69歳関根勤、63歳ラッキィ池田が作り上げた新感覚エンタメ、動画時代に「音」で笑わせたい理由
タレントの関根勤(69)と振り付け師のラッキィ池田(63)が、新感覚のエンターテインメントを作り上げた。コントと音楽を融合させた音声コンテンツ『ピンッ・チョス!』だ。Mカードを購入し、スマートフォンやパソコンに音楽などをダウンロードして楽しむスタイルで、5月1日から全国のCDショップやWEBサイトで発売が開始される。動画の時代に敢えて音声だけで勝負。2人にその狙いを聞いた。
コントと音楽を融合させた音声コンテンツ『ピンッ・チョス!』リリース
タレントの関根勤(69)と振り付け師のラッキィ池田(63)が、新感覚のエンターテインメントを作り上げた。コントと音楽を融合させた音声コンテンツ『ピンッ・チョス!』だ。Mカードを購入し、スマートフォンやパソコンに音楽などをダウンロードして楽しむスタイルで、5月1日から全国のCDショップやWEBサイトで発売が開始される。動画の時代に敢えて音声だけで勝負。2人にその狙いを聞いた。(取材・文=笹森文彦)
『ピンッ・チョス!』は、2人の感性から生み出されたシュール(非日常的、超現実的)なコントと、それに連動した歌で構成されている。1話は12分前後。計6話のコントには、「たばこ吸わせろや」「作詞家、関根川高廣」などのタイトルがつけられている。
例えば『PNNニュース』と題したコントでは、海外からの変異ウイルスで妙な言葉を発し、鼻の穴に親指を入れたくなってしまう現象をニュース番組として伝える内容。コントには2人だけでなく、共演者も登場。各話のオープニングに、関根の「バカバカしいと思うなよ。やってる本人、大真面目」というナレーションが流れる。まさにその通りの内容だ。
歌はコントの主題歌的な内容で、すべてオリジナル。ラッキィが主に作詞し、関根が主に歌い、2人で歌う曲もある。すべて常識にとらわれない歌ばかりだ。曲調は昭和歌謡、ダンスミュージック、フラメンコなどさまざま。「PNNニュース」で流れる楽曲のタイトルは『クンダとムンダ』で、レゲエ調でしっかりと耳に残る。
関根とラッキィの付き合いは長い。関根が座長を務めるナンセンス軽演劇集団『カンコンキンシアター』を1989年に一緒に旗揚げした仲だ。そんな2人がコロナ禍で公演が中止になるなど活動が停滞する中のプロジェクトとして、『ピンッ・チョス!』を誕生させた。
関根「音声だと何でもできる」…第2弾は「売れたらね(笑)」
ラッキィ「コロナ禍で、なんか永遠に立ち止まっちゃう感じがして。それなら(感染が懸念される)劇場を使わないでできることを作りたいと思いました」
関根「舞台や映像でやろうとしたら、人手やセットが必要だし、予算もかかる。でも、音声だと何でもできるんですよね。落語と同じなんです。『山まで飛ばされちゃった』を映像にするのは大変だけど、(音声を聴いて)頭の中に描いてもらえればいいんですから」
「ピンッ・チョス!」の由来は「(コロナ禍などの)ピンチをチャンスに変える」からだが、音の響きが気に入ったことも大きかったという。ちなみに「ピンチョス」はスペイン料理で、小さいパンの上に魚などをのせて、ようじで刺して食べる軽食のこと。そこから「1作1作においしいものが詰まっている」という意味にも取れる。
また、コントには「ウイルス」「ユーチューバー」「あおり運転」「コンプライアンス」など、今の時代を象徴する事象が登場する。
関根「時代を切り取っているんです。『ああ、こういうのあるよね』とか、『なるほど』って思うことです。やっぱり、今を生きていないといけないですよね。でも、風刺ではないんです。ただバカバカしいことをやりたいだけなので。自由に食べて、楽しんでいただければと思います。もし、風刺ととらえてくれる方がいらっしゃったら、それは望外の喜びですね。おお、そう取ってくれるのかって」
「ピンッ・チョス!」のMカードは、6話収録で3000円。このスタイルにした理由もある。
ラッキィ「最初はアナログレコードにしようかと思ったんです。でもそれだと、今の時代、マニアックな人しか聴けなくなるので(笑)。『CDもどうかな』と考えたんですけど、コントと歌の6話となると長くなるので、Mカードに落ち着いたんです」
4月21日から30日まで東京・銀座博品館劇場で約3年8か月ぶりに復活した『カンコンキンシアター』の物販スペースで、Mカードが先行発売された。
ラッキィ「手応えはいいんですけど、スタッフに『Mカードって何?』『カードから音が出るの?』とか聞いて来る方が多くて。説明しているうちに、並んでいる他のお客様を逃していることもありました(笑)」
ファンには好評のようだが、第2弾、第3弾はあるのか。
関根「(第1弾が)売れたらね(笑い)。そのへんはシビアですから。でも、Mカードみたいなものが、お笑いの1つのツールになっていけばいいと思います。業界に波及していくと楽しいですね」
ラッキィ「僕らはカンコンキンシアターなど、実際に客前で立体的にやっているので、その感覚をマイクの前で作り出す。ただのラジオコントではなく、舞台経験のあるからこその内容なんです。過去をなぞるのではなく、作り出していく面白さ、その辺りを聴いてもらえるとうれしいです」
長きに渡って日本のエンターテインメントを盛り上げてきた関根とラッキィ池田。60代コンビの挑戦はどう展開していくのか。その行く末を多くの芸能関係者が注目している。
◆M(エム)カード 名刺大のカード。裏面に記載されているQRコード(スマホ用)かURL(パソコン用)からアクセスして、同じく裏面に記載されている8桁のPINコード(個人識別番号)を入力することで、音楽コンテンツや画像、映像などを楽しめる。ダウンロードカード、ミュージック・カードとも呼ばれる。
□関根勤(せきね・つとむ)、1953年(昭28)8月21日、東京生まれ。TBS系『ぎんざNOW』の素人コメディアン道場で初代王者となり、74年に芸能界入り。千葉真一、ジャイアント馬場、長嶋茂雄らのものまねでブレーク。旧芸名はラビット関根。バラエティー番組を中心に、テレビ、ラジオ、CM、著述などマルチに活動。長女はタレント関根麻里。168センチ。血液型A。
□ラッキィ池田(いけだ)本名・池田新一。1959年(昭34)10月25日、東京生まれ。84年の『スネークマンショー』にダンサーとして出演後、振り付け師として活動。アーノルド・シュワルツェネッガーがヤカンを持って踊るカップヌードルのCMなどで注目される。テレビ東京系『妖怪ウォッチ』の『ようかい体操第一』にも携わり、高木貴司氏と作詞を担当170センチ。血液型B。