ロックフェスが環境大臣賞を受賞 「ソーラーパワーでロックフェスを」あきらめずに訴え続けた10年間
ロックミュージシャンの佐藤タイジ(シアターブルック)が2月28日、都内でライブを開催した。ステージ上では、自らが発起人になった音楽フェス『THE SOLAR BUDOKAN』が、昨年末に『環境省 第10回グッドライフアワード』の『環境大臣賞 NPO・任意団体部門』を受賞したことを報告した。
エネルギー問題と環境問題に向き合い続ける『中津川 THE SOLAR BUDOKAN』
ロックミュージシャンの佐藤タイジ(シアターブルック)が2月28日、都内でライブを開催した。ステージ上では、自らが発起人になった音楽フェス『THE SOLAR BUDOKAN』が、昨年末に『環境省 第10回グッドライフアワード』の『環境大臣賞 NPO・任意団体部門』を受賞したことを報告した。
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グッドライフアワードは環境省が主催するプロジェクト。環境に優しい社会の実現を目指し、「環境と社会によい暮らし」に関わる活動や取り組みを募集し、紹介、表彰、支援などを行っている。今回は、「環境に負荷をかけないフェス運営の継続」が評価された。これまでの同賞で、太陽光発電に関する受賞はあったが、ロックフェスとしての全体の取り組みが認められたのは、今回が初となる。
『THE SOLAR BUDOKAN』は、2011年に発生した東日本大震災の被災者救済を目的に始まった。佐藤が「太陽光発電でロックコンサートをやろう」と呼びかけ、奥田民生、吉川晃司、藤井フミヤら豪華アーティストが日本武道館に集結し、12年に第1回が開催された。
翌13年から岐阜・中津川市に開催地を移し、野外フェス『中津川 THE SOLAR BUDOKAN』としてとして規模を拡大。布袋寅泰、斉藤和義、佐野元春、泉谷しげる、ザ・クロマニヨンズ、加山雄三らビッグアーティストが多数出演し、来場者も毎回3万人規模になった。地域経済の活性化にも貢献し、国内でも有数のロックフェスティバルへと成長した。(20年、21年はコロナ禍によりオンライン配信を実施)
取材によると、フェス期間中の使用電力は、すべて太陽光発電や蓄電池、バイオディーゼル発電といったソーラーパワーを中心に再生可能エネルギーのみを使用。環境負荷の少ないフェスの実現に向けて取り組んでいる。ゴミ削減のためのリユースカップやエコバッグを推奨。さらには、フェスで発生するすべてのCO2の実質ゼロを目指した「カーボンニュートラルプロジェクト」を立ち上げ、来場客が会場に移動するまでの交通利用で発生するCO2を測定。発生したCO2の分だけ「カーボンクレジット」として購入するなどしている。クラウドファンディングや募金活動、ボランティア活動を通じ、地域と環境に向き合った活動を継続している。
イベントを主催し、蓄電池システムの開発などを手掛ける株式会社中央物産の三尾泰一郎社長は「『太陽光発電でカーボンオフセットが実現できたから、次は会場に集まってくる人のCO2を考えよう!』と、すべてはタイジさんの発想から始まり、それを僕らチームで具現化してやってきました」と振り返った。そして、佐藤は感慨深げに言った。
「これはすごくうれしいですし、予想もしてなかった出来事です。国のエネルギー政策に対して『こうしてほしい。ああしてほしい』とステージで言い続けてきた1人として、これまでの活動を国に認めてもらったということがとても大きいと思います。311(=東日本大震災)が大きな転換になるのかなと当時は思っていたんだけど、10年経って意外とそうならないと分かりました。一方で僕たちの活動を認めてくれる人も中にはいることが、大きな希望につながります。これからも続けていく理由にもなるし、仲間たちと環境問題やエネルギー問題に向き合って、この活動を広げていかなアカンなと思いました」
言葉だけでなく、音楽仲間と行動してきたことで受けた評価。今後の『中津川 THE SOLAR BUDOKAN』について、佐藤は「このあとに打ち合わせをします。『(今年も)やります』ということは書いといてください」と言い、笑みを浮かべた。