「自分を特別だと思うな」 元男の子YouTuber・青木歌音が抱く“LGBT虹色”への違和感「必要ない」
“元男の子”として活躍するトランスセクシュアルのYouTuber・青木歌音。LGBTの当事者として番組出演の経験もあるが、自身にはその自覚がないという。いったいどのような考えを持っているのか。“自覚がない”理由についても話を聞いた。
自身はトランスセクシュアルも「LGBTの当事者だとは思ってない」
“元男の子”として活躍するトランスセクシュアルのYouTuber・青木歌音。LGBTの当事者として番組出演の経験もあるが、自身にはその自覚がないという。いったいどのような考えを持っているのか。“自覚がない”理由についても話を聞いた。(取材・文=石井宗一朗)
「私はLGBTの当事者だとは思ってないんです」と語る青木は、LGBTの“シンボル”について言及。その存在意義について私見を明かした。
「LGBTにとって“目印”がある方がパートナーと出会いやすいというのはあると思います。仮にゲイの方が街中で『あの男の人かっこいいな』と思っても、その人がゲイの確率はかなり低いじゃないですか。だからこそゲイバーだったり、レズビアンバーみたいな場所に行って出会いを求める。“虹色”っていう目印があった方が便利だと思うんですよ」
しかしながら、トランスセクシュアルの青木は、“虹色”を便利だとは考えていなかった。
「私は普通の女性として男の子と出会って遊んだりしてて、むしろ“虹色”を出すことがデメリットになります。『LGBTの人』と構えられるのも嫌ですし、わざわざ主張する理由もない。LGBTについての街頭演説を見かけることもありますが、興味もあまりわかないですね。『そういえば私もLGBTの人か』といった感じです」
トランスセクシュアル代表としてLGBT番組に出演も「浮いてしまった」
自覚はあまりないものの、過去にはLGBTの番組にトランスセクシュアル代表として出演したこともある。しかし、ほかの出演者たちとまったく意見が合わず、オンエアでは大幅にカットされた。
「“虹色”についての意見もそうですけど、浮いちゃって……。話したシーンが全カットになって、オンエアではただ座ってるだけの人になっていました(笑)」
LGBTの中で「浮いてしまった」という青木は、高校生まで野球少年として生き、その後、性転換手術を経てYouTuberとして活躍。登録者数も47万人と高い人気を誇る。視聴者から相談されることもよくあるようで、自身と似た境遇の人々にも“青木節”でアドバイスを送っている。
「お金を貯めて整形すればいいと思います。3年後の手術のために必死に働く“我慢”ができない人が多い。でも本当に自分が悩んでいて変わりたいのではあればできると思います」
一見厳しい言葉のようにも感じるが、自身はこれを体現している。青木は「周りの目が気になってしまう」という人々にも助言を送った。
「世間はあなたが思うほどあなたに興味がない。私も当時そうだったんですけど、『私って今どっちに見られているんだろう』とか周りの目を気にしてしまう。でも“他人”の容姿を1人1人チェックして歩いている人なんてそうそういないですよね? キツい言い方をすると『自分を特別だと思うな。普通だと思え』でしょうか。だからこそLGBTという“特別枠”が必要ないと思っています」