再現度が高いのに美大入試では落ちる? “自分の手”を作ったら酷評…奥深い指摘が話題に
「自分の手を造形する」という課題で、粘土で自分そっくりの手を作ったら……。学生時代の体験談をもとに、「『リアル』と『リアリティー』は違う」と訴えたクリエーターの投稿が、ネット上で話題を呼んでいる。いったいどういうことなのか。投稿者に投稿の意図を聞いた。
“美術の真理”についてつづった投稿が話題に
「自分の手を造形する」という課題で、粘土で自分そっくりの手を作ったら……。学生時代の体験談をもとに、「『リアル』と『リアリティー』は違う」と訴えたクリエーターの投稿が、ネット上で話題を呼んでいる。いったいどういうことなのか。投稿者に投稿の意図を聞いた。
学生時代、「自分の手を造型する」課題で粘土で自分そっくりの手を作ったところ、「リアリティーがない」との理由で最悪な講評を受けたという投稿者。講師は仕上がった作品を見て「人の指というのはこんなに漫画みたいに先端が真円ではないし、これは漫画の手だ、もっと観察しろ」と一度は酷評したものの、その後作品そっくりの投稿者の手を見て「ちょw めっちゃ綺麗に真ん丸www 確かに再現度高いwww でもこれ採点する側は見ながら採点するわけじゃないから、嘘で良いからもっと一般的な“手”の形にしたほうがいいよ。これが入試とかなら落ちるよ」と笑いをこらえながらも冷静に指摘してきたという。
一連の投稿では「SNSで模型やなんかの“再現度”の話を見るたびにいつもその事を思い出す。世の中、“リアル”より“リアリティ”を求められる事の方が多い」と“美術の真理”について言及。投稿者の真ん丸な指先の写真が添えられた投稿は9000件を超えるリツイート、6.2万件のいいねを集めるなど大きな話題を呼んでいる。中には「自分の手をモチーフにって言っておいて、そのまま作ったらリアルじゃないとダメ出しする講師が悪い」という声もあったというが、投稿者は「美大の受験でこれやったら普通に落ちる可能性あるよ。講師は受験者側がそこまで先回りして考えて、当たり障りの無いものを作れって話をしている」と講師の言わんとすることの意図を汲む。
今回の投稿について「良くも悪くも近頃頻繁に話題になるAIでの画像生成の議論を踏まえて、“フェイク”と“リアル”あるいは人間の求める“リアル”と“リアリティー”の違いとは何なのか、過去の経験から一つの視点を提供できればと思いツイートしました」と投稿者。思わぬ反響について「美術教育を受けたことのある人間であれば一度は経験のあるような話なので、ここまで話題になるとは思っていませんでした。皆さんがあらためて“リアル”と“リアリティー”の違いについて考える機会になれば良いと思っています」と話している。