「目立ちたい!」悪ふざけした投稿が人生を台無しにする可能性も 就活生の裏アカを調べる企業が増加
エントリーシートや、グループディスカッションなどからは見えてこない“裏の顔”を知ろうと、就職を希望する学生のSNS投稿を調査する企業が増えている。中でも企業が注目しているのが、メインで使っているアカウント(本アカ)とは別に持っているサブのアカウント(裏アカ)。学校での愚痴や、アルバイト先で体験したことなどが、赤裸々につづられている投稿には、その本性が見え隠れする。企業から裏アカ調査を請け負う法人専門の調査会社「企業調査センター」(東京・千代田区)に聞いた。
投稿から見えた良い一面も企業に報告
エントリーシートや、グループディスカッションなどからは見えてこない“裏の顔”を知ろうと、就職を希望する学生のSNS投稿を調査する企業が増えている。中でも企業が注目しているのが、メインで使っているアカウント(本アカ)とは別に持っているサブのアカウント(裏アカ)。学校での愚痴や、アルバイト先で体験したことなどが、赤裸々につづられている投稿には、その本性が見え隠れする。企業から裏アカ調査を請け負う法人専門の調査会社「企業調査センター」(東京・千代田区)に聞いた。(取材・文=西村綾乃)
2008年から15年以上にわたり信用調査などを行ってきた同社。保険会社や銀行など金融系の企業からは、破産歴や犯罪歴などがないか、バックグラウンドを知りたいという要望に応えてきた。
「SNSが台頭する中で、『裏アカウントを見たい』という企業が増え、これに特化した『Sトク』というサービスを2020年9月に開始しました。コロナ禍でウェブを通した面接が増え、採用判断が難しいという声もありました。2年前には数十件だった依頼は、現在は270件以上に。従来からあった金融系の会社以外に、インターネットを活用するIT系企業からの依頼も増えました」
昨今SNSでは、飲食店で悪ふざけする様子など、SNSに投稿された迷惑動画が多く見つかり、問題視された。
「本アカウントでは、ボランティア活動をしているなど品行方正な面を見せている学生が、ウケを狙うだけの投稿や、差別発言、同級生を攻撃する発言をしていたケースもありました。企業側は、問題を起こしてしまう可能性がある人材を受け入れたくないという考えと共に、ストレス耐性があるかを知りたいという狙いもあるようです」
裏アカウントは、本人が公表するなどすぐ発見できるものもあれば、掘り下げていく中で見つかるものもあるという。
「本アカウントを持っている学生のうち、半数程度が『趣味の人だけでつながりたい』などの理由から複数のサブアカウントを持っています。そのうち問題が見つかるのは、全体の30%ほどです」
複数のアカウントを使い分ける学生のうち3割が問題行為をしていることは驚きだ。
「ツイッターの場合、フォローしている人しか閲覧できないように『鍵』をかけていても、画面をスクリーンショットして、拡散されることもあります。SNSは世界につながっているので、安易に投稿しないことが大切です」
同センターでは、見つかった裏アカを4~5段階で評価するという。将来損害を与えかねない学生の情報はもちろん、投稿を閲覧する中で気付いた学生の良い一面も企業に報告する。
「人生を左右する採用試験では、緊張などから全てを出し切れない学生もいます。部活動などで優秀な成績を修めた学生については根気強さがある。リーダーシップがあるなど投稿を見て気が付いたことを企業に伝えています。逆に面接試験の様子について、面接では絶対に口にしないようなことを、投稿してしまう学生もいます。企業側も持っているアカウントでの発言が炎上するなど、ネットリテラシーについて敏感になっています。SNSは誰でもが発信者になれる革命的なツール。ストレスを発散する場ではなく、上手に付き合ってほしい」