木村拓哉、フジ月9を“変える” 主演最多11回目 『教場』連ドラ化は「若干挑戦的な部分はある」

俳優の木村拓哉が、フジテレビ系連続ドラマ『風間公親-教場0-』(4月10日スタート、月曜午後9時、初回30分拡大)で主演を務める。過去2回のスペシャルドラマで反響を呼び起こし、伝統の“月9枠”で連ドラ化。今回は、冷徹な警察学校教官・風間公親(かざま・きみちか)の過去を取り上げるストーリーで、新人刑事の教育に刑事指導官として当たっていた時代を描く。「不可能だと思っていました」と語る連ドラの制作。圧倒的な存在感を放つ風間の役柄、月9に新風を呼び込みそうな力作に込めた思いについて聞いた。

木村拓哉がフジテレビ系主演ドラマ『風間公親-教場0-』で熱演を見せる【写真:(C)フジテレビ】
木村拓哉がフジテレビ系主演ドラマ『風間公親-教場0-』で熱演を見せる【写真:(C)フジテレビ】

『風間公親-教場0-』 “新人刑事教育”が舞台 共演者との化学変化にも期待感

 俳優の木村拓哉が、フジテレビ系連続ドラマ『風間公親-教場0-』(4月10日スタート、月曜午後9時、初回30分拡大)で主演を務める。過去2回のスペシャルドラマで反響を呼び起こし、伝統の“月9枠”で連ドラ化。今回は、冷徹な警察学校教官・風間公親(かざま・きみちか)の過去を取り上げるストーリーで、新人刑事の教育に刑事指導官として当たっていた時代を描く。「不可能だと思っていました」と語る連ドラの制作。圧倒的な存在感を放つ風間の役柄、月9に新風を呼び込みそうな力作に込めた思いについて聞いた。(取材・文=吉原知也)

 原作は、長岡弘樹の警察小説『教場』シリーズ。2020年、21年に新春スペシャルドラマとして放送された前作『教場』『教場II』では、威圧感と迫力ある木村の演技が大きな話題を呼んだ。今回の舞台は前作の警察学校ではなく、“風間道場”だ。キャリアの浅い若手刑事が突然、刑事指導官の風間とバディを組まされ、実際の殺人事件の捜査を通して刑事としてのスキルを学ばせるという育成システムの現場を軸に、物語が展開する。さらに今作では、風間がいかにして“教官・風間公親”に変貌を遂げたのか。その大きな謎が明らかとなる。

 脚本を担当するのは、『踊る大捜査線』シリーズの君塚良一。演出は、木村とは『若者のすべて』(1994年)、『眠れる森』(98年)、『プライド』(04年)など数々の名作を共に作ってきたレジェンド・中江功が手がける。

 待望の連ドラ化。一方で、木村にとっては「正直、連続ドラマで風間をやらせていただくこと自体が僕の中では不可能だと思っていました」という。「中江監督からいろいろとお話をしていただきました。作品の中身からちょっと引用させていただくと、自分は『中江教場』で育ってきたと思っているので、中江監督の説明に熱意を感じて、『お願いします』という形になりました」と明かす。

 中江監督と綿密に打ち合わせながら、本作を丹念に作り上げている。木村自身は“風間公親”の役柄をどう捉え、アプローチしているのか。

「どういう風に視聴者の皆さんにドキドキしてもらうかということだと思っています。僕も大好きだった(故・田村正和さんが演じた)『古畑任三郎』だったり、刑事ものにはすごくいろいろなアプローチがあるとは思いますが、過去2作で『教場』というスタイルで続けていたところを、今回は教場というものを後ろにして、風間公親というものを前に持ってくる作業だと考えています。彼のパーソナルをどこまで不思議に、どこまである意味不気味に表現できるか。『不思議で不気味なんだけど、なんでこの人はこんなに核心を突くのですか?』というイメージです」。

 卓越した洞察力で真相を見抜き、事件を解決に導く風間。その冷酷無比なキャラクターは今作でも強烈に描かれることになりそうだ。中江監督からは、風間の生活面や「人らしい部分」を一切求められていないという。それだけに、“反動”を感じることもあるそうだ。

「その生活感のない、人間性を感じにくいキャラクターとしてやらせていただく上で、どういう状況においても笑顔がないので、演じていて違和感をたびたび覚えます。自分でやっておきながら、『こういう人は本当にいるのだろうか』と。だからそういう冷たい温度のシーンを重ねていけば重ねていくほど、カメラが回ってないところで、本番ではもちろんやらないんですけど、本番にステップアップしていくその途中で、非常にふざけたくなります(笑)」。顔を少しほころばせた。

『風間公親-教場0-』で主演を務める木村拓哉はテレビ視聴の多様化についても言及した【写真:(C)フジテレビ】
『風間公親-教場0-』で主演を務める木村拓哉はテレビ視聴の多様化についても言及した【写真:(C)フジテレビ】

「お互いを理解し合った上で共通のものを作れている」

 中江監督をはじめ、慣れ親しんだスタッフたちがそろう撮影現場。「気持ちいい緊張感」の中で撮影に臨んでいるという。「非常にありがたいのが、どこに立っていようが、誰が相手であろうが、どんなケースを目の前に見据えていようが、『彼(風間公親)だったらこうしますよね』というポイントを自分だけじゃなくてスタッフの皆さんも共有してくださっていることです。そういった形で、同じベクトルを向いていることを感じています。お互いを理解し合った上で共通のものを作れているので、すごく面白いです」と充実感を語る。

 本作の見どころの1つが、風間の指導を受けることになる後輩刑事だ。バディを組む新人刑事役として、すでに、赤楚衛二、新垣結衣、北村匠海、白石麻衣、染谷将太の名前が発表されている。誰が登場し、木村とどんな演技の“化学変化”を起こすのか。楽しみにしている視聴者も多い。撮影現場はどんな様子なのだろうか。

「今回は新米刑事になってくださるいろいろな方と共演します。僕は何も構える感じもなく、フラットな状態でやらせていただいています。共演者の皆さんの趣だったり表情や体温を、僕が勝手に感じたところでは、前作2作があの空気感なので、すごく喜んでくださっている方もいらっしゃるのですけど、何かこう『来てしまった』というような空気でいらっしゃる方たちを非常に感じます(笑)」とのことだ。

 高まる本作への期待値。テレビ視聴の多様化についても言及し、自らが、そして、チームとして取り組む撮影への熱意について語った。

「元も子もないことを言っちゃうかもしれないですが、テレビドラマを時間とお金をかけて大人が本気になって作っても、見る方たちの選択肢が豊かになっていて、下手したらテレビの電源を入れる必要もない、ということもあり得ます。若いスタッフが『この間、中江さんと木村さんがやったドラマを見ました』と言ってくれて、感想を聞いたら、『すごいお話が熱い感じで』と話してくれました。でも、そのスタッフは(テレビ画面ではなく)携帯で見ていて、『あっ、そっか』となりました(笑)。それこそ見逃し配信だったり、録画しておいて自分が見たい時に一気にまとめて見たり、今の時代は見方が豊かになっていると思っています。決してあきらめではないのですが、どこかそこは自分が取り組む熱意とは別に、ラインを引いて考えなきゃいけないなという部分があると思っています。でも、それこそ『この作品に自分は来たんだ』という共演者の皆さんがいて、プロ集団のスタッフがいて、現場には面白い責任が毎日転がっています。現場の熱は高く、撮影に取り組んでいます」。

 木村にとって月9ドラマ主演は今作で11回目となり、月9ドラマ主演回数は歴代1位となる。エンタメ界の大きな功績として、月9をフジテレビの看板ドラマ枠へと押し上げた俳優の1人として数えられる。その当事者が、本作の放送決定の発表時に、「“フジの月9”っていうあの空気は、今回全部入れ替わると思います」と公式コメントを出した。いよいよ放送を迎えるにあたり、どのような手応えを感じているのか。

 フジテレビ月曜夜9時のドラマ枠を「物件」に例えたうえで、「そういう内容のお店を、その物件に当てはめていいものかどうかというのは、若干挑戦的な部分はあると思います。『フジテレビの月曜9時にこういう陳列をするんだ』という思いはあります」と語った。

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