和歌山県の梅干し問屋が悲鳴「倉庫がパンク状態」 高齢者ほど多い消費量、食生活の変化で窮地
「皆さん、現在梅干し業界がどのような状況かご存じでしょうか――」。和歌山県にある梅干しの製造問屋「梅樹園」がSNSに投稿した内容が、大きな注目を集めている。白米よりもパン食を選ぶ人が多くなったことや、酸味が苦手など、食文化の変化などから年々消費量が減少。テレビやネットニュースなど多くのメディアで拡散された投稿は、6.2万件以上の「いいね」を集めている。投稿した同園の代表取締役の生田富哉さんに投稿の真意を聞いた。
寒い時期には「梅干し鍋」がおすすめ
「皆さん、現在梅干し業界がどのような状況かご存じでしょうか――」。和歌山県にある梅干しの製造問屋「梅樹園」がSNSに投稿した内容が、大きな注目を集めている。白米よりもパン食を選ぶ人が多くなったことや、酸味が苦手など、食文化の変化などから年々消費量が減少。テレビやネットニュースなど多くのメディアで拡散された投稿は、6.2万件以上の「いいね」を集めている。投稿した同園の代表取締役の生田富哉さんに投稿の真意を聞いた。
「弊社の梅干し倉庫はパンクしており、梅農家さんが作った梅干しの多くは行き場のない状態です。この現状を打破するために、私ができることを、弊社ができることを、全力で取り組んでいくことを宣言したかった」
置かれている苦しい状況について投稿したのは、1911年から和歌山県みなべ町で梅の製造問屋を営む「梅樹園」のマーケティング担当者。2021年11月からSNSを活用し、梅干しのPRに努めて来たが、「梅干しを食べることのメリットや、おいしそうな梅干しの画像を投稿してきましたが、普段からよく梅干しを食べている方にしか届きませんでした」と行き詰まりを感じていたという。何とか現状を打破したいと、「梅干しの良さを伝えるのではなく、まずは多くの方に梅干しの現状について伝え興味を持ってほしい」という思いから投稿に至った。
生田さんによると「年齢別に全国の梅干し消費量を見ると、2021年は29歳以下が303グラムだったのに対し、70歳以上が約2.8倍の834グラム。30代は387グラム、40代は436グラム、50代は617グラム、60代は755グラムと高齢者の中には根強いファンがいる」と語るが、食の選択肢の多様化、朝食にパン食を選ぶ人が多くなったこと、家族構成の変化などから、梅干しが手に取られにくい商品になっていることを分析。この結果、1世帯(2人以上)当たりの消費量は、2002年の1053グラムがピークで、2021年では658グラムとなり約4割ほど減少している(総務省統計局が発表した『家計調査1世帯当たりの梅干しの年間消費量』から引用)と明かした。
生田さんらの切実な思いは多くの消費者に届き、応援コメントなども寄せられた。「梅干しに興味を持ってくれている方が多いと感じましたが、『好みの梅干しが見つけられない』などの声もいただきました。強い酸味が苦手な若者も少なくないため、まずは手軽に食べてもらえるようなきっかけづくりが必要だなと考えています」と話している。
白米と食べることが多い印象があるが、梅干しに親しんでいる生田さんならではのおすすめの食べ方も聞いた。
「ご飯と一緒はもちろんですが、この時期ぜひ試していただきたいのが『鍋』。ポン酢に溶かして食べるのも最高ですが、個人的には胡麻坦坦味に梅干しを溶かして食べるのが絶品です。ぜひ好みのお鍋に梅干しを合わせてみてください」と呼びかけている。
梅樹園では、昔ながらのしょっぱい梅干しから、開発期間に2年をかけたこだわりの「はちみつ梅」、オリジナルのあまちゃづるを使った梅干しなど、さまざまな商品を販売。オンラインでも購入できる。