終末期介護、“食事拒否”を見守るのは虐待?「それぞれの死生観がある」介護士の投稿が議論
安らかな死を願う本人と家族の希望に対し、「虐待だ!」と騒ぐケアマネジャー……。現役の介護福祉士が投稿した終末期介護のワンシーンがSNS上で議論を呼んでいる。終末期介護の現実とは。そして、「それぞれの死生観がある」と結んだ投稿の意図はどういったものなのか。介護福祉士歴13年の和希(@kazuki201807)さんに聞いた。
経営上の都合から、高齢者の「介護」ではなく「管理」に重点を置く介護施設も
安らかな死を願う本人と家族の希望に対し、「虐待だ!」と騒ぐケアマネジャー……。現役の介護福祉士が投稿した終末期介護のワンシーンがSNS上で議論を呼んでいる。終末期介護の現実とは。そして、「それぞれの死生観がある」と結んだ投稿の意図はどういったものなのか。介護福祉士歴13年の和希(@kazuki201807)さんに聞いた。
「食事を拒否する90代女性。好きだったプリンでももう口を開けない。家族は『もう十分です。本人の好きにさせましょう。』と納得している。本人がいるショートステイ側も『そうですね。』と静かに見守る。ケアマネだけが『食事をあげないなんて虐待だ!』と騒いで市役所に通報。それぞれの死生観がある」
終末期介護の一場面について触れた投稿には、「現場にいない人ほど、いろんなこと言ってくるものですよね」「ご本人のお気持ちが、大切ですよね」「拒否しているものを無理やり口に押し込むのも虐待なような気がします」など、さまざまな共感の声が集まっている。
国内の高齢者独居率は年々上昇しており、ここ数年はコロナウイルスの影響でさらに家族との疎遠が加速。認知症や急な脳梗塞等で寝たきりの状態となるなど、本人の意向が確認できないまま突然終末期を迎え、家族の判断で延命の有無が決定される事例も増えている。
投稿の意図について、和希さんは「私は『区別して、差別せずに、選択する』ことを大切にしています。『お金が大事』という人もいれば『思いやりが大事』という人もいるのが区別。それはその人の価値観であり、どちらが崇高であるとか、どちらかを見下すというような差別は不要で、自分がどちらを選択し、他人が何を選択するかだけだと思っています」と説明。今回の投稿でも、一方的にケアマネが悪であるというような書き方はせず、「様々な死生観がある」と結んでいる。
「ツイートを見た福祉関係者がどれだけ『区別』を理解し、『差別』せず、自分だったらこうするかなという客観性と自己選択の反応を見せるかを見たかった」と和希さん。さまざまな価値観を受け入れる度量を持つことが、介護の現場にも求められているという。