「試合当日に力が入らない」萩原京平が感じていた異変 崖っぷちで変えた減量方法と練習【RIZIN】
4月1日に開催される格闘技イベント「RIZIN.41」(大阪・丸善インテックアリーナ大阪、ABEMAで完全生中継)でカイル・アグォン(米国)と対戦する萩原京平(SMOKER GYM)。華があると人気なファイターだが、2022年は3戦3敗とキャリア初の3連敗を喫し、悔しさの残る1年になっていた。そんな崖っぷちの萩原が再起のために新しく始めたことや戦績についての思いを明かした。
これまでのトレーニングから大幅に変更
4月1日に開催される格闘技イベント「RIZIN.41」(大阪・丸善インテックアリーナ大阪、ABEMAで完全生中継)でカイル・アグォン(米国)と対戦する萩原京平(SMOKER GYM)。華があると人気なファイターだが、2022年は3戦3敗とキャリア初の3連敗を喫し、悔しさの残る1年になっていた。そんな崖っぷちの萩原が再起のために新しく始めたことや戦績についての思いを明かした。(取材・文=島田将斗)
昨年は3月に弥益ドミネーター聡志、5月にクレベル・コイケ、9月に鈴木千裕と戦った。いずれも寝技での敗戦だ。誰もが萩原の弱点を分かっている。再起へ向けて今までとはガラリと練習の考え方を変えた。
「以前はMMAの全体的な技術を上げるための練習をしていました。例えば僕がDEEPとか、パンクラスとかのデビュー戦、そういう位置やったら、今までの練習で良いと思うんです。でも、今の立場にいて強豪ぞろいの中で勝つためには今までの練習をしていても追いつかない。自分の勝てるところ、その展開に持っていくための練習にシフトチェンジしていますね」
萩原は現在27歳。最大で9つ年の差がある大学生とも練習を積んできた。名門・近畿大のレスリング部へ出稽古、技術を一から学んだ。
「みんな強いですね。そのなかでも自分が思っていたよりも通用しているという感触はありました。学生に(自身の)良いところ、あかんところを聞いて、自分なりに分析をして弱点を集中的に対策してきています。手応えはありますね」
RIZINにも出場しているプロ格闘家が大学生に教えを乞う。初めは「しんどかった」という。
「最初は写真攻めにあったし、レスリング部以外にも話が伝わってて、練習時間前になったら部室の前にいろんな部活の子が待っていたりとかしました。最初のころはみんな休みなく、スパーリングもガンガンくるので、バリしんどかったですね(笑)」
「しんどかった」のはプライドの部分ではなかった。この経験を「大学生と話す機会も増えてコミュニケーションを取れるようになって良かったです」と振り返った。
もうひとつ大きく変えた部分がある。減量だ。萩原は今まで“過酷減量”を自身の体に強いてきた。試合残り1週間で8キロを落としていたこともある。3連敗をして、自身のこれまでを思い返したときに、ある異変があった。
「試合中、組んだ時に力が入らないとずっと思っていたんです」
直近3試合はどれも簡単にテイクダウンを許してしまっていた。今回は減量の専門知識を持つ人間に指導に入ってもらっているという。
「普段の減量の仕方を専門の人に話をしたときに『全くあかん』と言われたんです。その原因は何かというのも解明してもらって、これじゃあパワーも出ないよねって理論的に説明してもらいました」
今回は食事も摂りながら減量できているといい、公開練習時点(24日)では70キロ。「今まではしんどい練習で満足している自分がいました。今回は言い訳できないくらい準備もできているし、今回はそういうところで楽しみですよね」と余裕を見せた。
戦績は「全然気にしていない」
これまでプロで13戦をしている萩原。前回の敗戦で戦績は6勝7敗となり、負け越してしまった。どのように受け止めていたのか。らしい答えが返ってきた。
「全然気にしていないですね。もともと綺麗なレコードで始まってるわけではないですし、エリートではない僕のキャリアって異色。最後、自分の格闘技人生が終わるときに、戦績よりも『あいつのあの試合が面白かったな』ってみんなの記憶に残りたいです。泥臭くでもいいので、内容を出していく。それが自分にとっても面白い」
ツイッターではかつて対戦し、TKO勝ちした平本蓮から「俺も絶対に勝つ 平本蓮VS萩原京平2待ってんぞ」とエールを送られていた。平本は萩原が一本負けを喫した弥益ドミネーター聡志にも勝利している。思いを明かす。
「僕が負けたドミネーター選手にあいつは勝ってるんで、そこはシンプルにリスペクトです。でも、僕があいつ(平本)より弱いってことは全くない。正直今再戦しても、もう1回同じ結果になると思っています」
平本からのエールに「俺は必ず勝つ 震えて待っとけ」とアンサー。全く相手にしていなかった今までの反応とは違う。その真意を語る。
「この先ここから勝ちまくって、お互いに勝ち上がったところで再戦するイメージができています。平本と絡むことで話題になるっていうのも分かるし、向こうもいっちょ前に絡んできてるから返したろかなって感じですね(笑)。応援しているファンの人がワクワクする展開を作るのも大事なことだと思います」
世間から見ても崖っぷちの状況だが、公開練習では「勝ちに徹する試合はしない」と断言した。どんなに逆境でも萩原の生き様は変わらない。
「自分で見返して、面白い試合をするっていうのが格闘技を始めたころから思っていること。それができれば僕は満足です」
記録ではなく、記憶に残る試合を。地元・大阪でどんな試合を見せるのか。萩原のこれからに期待したい。