【どうする家康】“忠真”波岡一喜、“甥”山田裕貴への感謝「忠勝が裕貴で本当に良かった」
俳優の波岡一喜が14日、本多忠真役で出演するNHKの大河ドラマ『どうする家康』(日曜午後8時)について、忠真を演じる上でのこだわりや、第18回で描かれた最期のシーンの舞台裏、さらに忠真の甥・忠勝を演じる山田裕貴への思いなどを明かした。
本多忠勝(山田裕貴)の叔父で酔いどれサムライと称される本多忠真を熱演
俳優の波岡一喜が14日、本多忠真役で出演するNHKの大河ドラマ『どうする家康』(日曜午後8時)について、忠真を演じる上でのこだわりや、第18回で描かれた最期のシーンの舞台裏、さらに忠真の甥・忠勝を演じる山田裕貴への思いなどを明かした。
作品は、松本潤が主演を務めて徳川家康を演じ、死ぬか生きるかの大ピンチをいくつも乗り越えていく家康を描く波瀾万丈のエンターテインメント。
初めて台本を読んだときの感想はどうだったのか。
「今作に出会うまでは、大河ドラマに対して、重厚で落ち着いたイメージを持っていましたが、古沢さんの台本を読んで、思っていたよりもっとポップでコミカルに描かれているなと思いました。そして、本多忠真の『飲んべえ』や大久保忠世の『色男』のように、家臣団の中でもしっかりキャラクター分けされているのも特徴的ですよね。忠真は、大酒のみで、豪快で、腕っぷしは強く、情に熱く、殿(家康)に心酔しており、忠勝を心から愛している人だなと。『大河だからこうしないと』というのは考えずに、僕も振り切ってやろうと思ったのを覚えています」
役に縁も感じているという。
「忠真のお墓は浜松にありますが、僕は昔、浜松に長期滞在して映画を撮っていたことがあって、数ある都市の中でも5本の指に入るほど思い出深い場所。今でも“故郷”のように思っています。そして、大河ドラマにおいては、今作では徳川家康に仕えていますが、『青天を衝け』で演じた川村恵十郎は徳川慶喜に仕えていました。しかも恵十郎は、円四郎(堤真一)と別れた後、静岡に行くんですよね。本多忠真を演じると決まった時、徳川や静岡との不思議なご縁も感じました」
“酔いどれサムライ”本多忠真を演じる上でのこだわりはどうだろう。
「『戦の時でも飲む』ということですかね。むしろ戦うときこそ飲んで、シャキっとする(笑)。特に第18回では古沢さんが忠勝との印象的なシーンをつくってくださったので、それにより、序盤からきっちり酔っておいたことが、効いていたらいいなと思います。あとは、やはり強さを見せることですかね。本多家は強くあるべきだし、忠勝が強いということは、忠真はもっと強いはず。叔父と甥の関係ですが、強い親子のようにみえていたらいいなと思います。
何事にも一直線の忠勝と、飲んべえの忠真というそれぞれのキャラクターはありますが、大前提として、2人には圧倒的な強さがあるというのを大切にしました。なので特に、強さを見せられる立ち回りのシーンはうれしかったですね。『飲みながら戦いたい』というのも最初から伝えていて、殺陣師の方もそこを理解してくださっていたので、立ち回りでは、酒を飲むタイミングも計算しつつ、強さを見せられるよう意識しました。お酒を飲むにしても、台本に細かくは書かれていないので、飲むタイミング、量、酔い具合も僕のさじ加減。どう演じようかなというのを立ち回りのシーンで一番考えた気がします」
第18回で描かれた忠真の最期のシーンの舞台裏も明かした。
「史実を調べる中で、しんがりを努め、地に旗をさして『ここから先は行かせん』と戦い、散っていく……というエピソードがあると知り、猛々しい面を出せたらと思って収録に臨みました。でも、実際は難しかったです。『行け、平八郎!』と言うけれど、忠勝ともう二度と会えないことも分かっていたと思うんですよね。我が子のように育ててきた忠勝との別れだと思うと冷静にはいられず、思わず気持ちがあふれ出てしまいました。本番前は『感情を抑えようおさえよう』と思っていたのですが、最終的には『素直に感じたままいこう』と腹をくくって臨みました。本番では、忠真のそばを離れようとしない忠勝を忠真が殴り、殿のもとに行かせようとする。戦では傷ひとつ付いたことがない忠勝に、そこで初めて傷がつく……というパターンも撮りました。もともと台本にはなかったのですが、(山田)裕貴と話し合って、使われるかどうかは別としてやりたいねとなり、トライしたのを覚えています」
忠真は忠勝をどう見ていたと思うか。また、波岡自身は山田と共演してどんな思いだったのか。
「忠真は、忠勝のことを本当の息子のように思っていたと思いますし、愛おしく愛すべき存在です。数々の戦の中で、忠真は何度も忠勝の命を救ってきたし、史実には残っていないですけど、きっと逆に助けてもらうこともあっただろうと思うので、一心同体ですよね。そして、山田裕貴くんとは映画『闇金ドッグス』(2016年公開)ぶりの共演ですが、彼は良い意味で変わらない人です。当時と、ますます多忙な今とでは環境も大きく変わったと思いますが、とにかくいつも謙虚。常に芝居とまっすぐ向き合う姿勢は変わらないですね。まだ若いのに、ご一緒して僕自身も勉強になりました。僕も裕貴のことが大好きだし、家臣団のみんなも、彼のことが大好きだと思います。お芝居する上でも、昔から知っているからこそ気を遣わずに遠慮なくぶつかっていけましたし、お互いこう演じてみたいというのがあればすぐ相談し合って、建設的な話もできました。忠真と忠勝のようにいい関係性だと思っていますし、忠勝が裕貴で本当に良かったなと思います」