「3人だからこそ見せられた物語」 初代ユニット王者のNGT48トリオが見せた“絆”

AKB48グループの中で最も魅力的な歌い手を決める『AKB48グループ歌唱力No.1決定戦』。第5回大会ではユニット戦が新たに設けられ、3月2日に東京・日本青年館ホールで行われた8組による決勝大会では、NGT48の三村妃乃、清司麗菜、新井りりの組が初代チャンピオンに輝いた。

(左から)「NGT48」の三村妃乃、清司麗菜、新井りりの【写真:小田智史】
(左から)「NGT48」の三村妃乃、清司麗菜、新井りりの【写真:小田智史】

NGT48の三村、清司、新井組が歌唱力No.1決定戦ユニット戦の初代チャンピオンへ

 AKB48グループの中で最も魅力的な歌い手を決める『AKB48グループ歌唱力No.1決定戦』。第5回大会ではユニット戦が新たに設けられ、3月2日に東京・日本青年館ホールで行われた8組による決勝大会では、NGT48の三村妃乃、清司麗菜、新井りりの組が初代チャンピオンに輝いた。(取材・文=小田智史)

 人気でも運でもない、完全実力勝負の“ガチ歌バトル”はこれまで、「個人の努力が評価される場」として個人戦だった。3人1組のユニット戦開催が発表されたのは昨年8月末。第1回から3大会連続で予選敗退と涙をのんだNGT48 1期生の清司は、「毎回悔しい思いをして、限界を感じてしまっていた」という。そんな先輩に何度も“ラブコール”を送ったのが、個人戦で3大会連続の決勝進出経験を持つ2期生の三村だった。

「(第4回AKB48グループ歌唱力No.1決定戦)ファイナリストLIVEでユニット戦開催が発表されて、この場所にもっとNGT48のメンバーがいてくれたらうれしいと思いました。まだ大会の詳細が決まっていない段階から、麗菜さんに『出ませんか? ユニット戦もあるらしいですよ』と声をかけさせていただいていたんです。麗菜さんとならいい歌が歌える。純粋なオファーでした。最初に誘ったときは嫌な顔をしていました(笑)」

 当初は立候補を決心することができなかった清司だったが、「麗菜さんならいける」「麗菜さんしかいない」と何度も誘ってくれた三村が背中を押してくれた。

「自分の中では毎回本気で挑んでいたけど、自信をなくしていたのもあって、どうしようかなって。でも、妃乃ちゃんは本当に自信をくれるのが上手。私個人の歌のレベルで言ったら、課題はたくさんあると思いますけど、私の歌のいいところをほめてくれて、伸ばそうとしてくれた。そのスタンスに、『妃乃ちゃんについて行こう』という気持ちになれて、一歩踏み出すことができました。最後の後押しは妃乃ちゃんです」

 もう1人を2022年6月に加入したばかりの3期生から選ぶことを決め、2人のなかで「(新井)りりのがいい」と意見が一致。1期生、2期生、3期生、期も年齢も違う3人のユニットが誕生した。新井は先輩2人に感謝の言葉を述べる。

「私は加入してからまだ1年もたっていない。ファンとして歌唱力No.1決定戦を見ていたので、まさか自分が出場するとは思っていなかったし、新しくユニット戦ができるとなった時も自分がユニット戦に立候補するとは思っていませんでした。麗菜さんと妃乃さんのおかげ。自分の人生で思い描いていた、歌への愛情を届けるというのが実現できたなと思います」

「好きだ。」では完成度の高いユニゾンで観客を魅了した【写真:小田智史】
「好きだ。」では完成度の高いユニゾンで観客を魅了した【写真:小田智史】

NGT48だからこその「絆」で栄冠を勝ち獲る

 三村、清司、新井組は予選で『たばこ』(コレサワ)を自分たちでコーラスアレンジして歌い、見事に1位通過。課題曲と自由曲、審査員による2曲の合計点で競い合う決勝大会は、課題曲として『点描の唄』(Mrs.GREEN APPLE)、自由曲として『好きだ。』(Little Glee Monster)をセレクトし、中間発表2位タイから優勝を懸けて臨んだ『好きだ。』では、完成度の高いユニゾンとハーモニーで観客を魅了した。

 自由曲は「3人の声質的に、明るいポジティブな曲がいい」(三村)と選曲を検討。「いろいろ探していたなかで、これができたらかっこいいんじゃないかとなったのが『好きだ。』。Bメロの『小さいこの世界 見えない壁壊そう おびえてちゃ馬鹿馬鹿しい 今しかない瞬間だ Ah』の部分がそれぞれの声質にあまりにも合っているし、得意なところを出せるから、いいと思って歌割も含めて決まりました」と、三村は明かす。

 18歳の新井は、「(私たちは)本番に強いと思います」と笑った。「曲ごとにストーリー、雰囲気を決めるようにしていました。練習では苦戦することもあったけど、本番では必ずハマる強さがある」。その思いも、お互いへの信頼があってこそだろう。

 審査員を務めた歌手の結城やすひろさんは、惜しくも2位に終わったHKT48の坂本愛玲菜、秋吉優花、市村愛理組へのメッセージで、「本当に僅差だったと思います。あと一歩のところ。1+1+1が『3』ではなくて、もっと化学変化を起こして、『6』にも『10』にも『100』にもなるように、個々の力も高め合いながら、ずっと続けてほしい」と語ったが、相乗効果の面でNGT48の3人が上回っていたと言っていいだろう。

 清司も「1期、2期、3期と期が違うメンバーで組んで最初はどうなるかと思いましたけど、練習していくなかで、お互いをほめ合って、リスペクトし合って、高め合って、それが自信にもつながっていて、この3人なら大丈夫という想いがありました」と語り、言葉を続ける。

「技術的にはほかのユニットに劣っていたところがあったかもしれません。でも、歌うことの楽しさ、歌が大好きという気持ちを決勝の舞台で届けるんだと思って頑張ってきました。歌が好きだという気持ちは誰にも負けていない自信はあったけど、自分1人だけでは限界があって、1人でできなかったことを3人だからできたと改めて今回の大会で感じることができました。悔しい気持ちを晴らせたし、ファンの方にも『やってやったぞ!』と言いたいです(笑)」

 NGT48を代表して個人戦で決勝大会の舞台に立ち、「ファイナリストLIVEにメンバーを連れていきたい」との想いを抱いてきた三村は、「NTG48だからこその絆、それぞれにしかない出せない声を意識しました。私たちだからこそ歌える歌を追求できたのが、優勝へのいい道筋になったと思います。1人でグループを背負う大変さ、もやもやした気持ちをユニット戦で晴らせました。自分1人では見せられない曲の物語を3人だからこそ見せられた。大好きな歌を大好きなメンバーと届けられて、本当に幸せでした」と、笑顔を弾けさせた。

「好きだ。」を歌い終わったあと、客席から送られた無数の拍手。三村、清司、新井組に新たに芽生えた「3人で歌を続けたい」という想いが、彼女たちをまた音楽と向き合わせる。

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