安保瑠輝也が「BreakingDown」を選んだ理由 明かした野杁正明への思い「けじめをつけたい」

「けじめをつけたい」――。今年1月にK-1離脱を発表した安保瑠輝也が「BreakingDown7」(19日、千葉・幕張メッセ、ABEMA PPVで完全生中継)に出場する。“異例”とも言える移籍には多くのファンが批判した。なぜ離脱した先が「BreakingDown」だったのか。描いている青写真を安保が明かした。

「BreakingDown」を選んだ理由を明かした安保瑠輝也【写真:山口比佐夫】
「BreakingDown」を選んだ理由を明かした安保瑠輝也【写真:山口比佐夫】

「格闘技界の顔になる」と自信

「けじめをつけたい」――。今年1月にK-1離脱を発表した安保瑠輝也が「BreakingDown7」(19日、千葉・幕張メッセ、ABEMA PPVで完全生中継)に出場する。“異例”とも言える移籍には多くのファンが批判した。なぜ離脱した先が「BreakingDown」だったのか。描いている青写真を安保が明かした。(取材・文=島田将斗)

「BreakingDown7」の前日記者会見。出場選手はみな集まって、自分たちの会見の出番を待っていたが、安保はひとりだった。その理由を聞くと「あえてみんなと一緒にいない」と真っ直ぐ見つめた。今まで参加してきた会見とは違う雰囲気。それを否定することもないが、「自分は違う」とひとりで会場にいることを選んだ。

 なぜ数ある団体から「BreakingDown」を選んだのか。安保は「僕がK-1にいた理由知っていますか?」と問いかけながら理由を明かした。

「K-1に僕がいた理由は野杁正明にリベンジするためだった。それが自分の時間軸的にかなわなかったんです。相手は『THE MATCH 2022』で負けているんですけど、対外国人にしか興味がなくて。だったらよく盛り上がらん外国人とやっておけばいいよと考えが変わりました。俺はその間に賛否両論を残す行動を起こして、野杁に勝った選手に勝ちに行くから。そういう覚悟を持ってここにきているんです。だから俺自身はぶれていないんですよ」

 自分という存在の積み上げてきたものを全く疑っていない。「自分が格闘技界の顔になって、格闘技に興味のあるライト層を引っ張っていく存在だと思っています」とうなずく。

 同時期にK-1からは芦澤竜誠も離脱し、RIZINに。「BreakingDown7」と同じ週には「RIZIN.41」の会見で大いに盛り上げていた。その分、安保は比較され賛否の否の声が多く寄せられた。しかし、全く気にならないと涼しい顔をしている。

「自分自身がここでぶれていたら、すごく気にしたと思います。でも、俺がぶれていないので、自分が目指したいゴールは変わりないので、どうでもいいです」

 さらにこう続けた。

「全員が井上尚弥を目指していたら『人気』はいらず、『強さ』だけで良いと思いますよ。あの領域は全員がなれるものじゃない。だからとんでもなく価値があるわけです。ゴールが1つとするならばその行き方は何でもいいと思います。『選手はこうしろ』というのは固定概念でしかないので、押しつけてくるなという話です。俺は俺なりの道を見つけています。ゴールはBreakingDownでトップになることではないです。言葉を選ばずに言えば“利用させてもらっている”だけです」

「自分はださく映っている」と話した安保瑠輝也【写真:山口比佐夫】
「自分はださく映っている」と話した安保瑠輝也【写真:山口比佐夫】

電撃移籍は計画の1つに過ぎない

「架け橋になりたい」と熱く語る。電撃とも言える移籍は自身にとって計画の一端に過ぎなかった。

「BreakingDownはステップ1です。『ガチンコファイトクラブ』ってあったでしょ? あのときってボクシングが広がったと思うんですよ。僕は。そこからめちゃめちゃ強い選手が現れて、本物のプロと戦って活躍していたらかっこいいと思います。僕はそれになりたい。自分にはそれができると思っています」

 今回の相手は過去にK-1で“マルセイユの悪童”と呼ばれたシリル・アビディ(フランス)。現役選手との対戦でなかったことを嘆いていたが、やるべき目標の1戦に過ぎないようだ。その先の未来がしっかりと見えていた。

「今はキックで世界で目指したいというモチベーションはないです。自分がK-1をやめるきっかけに至ったけじめをつけたい。その戦いが勝ちであれ、負けであれ、しっかりそういう選手に挑戦する格闘家でありたいと思います」

“安保瑠輝也”を応援していたファンへも言葉を選ぶようにしながら思いを口にした。

「今、安保瑠輝也という選手は広く知られはじめている段階です。そのなかで広く知られているのは良いところ。悪い部分は本当のファンからしたら自分はださく映ってると自分でも思います。ただこれはここ(BreakingDown)トップを目指していくのではなくて、これを利用さしてもらう。俺は格闘家としては強い選手に挑んでいて、倒していく姿がかっこいいって自分は思っています。だから努力してますし、それを実現していくので、長い目で見てもらえれば、うれしいですね」

 批判の多かった「BreakingDown」への移籍。しかし、そこにはかつてK-1を盛り上げた“ダークヒーロー”の大きな覚悟があった。

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