ベビーカー「持たない」という選択 都会ではデメリットも多い? 持たずに育てる30代ママに聞いた
子どもが生まれると、必需品の一つに挙がるのがベビーカーだ。子どもを寝かせたり、座らせて出かけることができるため、親にとっては肉体的負担が少ないメリットがある。一方、ネット上には「ベビーカー買わない選択肢もあり」「私も買わない予定」など、ベビーカーの購入に否定的な家族も存在している。最近では満員電車やエレベーターでの使用法がたびたび議論になるベビーカー。ベビーカーのない生活のメリット、デメリットとは? 都内に住み、3歳の子どもをベビーカーを使わずに育てる30代女性に聞いた。
満員電車やエレベーターでの使用法がたびたび議論
子どもが生まれると、必需品の一つに挙がるのがベビーカーだ。子どもを寝かせたり、座らせて出かけることができるため、親にとっては肉体的負担が少ないメリットがある。一方、ネット上には「ベビーカー買わない選択肢もあり」「私も買わない予定」など、ベビーカーの購入に否定的な家族も存在している。最近では満員電車やエレベーターでの使用法がたびたび議論になるベビーカー。ベビーカーのない生活のメリット、デメリットとは? 都内に住み、3歳の子どもをベビーカーを使わずに育てる30代女性に聞いた。
東京23区内に住む女性は2020年に第一子を出産。その後、ベビーカーを持たずに、現在まで暮らしている。自分から進んで歩くようになる3歳までは抱っこひもやヒップシートを使い、片道15分かかる保育園の送迎も行っていたという。
ベビーカーを持たなかった理由について聞くと、「まず単純に家の玄関が狭くて置く場所がなかった」と明かした。生まれた当初、住んでいたのは1DKのアパートの2階。玄関部にスペースがなく、幅を取るベビーカーを置くことができなかった。家賃が高額な都心部では、どうしても部屋が狭くなりがち。置き場に苦労している家庭は多いかもしれない。
また建物の構造上、階段を使わなくてはいけないこともベビーカーの購入をためらわせたという。「外階段のアパートに住んでおり、ベビーカーで出かけるとしたらベビーカーを1階まで降ろしてから首の座らない子どもをまた連れて降りることは非効率だと思いました」
そして、もう一つの理由は移動の大変さだ。自動車は保有しておらず、どこへ行くにも電車や公共交通機関を使っての移動となる。「ベビーカーだと上下移動に時間がかかるのが気になりました。エレベーターを探したり、混んでいたら何往復も待たなくてはならなくなり、時間がもったいないと感じた」。駅や商業施設でベビーカーの移動はエレベーターが必須だ。1階から2階へ上がるだけでもエレベーターを探して利用しなくてはいけない。さらに休日ともなれば、エレベーターの混雑は必至で、時間に余裕を持った行動が不可欠となる。
ベビーカーを持たず、抱っこひもやヒップシートを使うメリットは、道幅や段差なども気にせずに移動できることだ。「移動の楽さが全然違うと思う。ベビーカーで行くことによって、30分は多めに見ないといけないと思う」。抱っこひもなら階段のたびに遠回りする必要はない。また、たまにベビーカーを利用したいときは、東京駅や新宿駅など主要ターミナルにはレンタルが充実しているといい、不便さは感じないという。JR東日本はベビカルというベビーカーレンタルシステムを2021年から本格運営しており、駅の構内外で気軽にベビーカーを借りて散策できる仕組みが広がっている。
一方で、デメリットは「子どもが昼寝している間にお茶したり、ショッピングする自由さはないですよね。抱っこひもは簡単に着脱することはできない。子どもと常に一体だから、試着なんかもできないし。あと身体的な負担は大きいですよね。腰と背中はバキバキになります。ベビーカーは下に荷物を載せられるのもいい。親自身は身軽でいられる」。よくスタバなどで見かけるベビーカーを脇に置いてお茶をする母親には憧れを抱いたという。また、抱っこひもの弱点について「パートナーとシェアするときのサイズ調整は毎回面倒くさい」とぼやいた。
子どもは1歳を過ぎたころから歩き始めるとされる。ただ、歩く、抱っこ、歩く、抱っこの繰り返しとなり、大人と同じような速度かつ長時間歩き回るには時間がかかる。体重が軽いうちは抱っこひもでも十分だが、重くなると、親への負担は増大する。反対にベビーカーを買ってもすぐに嫌がってしまう子どももおり、ただの荷物置き場になってしまうこともありそうだ。住んでいる場所や自宅の広さと構造、車や自転車はあるか、子どもの人数などによっても一長一短となる。
女性は「ベビーカーを持っていないのは少数派なような気がする」と語りつつも、特に不便はしていないと話す。ベビー用品はレンタルやサブスクも相次いで登場しており、子連れの新たな生活スタイルが注目されている。