尾木ママが新学期に警鐘 いじめに悩む子供たちに学校、親ができること
令和最初の夏休みが終わり、学校が再開した。このタイミングで特に気をつけなければならないのは、子供たちの自殺だ。例年、自殺が増加する傾向にあり、学校側は神経を尖らせている。悲劇を生まないために、学校や親はどう子供と向き合えばいいのか。教育評論家の尾木直樹氏がトークイベントで解決のヒントを伝授した。
いじめの件数が過去最高を更新
令和最初の夏休みが終わり、学校が再開した。このタイミングで特に気をつけなければならないのは、子供たちの自殺だ。例年、自殺が増加する傾向にあり、学校側は神経を尖らせている。悲劇を生まないために、学校や親はどう子供と向き合えばいいのか。教育評論家の尾木直樹氏がトークイベントで解決のヒントを伝授した。
尾木ママが登壇したのは8月31日に都内で行われた認定NPO法人3keys主催のイベントだ。3keysが運営する10代向け相談サイト「Mex(ミークス)」には連日のように子供たちからの悲痛な声が寄せられている。
不登校、いじめ、虐待など教育を取り巻く環境は厳しい。学校側が対策を進め、大人が親身に向き合っても、いじめの件数は減っていない。
文科省によると、全国の小中高校などで2017年度に認知されたいじめの件数は、41万4378件と過去最多を更新。パソコンや携帯電話を使ったSNSで誹謗、中傷されるいじめも1万2632件で過去最多だった。
その中で、最悪のケースが子供が自ら命を絶つことだ。特に、夏休み明け前後には「また一学期と同じような日々が始まるのか……」と悩み、自殺が増える傾向がある。
家庭で悩み相談の窓口になるのは「おばあちゃん」
では、どう防げばいいのか。「すべての子どもたちが安心して暮らすためには」とのタイトルで基調講演を行った尾木ママは「必ずSOSは出している。『死』という言葉で発信しているはずなんです」と話し、子供たちからのメッセージに注意すべきと訴えた。
周囲の友達に冗談めかして「死んじゃおうかな」と話すケースも見過ごしてはいけないという。一方、家庭内で子供が気持ちを打ち明けやすいのは「おばあちゃん」だとも話した。
死の直前はいじめの元凶であるスマホに触らなくなるなどの兆候もあるといい、子供たちの様子を丁寧に見るよう呼びかけた。
日本はいじめ対策においては後進国の仲間入りを果たしている。自殺も全く減る兆しがない。3keysの森山誉恵代表理事は「日本は世界的に子供の自殺もすごい問題です。日本と韓国は先進国では珍しく自殺率が上がっています」と主張し、その原因が学校と家庭にあることを強調した。
児童相談所の虐待対応件数は上昇カーブを描き続け、児相の数も足りていない。さらに、子供から児相への相談は全体の1%と、多くが警察沙汰になるまで発見されないまま野放しにされている現状がある。
いじめをなくし、自殺を食い止めることは、大人の責任で、尾木ママは「子供の問題は100%、私たちの問題なんです」と断言。悲劇を繰り返さないためにも、大人があらゆる対策を講じる必要性を説いた。