世界的大ヒットアニメ作品『エヴァンゲリオン』とモータースポーツのコラボチーム『エヴァンゲリオンレーシング』。レース場を彩り、チームやファンに元気をもたらす原動力が、レースクイーン『エヴァンゲリオンレーシングRQ2023』だ。2021年から真希波・マリ・イラストリアス役を務める所属3年目の霧島聖子に、レースクイーン“誕生秘話”と、今季のあふれる意気込みについて直撃した。（取材・文＝吉原知也）

　エヴァンゲリオンレーシングは今季、『ウエインズトヨタ神奈川×俺だっ！レーシング』とタッグを組み、ドリフト競技の国内最高峰レースシリーズD1GP 2023にフル参戦を表明。2023年度仕様のエヴァRT弐号機 スープラで、挑戦のシーズンを迎える。

　赤い眼鏡がお似合いのマリ役ですっかりおなじみの霧島は、ゲーム・アニメ・漫画オタク、コスプレイヤー、歌手活動と、多彩な経歴を持つ。まずは、生粋のゲームっ子として育った幼少期から。「父がゲーム機を集めるのが好きで、特にレトロゲームが家にたくさんありました。メガドライブとかで遊んでいました。夏休みもずっとゲーム。そんな子どもでした」と振り返る。高校時代は、音ゲーにハマった。「ゲーセンに通い詰めていました（笑）。大人になって歌手活動を通して、ビーマニ（beatmania）、SOUND VOLTEXに自分の歌う曲が収録されて、夢がかないました！」。

　コスプレイヤーとしても活動。東京ゲームショウなどの舞台で実際に仕事に結び付き、「企業の公式キャラを務めさせていただくことができ、本当にうれしく、ありがたい経験をさせてもらいました」と語る。

　レースクイーンを知ったのも幼少期。「父が持っていたバイク雑誌で、鈴鹿8耐のレースクイーンが特集されていて、そこで存在を知りました」。その後、自身にとって、レースクイーンとの“因縁”が生まれる。

　大学時代にアルバイトで、イベントコンパニオンをしていた。レースクイーンの案件が届いた。すぐさまオーディションを受けたが、最終選考で5人から3人に絞る段階で、無念の落選。「それが悔しくて悔しくて。絶対にレースクイーンになりたい！　と思いました。ずっと心残りで。私にとってそこがレースクイーンを目指す始まりでした」。16年にカーレース「SUPER GT」でデビューし、今年でレースクイーン歴8年目を迎える。

　そんなレースクイーン人生は「下積み」が長かった。「最初に東京に出てきたときの1年間、レースクイーンのオーディションを“全落ち”しているんです。1つだけ面接に行けましたが、あとは全部書類落ち。当時、来たものを全部エントリーしていて、本当に軒並みダメという感じでした。ものすごくショックでしたが、自分を磨いて頑張ってきました」。

　積み上げた努力が花開いた。国内主要カテゴリーに登場したレースクイーンの中から人気No.1を決める「レースクイーン大賞」では、2019年のグランプリを逃したものの、大賞に選出された。「レースクイーン大賞についても、受賞を逃し続けた経験があります。一時期、歌って踊れるレースクイーンユニットに所属していたのですが、メンバー4人のうち、私だけ何の賞も取れなかったこともあります。その時はめちゃくちゃ落ち込んで病みました。でも、何が何でも取ってやるという気持ちで、翌年頑張って、それで大賞を受賞することができました。がむしゃらに頑張ると言いますか、ファンの方1人1人との交流を大切にして、1つ1つを真面目に取り組んできました」。全力疾走を続けてきた。

　レースクイーンは「なれたら終わりじゃない」。自身の強みを生かしており、「企業の看板を背負う広告塔の役割もあります。そこを意識しながら、ブログやSNSの積極的な発信を心がけています。それに、私はアナウンススクールに通って“しゃべり”を勉強した経験があります。レースクイーンは動画配信やチームに付随するイベントが結構あるので、トークを磨き、生かしてやってきた部分もあります」と語る。それに、「やっぱり自分が携わって応援しているチームが優勝した時、チャンピオンを取った時、その瞬間に幸せを感じます。悔しいところも見てきている中で、本当に感動的なんです」。

　見た目はちょっとクールに見えるが、たまに衣装のパーツやサングラスを忘れ、「コミカルな動きで焦ってしまい、周囲に分かって」しまう、天然な一面を持ち合わせている。

　そんな霧島は自他共に認めるオタクだけに、学生時代からエヴァンゲリオン作品を全部見てきた、大ファンでもある。「公式のキャラをやる以上は、似せたい」という強いリスペクトの思いで活動している。「知っているからこそ、ここをこうやって演じようと考えながらやっていますし、ファンの方とそういうお話をすることもできるので、しっかり役作りをしています」。そして、目標はずばり、「3年目なので、マリとのシンクロ率をもっと上げていきたいです。本当にマリだね、と言っていただけるように頑張ります！」と力強い。

　今後目指す姿。「今までは周りにしっかりした人がいたので、私のおっちょこちょいなところを助けてもらっていました。今はベテランの域なので、自分が周りを引っ張っていって、あこがれてもらえるような存在になりたいです。トークショーの場も多いので、しゃべりの強みを生かして今後につながるような活動を広げていきたいです。あと、夢が1つあります。エヴァンゲリオンレーシングは、過去に鈴鹿8耐でのレースクイーンのステージが名物になっていたと思うのですが、ステージが復活となった際は、私の歌を皆さんに披露したいです！」。大きな夢を見ながら、前に突き進む。

　今季のメンバーは、綾波レイ役は、赤城ありさを新たに抜てき。式波・アスカ・ラングレー役は引き続き、五十嵐希が務める。