【どうする家康】巴演じた真矢ミキの意外な苦労と葛藤 体に染みついた男役の所作
俳優・真矢ミキが12日、瀬名(有村架純)の母・巴を演じたNHKの大河ドラマ『どうする家康』(日曜午後8時)についてコメントした。この日放送された第6回で巴の最期が描かれた。作品は松本潤が主演を務め、死ぬか生きるかの大ピンチをいくつも乗り越えていく徳川家康を描く波瀾万丈のエンターテインメント。
瀬名の母で、今川家につながる出自の巴を熱演
俳優・真矢ミキが12日、瀬名(有村架純)の母・巴を演じたNHKの大河ドラマ『どうする家康』(日曜午後8時)についてコメントした。この日放送された第6回で巴の最期が描かれた。作品は松本潤が主演を務め、死ぬか生きるかの大ピンチをいくつも乗り越えていく徳川家康を描く波瀾万丈のエンターテインメント。
真矢は、まずは巴を演じ切った思いを紹介した。
「第5回、巴のせいで今川家からの脱出に失敗してしまうシーンは、初めて脚本を読んだ時『私か…』と複雑な思いでした(笑)。でも巴を表すには重要なシーンですし、私自身、演じていく上でのヒントになりました。良く言えば、育ちがよく、物事の裏を読まない純粋さ、素直さがあります。悪く言えばうっかりしていて思慮深さに欠けるとも言えますが、それだけ周囲の人に支えられて生きてきたのだろうと思います。瀬名にとっても、気品はあるけれど、たまに理解しがたいお母さんという感じだったのかな……。でも巴は、実は奥底に熱いものが流れている女性だったのだろうと思っています。それを象徴するのが、第6回で巴が瀬名に対し『そなたが命を懸けるべき時は、いずれ必ずきます。それまで、強く生きなさい』と言葉を掛けるラストシーン。大切な人を守るために命を捧げる覚悟や潔さ、娘への愛、戦国を生き抜いてきた巴の強さが詰まった最期だったと思います」
夫・氏純(渡部篤郎)との関係。そして娘・瀬名(有村架純)への思いにも言及。
「氏純さんは、口数は少なく威厳があり、思慮深く、巴とは正反対。巴にないものをほとんど持ち合わせていますし、2人のバランスがとれていて、理想の夫婦だなと思います。そんな氏純を演じる渡部篤郎さんともよくお話ししていたのですが、夫婦の軸にあるのは、やはり娘・瀬名に対する深い愛情。とにかくそれを大切に演じてきました。思い返せば、瀬名が雑木林で自由に遊ぶ元信(後の家康)にひかれるような温かい子に育ったのも、親の愛情が豊かだったからなのかもしれません。当初、巴は瀬名と元信の結婚に反対していましたが、それも愛情の裏返し。『今川へのご恩を忘れないでほしい』という今川への思いもありますが、その裏には『娘に戦国乱世を生き抜いてほしい、そして次の世代にバトンを渡してほしい』という母の愛情があったのだと思います。
瀬名を見ていると、父親譲りの賢さもありますが、出るところに出たら覚悟を決めるという強さや度胸も持っていて、巴の血が流れていることも感じられます。巴は亡くなっても、娘に伝えたかった思いはもう十分伝わっているのかなと思っています。瀬名を演じる架純ちゃんとの共演は今回が初めてでしたが、ひとつひとつ丁寧に物事を進めるところや、小さなことに喜びを見つけられるところなど、今作の瀬名と重なる部分もあり、けなげでかわいらしい彼女をいつも微笑ましく見守っていました。彼女のおかげで、私も自然と役に入ることができたなと思います」
収録の思い出も紹介。
「所作指導の花柳寿楽先生とは、宝塚で男役を演じていた時以来の再会でした。体に染みついているのが男役の所作なのと、油断すると10代から習っている日本舞踊がつい出てしまうので大変苦労しました(笑)。“日常の所作”を身につける難しさを実感しつつ、ふとした時に出てしまいそうになる日本舞踊を『抑えておさえて……』と自分の中で葛藤していました。巴は育ちがよく、所作を非常に厳しくたたき込まれているお家の生まれなので、その点では多少演じやすかったのですが、収録中、何度も寿楽先生のもとに走って確認しにいったのを覚えています」