを考えて、『迷っているなら無理にやらなくていいと思う』とアドバイスしたり、本気で『これ以上はやらない!』と止めてくれる医師が本当の名医だと思っています」と教えてくれた。
SNSの普及もあり、容姿の追求は若い世代にとってより大きな関心事になっている。こうした中で、10代の美容整形は避けるべきという議論もある。よりよい人生を送ることと美容整形の関係をどう考えるべきなのか。
ぽーさんは「賛否両論あると思いますが、私は今後の長い人生も整形後の顔と付き合っていけるなら10代の整形には賛成です。10代は恋愛が盛んな時期なので、『かわいくなりたい』『かっこよくなりたい』時期ですよね(笑)。私もそうでしたが、若いときってその意欲が尋常じゃないくらいあるんです。一方で、人生経験が少ないので判断力は乏しいです。そこは、親に相談してほしいと思っています。なぜ自分は整形したいのか。整形してどうなりたいのか。親の意見も踏まえて決めるのがいいと思います」と話している。
■現役美容外科社員 ぽーさんのブログ
https://biyouiryoukenkyuujyo.com
■現役美容外科社員 ぽーさんのツイッター
https://twitter.com/biyouiryou100