大阪・豊中市の学校給食が「少なすぎる」と物議 問題提起の市議選候補と学校給食課に見解を聞いた

大阪・豊中市の学校給食があまりにも質素だとネット上で拡散、物議を呼んでいる。この給食の内容は適正と言えるのだろうか。画像の投稿者で豊中市議会議員選に立候補していた岩永りょう氏と、豊中市学校給食課の双方に見解を聞いた。

〈TNN豊中報道。2〉「豊中市の公立小学校へ通う児童たちはどんなものを食べているの?/『走井学校給食センター』を見学して、給食を食べてきた!」より引用
〈TNN豊中報道。2〉「豊中市の公立小学校へ通う児童たちはどんなものを食べているの?/『走井学校給食センター』を見学して、給食を食べてきた!」より引用

市議選期間中、立候補者が問題提起の意味を込めて画像を公開

 大阪・豊中市の学校給食があまりにも質素だとネット上で拡散、物議を呼んでいる。この給食の内容は適正と言えるのだろうか。画像の投稿者で豊中市議会議員選に立候補していた岩永りょう氏と、豊中市学校給食課の双方に見解を聞いた。

「豊中市の小学校高学年の給食…
おかずの量が、ありえないです。
無償化とか、子ども食堂のまえに、
これがふつうでよいのか? ダメやろ」

 白米にサツマイモやニンジン、たまねぎ、豚肉などの具材が入った「さつまじる」、牛乳と魚のそぼろふりかけ、ひじきまめの小鉢に具入りの卵の「ちぐさやき」が1切れ……。SNS上に公開された豊中市の学校給食の画像には、その内容から「何でごはん食えばいいの?」「いくらなんでも少なすぎる」「育ち盛りの子でこれはかわいそう」など、驚きの声が上がっている。豊中市学校給食課では公式インスタグラムで日々の給食の画像を公開しており、それによると日によって内容にばらつきもあるようだ。

 投稿者は今年4月の豊中市議選に無所属で出馬するも、落選となっていた岩永りょう氏。豊中市の抱える問題点のひとつとして、問題提起の意味を込めて画像を公開したという。

「投稿した画像は豊中市の地域情報ポータルサイトで、2~3年前に紹介されていたもので、1食245円の給食費がかかった、小学校5~6年生用の給食です。私が訴えたいのは、1食245円なら妥当だろうという話ではなく、もっと補助金を出してでも子どもたちにはまともな食事を食べさせてあげるべきではないかということ。給食費無償化を掲げる党や議員は多いですが、現場の実態を見ていない。無償化するだけの財源があるなら、それでまずは質を改善するべきなのに、おかずを減らしてごはんを増やして。そんな積み重ねの延長にあるのが、コオロギパウダーだと思います」

 市では投稿のあった学校給食について、どのような認識を持っているのだろうか。豊中市教育委員会事務局学校給食課の担当者は、市が掲げる学校給食の理念・方針について「栄養バランスのとれた給食を提供することで、より充実した学校生活を送るとともに、健全な食生活を実践できるための基礎を培うことを基本的な方針としております」と説明。

 学校給食のグラム数やカロリー、栄養バランスなどの基準については「国による食事の栄養量の目安となる『児童又は生徒一人一回当たりの学校給食摂取基準』に基づき、給食の献立作成をしております」とし、今回の投稿内容に対しては「献立によって、多く見えたり少なく見えたりと、見た目に差がでることがありますが、学校給食摂取基準に基づき、栄養素が不足しないよう配慮しております。旬の食材や郷土料理を取り入れる等栄養バランスのとれた給食を楽しく食べて、おいしく感じてもらえるように取り組みを進め、児童生徒の皆様に、給食を通じて食べ物と体の成長について理解し、自らが栄養や摂取量などバランスのとれた食事を心がけるとともに、望ましい食習慣を身につけていただけるよう努めてまいります」と、あくまでも“基準の範囲内”だとしている。

 文部科学省の学校給食実施基準では、小学校高学年に相当する10~11歳の児童の場合、1食780キロカロリー、たんぱく質は摂取エネルギー全体の13~20%、脂質は20~30%などが定められている。子どもたちに充実した給食を届けたいという思いは作り手も同じだが、限られた予算の中でどうすればいいのか。自治体の手腕が問われそうだ。

次のページへ (2/2) 【写真】日によってばらつきも? 豊中市学校給食課が公開している学校給食の一部
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