RIZINがブアカーオを招へいした理由 描く格闘技の今後「THE MATCHを追いかけても仕方ない」
格闘技イベント「RIZIN.42」(5月6日、東京・有明アリーナ)の追加対戦カード発表記者会見が都内で行われた。ブアカーオ・バンチャメーク―安保瑠輝也の対戦カードが発表された。榊原信行CEOが会見後、マッチメイクの真意を明かした。
MMA転向組のマッチメイクに苦心
格闘技イベント「RIZIN.42」(5月6日、東京・有明アリーナ)の追加対戦カード発表記者会見が都内で行われた。ブアカーオ・バンチャメーク―安保瑠輝也の対戦カードが発表された。榊原信行CEOが会見後、マッチメイクの真意を明かした。
電撃発表となった今回のカード。K-1で魔裟斗を苦しめたブアカーオが久しぶりに日本で見られることとなる。レジェンドとの交渉は、昨年8月にまでさかのぼる。
「(三浦)孝太とやったじゃないですか。それでブアカーオにも注目が集まりました。孝太と絡んだことによって、コミュニケーションを取るようになりました」
一方の安保との交渉は昨年末「K-1との契約が解除されてから」と口にした。今回のカードについて「『THE MATCH 2022』が終わった中で、キックの選手の試合をどう組み上げていくのか。熱を作り出していくのかがひとつのテーマ。その中で起爆剤になればいいな」と思いを明かす。
また「タイにはムエタイの若くて良い選手っていっぱいいるんです。別にONEに全部振られてるわけじゃないです。そういう選手たちを日本にも紹介したい。ブアカーオとしてもそういう選手たちの水先案内人になれればという思いがある」とRIZIN参戦を決めたブアカーオの胸の内も代弁していた。
MMAのイベントを行う「RIZIN」で行われる立ち技マッチを巡っては、ファンからさまざまな声が上がる。地方大会で行われるキックボクシングマッチは「ジモキック」と揶揄されるほどだ。また梅野源治のように「ムエタイマッチ」開催のため一生懸命に動いている選手もいる。
そんな中で安保は「視聴者目線でRIZINを見てきて、MMAは『見てて面白いかな?』」「勝って俺が新ルールぶち上げたい」と投げかけていた。
榊原CEOも「新しいことをやってみたらいいかなと思っている。『THE MATCH 2022』なんか追いかけても仕方ないからね。あんなのは偶然、たまたま。何十年に1回できること。PRIDEの幻想を追いかけた団体が成功したか? 成功していないんですよ。もう過去を否定して、新しいものをスクラップ&ビルドしていかなくちゃいけない」と語る。
さらに「そういう中で立ち技の中で発信力があって、新しいチャレンジをしている人たちっていっぱいいると思う。RIZINがそういう人たちの受け皿になればいい。ファンも巻き込んで新しいムーブメントを作り出せる。ワクワクドキドキするようなチャレンジを立ち技系の選手たちと一緒に作れたらいいと思っています」と考えを明かした。
キックからMMA転向が増えてきている。プロモーターとしては複雑な気持ちだった。
「芦澤選手のようにMMA挑戦もすごい志だと思うけど、まぁ大変なんですよ。久保優太にしたって平本蓮にしても何年もかかっている。今でもコンプリートの完成形になりきれていない部分もあると思う。そう考えると芦澤をMMAファイターとして挑戦していく過程を見せていくのは難しい。今のバンタムに放り込んで太刀打ちできるわけない。僕らのなかでも模索しています」
「RIZIN.42」で行われるキックのカードは“査定”の意味合いもありそうだ。
榊原CEOは「キックの選手が生きが良くて、こんな激しい試合を見せられるよって、ファンの心をわしづかみするようなことあれば、1つの求心力になって、新しいチャレンジを僕らも一緒にしようということになる」とうなずいていた。