新型コロナ感染者が語る発症からの経緯(後編) 実際に感染して感じた報道との違い

新型コロナウイルスの全国の新規感染者数はピークを越えたとみられるが、減少幅が十分ではなく、緊急事態宣言は5月末まで延長された。感染におびえ、不安を抱いている人も多いだろう。新型コロナウイルスはまだ正体がつかめない。それが恐怖と不安を大きくする。感染したらどうなるのか。症状や経過は人によって差はあるだろうが、実際の感染者の話はおおいに参考になる。そこで、実際に感染した、都内に住む25歳の独身男性の高橋寛人さん(仮名)に詳しい話を聞いた。(後編)

療養していたホテルの部屋【写真提供:高橋寛人】
療養していたホテルの部屋【写真提供:高橋寛人】

トイレも病室で済まさなければならない

 新型コロナウイルスの全国の新規感染者数はピークを越えたとみられるが、減少幅が十分ではなく、緊急事態宣言は5月末まで延長された。感染におびえ、不安を抱いている人も多いだろう。新型コロナウイルスはまだ正体がつかめない。それが恐怖と不安を大きくする。感染したらどうなるのか。症状や経過は人によって差はあるだろうが、実際の感染者の話はおおいに参考になる。そこで、実際に感染した、都内に住む25歳の独身男性の高橋寛人さん(仮名)に詳しい話を聞いた。(後編)

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 陽性と判明してからは別の6人部屋へ。部屋には高橋さんを含め3人の陽性患者が入り、隣のベッドとはカーテン1枚で隔てられているだけだった。症状がなくても、ベッドから出て動き回ることはほぼ許されず、入浴は禁止、トイレさえベッドの脇に置かれた簡易トイレで済まさなければならなかった。ニオイの問題もあり、これはキツかった。

「でも、文句を言う気にはなれませんでした。お医者さんも看護士さんも本当に全力で対応してくれていたので、むしろ感染して迷惑をかけてしまって申し訳ない、と思いました。結局、治療薬がない状況では、僕のような軽症者は入院しても治療は解熱剤のカロナールを飲んで、あとは安静にしていることしかできないので」
 症状はなくても、なかなか陰転せずアビガンの処方も検討されたが、高橋さんは副作用があることも考慮し、処方はしてもらわなかったそうだ。

PCR検査は毎日行われた

 高橋さんの表向きの症状は改善していたが、入院中、問診、聴診、検温、酸素濃度チェック、PCR検査で体調管理を行い、症状の急変に備えた。そして、退院に向けてPCR検査で2回連続陰性の結果が出るのを待った。
PCR検査は毎日行った。検査の精度は100%ではなく、陽性でも陰性という“偽陰性”という結果が3割ほど出てしまうため、2回連続で陰性判定が出るまでは退院できないのだ。

「PCR検査はできる数に限界があり、入院患者には毎日検査して、しかも2回連続で陰性判定が出るまで続けるので、ギリギリの状態なんだな、と感じました。これでは疑いのある人全員に対応するのは現実的じゃないんだな、と。入院前、保健所に電話したときも“検査を許可してあげたいけど…”と思っているのを言外に感じて、メディアで心無いことを言っている人もいますが、無策やイジワルで検査を受けさせないわけじゃないんだな、と僕は感じました。これは実際にコロナを経験して大きく印象が変わりましたね」

 高橋さんは23日に1度陰性結果が出たが、翌24日は残念ながら陽性に。25日には東横インへ移動となり、療養しながら検査を続けた。

「ホテルではあっても対応はホテルマンではなく東京都の職員が行い、日中は専門医と看護士もいて検査体制が整っていたので安心でした。ホテルの方が病院より居心地が良かったです。食事は1日三食、新宿の『駒春』という仕出し弁当屋などいろいろな弁当屋のおいしい弁当を届けてもらえて、入院食に比べて非常に美味しく、風呂にも入れましたから。僕はつらい症状がなかったので、退屈といえば退屈でしたが、テレビもあるし携帯電話も使えたので贅沢はいえません」

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