藤波辰爾が追悼 ”ズッコさん”は「本当の意味で、猪木さんが心を許した人」
プロレスラーの藤波辰爾が8月30日、アントニオ猪木氏の妻・田鶴子さんを追悼した。
当初気丈な反応を見せた猪木氏だったが……
プロレスラーの藤波辰爾が8月30日、アントニオ猪木氏の妻・田鶴子さんを追悼した。
猪木氏は27日に田鶴子さんの死を発表。SNSで「8月27日未明、妻・田鶴子が永眠致しました。生前のご厚誼に深く感謝致します。カメラマンとして私の写真を撮りながら、いつも献身的に尽くしてくれました。今は感謝の言葉しかありません。故人の遺志により、葬儀は家族葬で行います」などと悲しみをこらえながら報告した。
猪木氏は2017年2月に田鶴子さんと結婚。4度目の結婚だったが、知り合ってからの月日は長かった。田鶴子さんは自ら病魔と闘いながら、猪木氏の身の回りの世話を献身的にこなし、マスコミの取材対応にもあたった。周囲からは「ズッコさん」の愛称で親しまれた。
一方、プライベートでは、猪木夫妻と藤波夫妻で月1回のペースで食事をし、夫婦で新婚生活を楽しんでいた。
急逝の一報を受け、妻・伽織さんとともに大きな衝撃を受けた藤波は「体が良くないというのは、本人は言わないけど、ちょっと元気がないとか接していて分かっていた。猪木さんとズッコさんとボクら夫婦同士で必ず、月1回、食事会をやっていた。そのたびにいろんな話をした。『また、食事に行きましょう』という話をしていた矢先のことだった。本当に寂しいね」と振り返り、沈痛な表情を浮かべた。
すぐに猪木氏に電話を入れると、猪木氏は当初、気丈な反応を見せた。
「ボクらの前では猪木さんも強がりでね、さすがに『元気ですかー!』というのはなかったけど、『まいっちゃったな、逝っちゃったよ』とか本人らしい言葉で言っていたので、ボクもかける言葉がなかった」
しかし、途中で電話を伽織さんに代わり、伽織さんが涙ながらに悲しみを伝えると、猪木氏も声を詰まらせたという。「家内に代わった瞬間に、猪木さんも声を詰まらせて……」。猪木氏の深い悲しみを感じ取った藤波は「ショックだったと思う」と、その胸中をおもんぱかった。
夢のトークショー実現秘話「ズッコさんがいたから」
4月26日のドラディション東京・後楽園ホール大会では、リング上で猪木氏、藤波によるトークショーが行われ、大いに盛り上がった。足の悪い猪木氏がリングに上がった裏には、田鶴子さんの尽力もあったという。
「ズッコさんがいたから猪木さんも安心してやってくれた。すごい蜜な時間になって、ズッコさんも喜んでいた」
2人が入場する直前、バックステージでは田鶴子さんが、猪木氏のズボンのポケットから折り畳み式の櫛を取り出し、藤波の髪の毛をセット。続いて、猪木氏の髪の毛をセットする気配りもあった。
「あれだけ猪木さんのことを芯からケアしていた。本当の意味で、猪木さんが心を許した人」と藤波は話し、田鶴子さんの早過ぎる死を悼んだ。