24歳・平祐奈、子役デビューから12年 映画出演きっかけは「知らないうちに母が応募」
俳優の平祐奈(24)がBS松竹東急(BS260ch・全国無料放送)の第5弾月曜ドラマ『半熟ファミリア』(4月3日月曜午後10時30分より放送開始)に主演する。漫画『半熟ファミリア 腹ペコ兄妹の熟成レシピ』(ぶんか社刊)が原作で、甥、姪と暮らし、「熟成」をテーマにした家庭料理を作るヒロイン・あかりを演じる。
初舞台『奇跡の人』で大きな転機「セリフがないというのは本当に挑戦でした」
俳優の平祐奈(24)がBS松竹東急(BS260ch・全国無料放送)の第5弾月曜ドラマ『半熟ファミリア』(4月3日月曜午後10時30分より放送開始)に主演する。漫画『半熟ファミリア 腹ペコ兄妹の熟成レシピ』(ぶんか社刊)が原作で、甥、姪と暮らし、「熟成」をテーマにした家庭料理を作るヒロイン・あかりを演じる。(取材・文=平辻哲也)
11歳のときに是枝監督の映画『奇跡』(2011年)でデビューし、近年ではフジテレビ系ドラマ『まだ結婚できない男』(19年10月期)、映画『10万分の1』(20年)などの話題作に出演し、映画『恋は光』(22年)では「第44回ヨコハマ映画祭」で最優秀新人賞を受賞した平が「熟成」をテーマにしたホームドラマに臨む。
本作は『兄―ト先生の発酵メシ』『女子高生と結婚したので爆発します。』など多彩なジャンルの漫画を描く羽鳥まりえの漫画が原作。主人公のあかりと甥・朔太郎(浅川大治)と姪・楓子(吉田萌果)のチグハグな家族がひとつ屋根の下で暮らす中で、「熟成」をテーマにした温かみのある家庭料理で食卓を囲み、お腹と心を満たし、家族の絆の「熟成」を描く。
「撮影は楽しかったです。14歳の男の子と、7歳の女の子の3人芝居。子役の方とずっと一緒にお芝居することはないので、すごく新鮮でした。1日1話を撮っていかないといけないので、いっぱいセリフもあるし、お料理も作らないといけない。段取りが多かったので、みんなで団結して、乗り越えました」と振り返る。
自らも子役出身だが、子役との共演はどうだったのか。
「14歳の大治君は7歳からスタートして、萌果ちゃんは今7歳ですけど、スタートは0歳から。ちゃんとお芝居の教育を受けているから、しっかりしているんです。セリフにしても、現場での立ち振る舞いもすごい。私は何も知らずに11歳のときに始めていますので、お芝居について教えられたこともないし、2人はすごいなって本当に感心しました。2人ともしっかりしているんで、面倒を見ている感じは全然なかったです」
平が演じるのは、明るく男勝りな性格で食べることが大好きなライター・筆谷あかり。施設に預けられていた姪・楓子(吉田萌果)と、父親を亡くし行くあてのなかった甥・朔太郎(浅川大治)の母親代わりとして一緒に暮らしていく。
「私には姪っ子甥っ子が11人いるので、一緒にお家に住むことにも違和感はなかったんです。中盤から終盤には繊細な描写もありましたが、基本は明るいコメディーで、普段の自分より、ちょっと大げさな感じにして自由にやらせていただきました。普段言わない『お前』とか『○○だろ?』といった口調も、いつの間にか自分の言葉になっていました。現場にいるときは口が悪かったですね」と笑う。
撮影の楽しみはおいしい料理だった。
「毎日、本当においしく味わいました。全部がおいしかったんですけど、カレーうどんはちょい辛で、出汁も効いて、撮影が終わってから朔太郎と完食しました」。自身も普段から料理をするそうで、家族から好評なのは、生姜焼きだという。
俳優生活は12年。その原点は映画『奇跡』だ。鹿児島と福岡で離れ離れに暮らす小6と小4の兄弟(前田航基、前田旺志郎)が主人公の物語で、平は弟(旺志郎)のクラスメイト役を演じた。
「知らないうちに母がオーディションに応募していたんです。是枝監督は子役に台本を持たせないので、その場で状況を説明されて、そのときに出てきた言葉を使うという感じでした。当時の私はお芝居のことを何も知らなかったので、それが逆によかった」
昨年は初舞台『奇跡の人』でヘレン・ケラー役にも挑戦したことが大きな転機になった。
「私がこの世界に入ったのも『奇跡』でしたが、また奇跡つながり。初舞台で、三重苦(見えない、聞こえない、話せない)の役で、セリフがないというのは本当に挑戦でしたが、この役をやれて本当によかったと思っています。私は芝居をしているときに、すごい幸せを感じるので、誰かになりつつ、自分自身の引き出しを増やせていけたらいい。是枝監督とは、『奇跡』の後もドラマ(『ゴーイング・マイホーム』)などでご一緒させていただきましたが、ちゃんとお芝居を見てもらいたいと思っています」。平は演技でも“熟成”を目指し、恩師との再タッグを願った。
□平祐奈(たいら・ゆうな)1998年11月12日、兵庫県出身。是枝裕和監督の『奇跡』(11年)で俳優デビュー。主な映画出演作に『紙の月』(14年)、『ソロモンの偽証 前篇・事件/後篇・裁判』(15年)、『青空エール』(16年)、『キセキ -あの日のソビトー』『きょうのキラ君』『サクラダリセット 前篇/後篇』『暗黒女子』『ReLIFE リライフ』『忍びの国』『未成年だけどコドモじゃない』(いずれも17年)、『honey』(18年)、『凜-りん-』(19年)、『10万分の1』(20年)など。